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若い劇伴作家のための映画案内#16

モンティ・パイソンとイギリス的笑い

僕らの世代(80年代に大学生だったくらい)は、マニュアル世代とかカタログ世代なんて括られかたをされたことがありますが、ネットのない時代に何みんなが知っている情報を持っているかどうかって当時は結構重要だったりして、それもちょっとレイヤーになっていて、車高を低くした改造日本車についてのデータに詳しいことが尊敬される層もあれば、ポスト構造主義を読みつつ(本を買っただけの場合も)フランス映画の歴史やニューウェイブに詳しくて、場合によってはデザイナーズブランドも着てるなんていう枠の若者もいたりしました。で、このnoteのテーマになっているような、若い世代の劇伴作家が出会う年上のクリエイターには後者系の人が多いのかなあという印象があります。まあ20歳のころYMO聴きまくってたとかいう話が出たら後者系です。シャコタンのシルビアにはあまり興味がなかったはず笑
YMOには『増殖 - X∞ Multiplies』1980というアルバムがありますが、このアルバムには曲の間にスネークマンショーによるコントが挿入されます。かなりひねくれた、いわゆる不条理なギャグばかりなのですが、こういうインテリの悪ふざけ的なものがかっこいいとされていたし、そしてそういうコミカルさがモンティ・パイソン的と呼ばれていたかもしれません。お笑いについて何かを語るなんていう大それたことはできませんが、関西と関東のお笑いの方向がいろいろと違っているのは大体雰囲気わかるだろうかなだけれど、さらにモンティ・パイソン的、あるいはスネークマンショー的な笑いというキーワードは、突如打ち合わせに出てくることがあるかも、なので知っていると面くらわずに済むかもしれません笑。

さて、ではモンティ・パイソンMonty Python)とは何者かってことですが。イギリスのコメディ・グループです。6人組。
空飛ぶモンティ・パイソン』Monty Python's Flying Circus というコメディ番組を1969から1974までBBC制作!で放送していました。国営放送。
とにかく、超おばかなネタとかなり批評性を持ったネタが混在。イギリスではコメディのあり方を、パイソン以前、パイソン以後で分けたりするなんてことがwikiに書いてあります。
メンバーのチャップマンとクリーズ、アイドルがケンブリッジ大学、ジョーンズとペイリンがオックスフォード大学というスーパーエリート。ギリアムだけがアメリカ人です。
映画も5本撮ってます。音楽もいろいろやっていてアルバムもかなりたくさん出してます。7人目のパイソンと言われるニール・イネスNeil Innes)の役割も大きい。彼はボンゾ・ドッグ・バンド(The Bonzo Dog Band)の主要人物なのですが、パイソンのエリック・アイドルとビートルズのパロディバンド、「ラトルズ」(The Rutles)もやってます。「ラトルズ4人もアイドル!」(THE RUTLES in ALL YOU NEED IS CASH)という映画もあって、曲ももちろんパロディなのですが、めちゃクオリティ高くて面白いです。ジョージ・ハリスンも出てます!クラプトン、ベック、スティングなども出演したモンティ・パイソン&ザ・シークレット・ポリスマンズ なんていうライブもあります。DVD-BOX出てます。

なかなか言葉でその雰囲気は説明できないので、サブスクでもなんでも見られる現在、空飛ぶモンティ・パイソンあたりは気晴らしに見てみるのも良いのではないかと思います。イギリス人のものの見た方の感覚。
メンバーはその後も俳優とかで活動をしていますが、特にテリー・ギリアム(Terry Gilliam)は映画監督として成功しています。
どの映画もかなり癖の強い作品。どれも映像クリエイターからは評価が高いと思います。特に未来世紀ブラジル Brazil(1985年)などは話題に出ることが多いかも。音楽はマイケル・ケイメン(Michael Kamen)。12モンキーズ Twelve Monkeys(1996年)もかっこいい映画。ブルース・ウィルスとかブラッド・ピットとか出てます。サントラにはアストン・ピアソラのバンドネオンが随所に使われていて印象的。

そんなわけで、僕も見直してみます。
ちなみにナッジ・ナッジ(Nudge Nudge)というスケッチがあって、
肘でちょんちょんとつつくのを続けるというギャグなんだけれど、
ProToolsのnudgeという機能を使うときに、ナッジ、ナッジ!と頭の中で
なってます笑 声には出しませんが。。。



映画をメインに劇伴の音楽プロデューサーをやっています。

音楽打ち合わせの時には、具体的な映画のタイトルが飛び交うことが多いですが、若い作曲家にとっては生まれる前の映画なんていう場合も多く、
どこから手をつけていったらいいかわからないなんて話も聞くので
打ち合わせで実際に出た映画とかを(不定期に、、、)紹介していきます。
何か、間違っていたことを言ってたりしたら、ぜひ、ご指摘いただければと
思います!

僕は映画評論家でもなんでもないので、こうやって文章を書くためには、ぼんやりとした記憶をネット検索や持っている本とかでちょっとだけピントが合ったものにしているわけです。なので新発見は何もないので、どなたでも得られる情報を、飲んだ時にちょっと偉そうに話したがるおぢさんの長話程度に読んでもらえると幸いです。

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