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若い劇伴作家のための映画案内#4

110番街交差点

原題:「ACROSS 110th STREET」
1972年 バリー・シアー監督
まず本題に入る前にどうでもいい話から。マンハッタンって南北の通りがAvenue、東西の通りがStreet ってことになっていて、日本語だとそれぞれ
番街と丁目ってことになってます。5th Ave. だと5番街です。高級なブランドショップとかデパートがあるところ。タイムズスクエアは7番街と42丁目のクロスするあたり。まあBroadwayというちょっと斜めの通りもありますが。
ということで、原題を見ると、本当は110丁目交差点なわけですね^^。
だいぶ北の方、ハーレムってことかと思います。(だから、ビリージョエルのニューヨーク52番街も52丁目です)

さて、本題。
60年代とか70年代とかってなんとかムーブメントだらけでした。
音楽や映画とか文化的なやつから社会、政治的なものまで。
そんな中で、黒人の公民権運動とかも高まり、音楽とか映画でも「ブラック・パワー」的なものが大きくなります。
(この辺りはかなり薄っぺらい知識なのでふんわり読んでもらえると)
で、ブラックスプロイテーション(Blaxploitation)映画というのがヒットします。造語です。エクスプロイテーション映画というのは別途検索してください^^

特徴は監督、キャスト、そして音楽も黒人が担当。
ファンクやソウルなどのブラックミュージックがガンガンかかると。
クライム映画とか探偵ものが中心なのかな。スピード感あるし、音楽かっこいいしで、黒人向けというわけではなく普通にヒットするものもありました。
結果、その後のそういった、探偵が調査するとか犯罪と戦う刑事ドラマ系などでは、黒人関係ない太陽に吠えろとかまでギターのカッティングとかブラスとかパーカッションとかが炸裂することになります。

前置き長くなりましたが、その中でも、内容的にもシリアスで評価が高いのがこの映画です。(監督のバリー・シアーさんは白人?)
音楽はボビー・ウーマックとジャズ・トロンボーン奏者J.J.ジョンソン。
普通にソウルのアルバムとして名盤かと。
テーマ曲はタランティーノの「ジャッキー・ブラウン」でも使われてます。
パム・グリアも出てるし、やりたい放題でした。オマージュ。

そのほかだと
黒いジャガー(1971)原題:Shaft  音楽:アイザック・ヘイズ
スーパーフライ(1972)音楽:カーティス・メイフィールド
コフィー(1974)音楽:ロイ・エイアーズ
など、サントラがアルバムとしてかっこいいやつ多数。

ただし、映画はVシネ的な感じだったりもします。
たくさんあるけど、ここに挙げた有名なやつくらいしか見てません。すみません。

ということで、昔の探偵ものっぽいのがいいんだけどなあ、というリクエストにはこのあたりで対応してみると良いかと思います。

昔、PS3用の「街スベリ」という、香港の街をキャスター付きの椅子で滑り降りるという笑 ゲームの音楽を担当した時に、このあたりのジャンルを参考にいたしました^^

では、また次回。

映画をメインに劇伴の音楽プロデューサーをやっています。
音楽打ち合わせの時には、具体的な映画のタイトルが飛び交うことが多いですが、若い作曲家にとっては生まれる前の映画なんていう場合も多く、
どこから手をつけていったらいいかわからないなんて話も聞くので
打ち合わせで実際に出た映画とかを(不定期に、、、)紹介していきます。


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