ある社畜の二日間ースティーブ・ジョブズなんかは「こんな人物」だったのかもしれない

※本稿の主人公:私や母ではなく、私がFacebookで何度か言及している「警備指導責任者」です。

私の当初のシフト:7月28日(木)、7月29日(金)共に出勤

2022年7月28日(木) 出勤取りやめ

早朝、母が高熱を出した。現状から考えると、コロナ感染を否定することは難しい。そうなれば、私は濃厚接触者になるだろう。そもそも、急いで病院を探さなければならない。意を決して、私は職場に電話した。私の職場は、24時間365日やっているのである。

電話には、前日から当直で泊まっていた上長が出た。事情を話す。上長は、会社の内規を調べてみると言って、電話を一度切った。折り返し電話が来た。会社の内規によると、コロナ感染が「判明」していない時点ならば、同居家族は出勤できる、というものだった。ただ、事情が事情であり、上長と相談の上、木曜金曜と欠勤することにした。

職場にも、コロナの魔の手は、確実に伸びていた。メンバーにも、発症者や発症の疑いの出ており、シフトがややタイトになっていた。その点では申し訳ない気持ちもあったが、事情が事情であり、万が一私が陽性だったらもっとまずいことになると思った。私は気持ちを切り替えて、嫁いで離れて暮らしている妹と、携帯電話で情報をやり取りしながら、母を受け入れてくれる病院を探した。

しばらく経った時だった。職場から電話が来た。出てみると、電話口からは、おそらくこの時間に出社してきた警備指導責任者からであった。嫌な予感はしたが、出ることにした。

細かい内容は覚えていない。ただ、大まかな趣旨を話せば、「内規上問題ないんだから、出れるでしょう」というものだった。予想通り過ぎて、私は逆に動揺してしまった。「こいつは、本気で言っているのだろうか?」それどころではなかったし、動揺を抑えられなかった。どう答えたのか覚えていない。最終的には、彼は、私が木曜金曜を欠勤することに「渋々」納得したのだった。ただ、一つ確実に言えることは、彼が私の母に対して言及することは微塵もなかったということだ。

そんな「くそったれな」やり取りをやり過ごすことができた。その後、近くの病院で、夕方の発熱外来を無事に予約できた。私の方は、急いでPCR検査を受けることにした。ネットでは見つからなかったが、たまたま前日渋谷を歩いていた時に見つけた医療機関に問い合わせて、予約を取った。本当は、濃厚接触者「疑い」がある人間は受けてはいけないのだが、そんなこと言っている場合ではない。母が心配だったが、急いで渋谷に行き、PCR検査を受けた。

私の結果は、午後7時に出た。陰性だった。一安心だった。その結果については、すぐに職場にメールで送った。あとは、母の結果である。それは、翌日に出るとのことだった。

2022年7月29日(金) 急遽出勤

早朝

まずは、朝起きた後、自分と母の体温を測り、その結果を職場に送った。母は、前日よりは下がっていたが、依然熱があった。最低限やることはやった。朝食を食べてしばらくしたら、溜まっている洗濯物を片付けるか、とでも考えていた。

朝8時前

突然母の携帯電話が鳴った。昨日受診した病院からだ。結果を告げられた。「陰性」です。最悪の事態は免れたのだ。喜んだ勢いで、私は、会社にメールで、そのことを報告をした。さあ始めるかと、腰を上げた矢先、会社から電話が鳴る。まさか……ねえ。

電話に出た。昨日電話してきた、警備指導責任者からだった。ここのやりとりも細かくは覚えていない。ただ、大まかな趣旨は間違っていないと思う。

「お母さんも陰性なんだろう。出てきて」
「はあ、確かに問題ないですが」
「人数が足りないんだよ。頼むよ」
「(またまた、思考混乱)ただ…」
「何時頃出て来られる?」
「(はあ?何言ってんのこの人?正気?話が通じない)今からだと、全く準備していないので、早くても10時くらいにはなると思いますが」
「そんなことないでしょう。君の家は、職場から比較的近いんだから」
「(!!!!!!!かなり「控えめに」言ったんだが。出社するとしても、午後からでいいんだが。)それが限界です」
「(不満そうに)わかった。それじゃあ、早く来てね」
ガチャ。

仕方ないので、私は、「社畜」モードに入ることにした。自分の準備はもちろん、母に関するいろいろな手配を行った。ただ、それらを行った結果、9時半を過ぎてしまった。どうあがいても、10時には間に合わない。職場にその旨、連絡を入れてから出発した。熱が下がりきらない母を1人、家に残して。私は、社畜というより、人でなしである。

10時過ぎ

出社した。警備服に着替えて、防災センターに入った。同僚や上長は、事情を知っているので、温かく迎えてくれた。警備指導責任者の前を通る。挨拶をする。すると、一言。

「なんで、10時に間に合わなかったの?」
「(????この人は、何を言っているんですか?出る前にも、電話入れておいたでしょう?)色々準備していたら、今の時間が限界でして」
「本日、君は、みなし出勤にしておいたから、(定時の)9時から給料が出るんだよ。早く来てくれなくちゃ」
「(??????????みなし出勤って、何?)すいません」
「じゃあ、準備ができたら、シフトに入ってくれ」

みなし出勤。よくは分からないが、出勤をお願いした場合、多少遅れても定時から給料が出る仕組み「らしい」。確かに悪くない話ではあるが、私はそんなこと頼んだ覚えはない。働いた時間だけ給料が出れば、別に文句はなかった。そもそも、欠勤する予定だったのだから。ただ、ここで揉めても、出勤したことが無駄になるので、(いつも通り)無視して、シフトに入った。

すると、彼は、私に言った。

「みなし出勤に加え、昨日の休みは有給で埋めてあげるよ(ありがたく思えよ)」
「ありがとうございます(それならば、昨日も今日も有給で埋めてくれた方がうれしかったのに)」

12時台 (駅に通じる)3階入り口の立哨

私は、ビルから駅に通じるビルの入り口脇に立っていた。すると、背後から、「後はよろしく!」という声が聞こえた。そして、私の前を、駅に向かって遠ざかっていく物体が一つ。言うまでもない。「人数が足りない」と言って、私を呼び出した、警備指導責任者だった。彼はいつも通り、「家族の介護のため」午前中で早退したのだった。

彼は、毎週金曜日は「家族の介護のため」早退していた(そもそも、丸1日休む場合もある)。彼は、ボーナスだけで、私の4か月分は稼ぐ。苦々しく思っていたが、理由が理由だけに、仕方がない。介護の大変さは、いつ介護対象者の具合が悪くなるか、分からないところが一番大きい。何で、こんなに「規則正しく」毎週金曜日は早引き、土日祝日は絶対に来ないんだろう、という疑問はあるのだが、それは脇に置いておいた。

しかし、今回は事情が違う。私にだって、看護しなければならない相手がいるのだ。その私を呼びつけておいて、自分は平然と午前中で帰宅する。この方、どう思いますか。しかも、彼は確かに「人数が足りない」ことを強調していました。私が出社して人数が足りたとしても、彼が帰宅すれば、また人数が足りなくなる。それは、数字が数えられれば、当然出てくる計算である。自分はそもそも、人数に入れていないのか。その時点で、すごいんだけど。

一応付け加えるが、数少ない防災センターにいる時間、彼の勤務態度は非常に「模範的」である。多少は仕事をしているようである。あとの時間は、居眠りかスマホに費やされる。面倒事が起こると、ほとんど我々に「やっておいて」と振ってくる。会議があるとか言って、防災センターを離れると、非常時に電話しても、会社支給のPHSも、彼自身の携帯電話もつながらない始末である。

18時 帰宅

以上が、この2日間の顛末である。

私としては彼を見限っている(そりゃそうだ)。しかし、「一応」警備指導責任者なので、留保はつけていた。私としては、今回は彼の人間性を「改めて」確かめるいい機会なので、「最後の追試」を行うことにした。そして、彼は予想通り、落第した。ただ、それだけである。彼がいかに、人間として「たがが外れており」自分勝手で、部下のことなど、駒以下にしか考えていないことが「完全に」証明された。もちろん、この間、私の母に対する「言及」は全くなかった。

副題に触れると、いわゆる「偉人」と呼ばれる方々も、少なからずこの傾向があるのではないか、と思ったからである。毀誉褒貶が激しい人物には、そういう傾向が強かったのではないか、と「一方的に」憶測しただけである。ただ、本稿の主人公である警備指導責任者は、「偉人」どころか「ただのポンコツ」ですがね。

私?「社畜」の「人でなし」ですよ。それは、間違いありませんね。

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