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こんな駅に何の用があるんだろう

真っ平らな田んぼや畑がずっと続き、
民家もぽつりぽつり遠くに見えるだけの、
そんな郊外を走る普通電車に乗っていて、
なんて読むかわからない小さな駅にとまって、
目的地まであと駅はいくつだ?とため息つきながら、
窓越しに下車する人を見ていると、
そのなかに、
ネクタイを締め直すスーツ姿の人や、
転がせないキャリーバッグを持ち上げて歩く人がいた。

そんな時、ふと思ってしまう。

「こんな駅になんの用があるんだ」

いかんいかん。あぶないあぶない。

自分に関係ないからといって、すべての人に関係ないわけじゃない。

なんでそんなつまらんもんが、受けているの?と同じじゃないか。


こんなときは、朝ドラの最高傑作「カーネーション」のセリフを思い出し、自らを戒めるのだ。

50歳近くなった、糸子(尾野真千子)は、最新流行のファッションのどこがいいのかまったく理解できなくなってしまっている。
そんな糸子が、デザイナーとして歩みだした次女とその仲間を前にして、こう言うのだ。

「おばちゃんもこの頃ちょっと賢なってな。若い子らのやることは自分にわからんからて、間違 うてるとは限れへん、ちゅうことを覚えた。要はな、外国語みたいなもんや。うちにはわからんでも、それで通じ合うてる人らがいてるこ とはわかる。ほんでな、相手がどんくらい本気か、気持ちこめて言うてるか、ちゅうことも、な んとのうわかるもんなんや」

渡辺あや「カーネーション」



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