見出し画像

そういうキャラ作るって疲れるね

1月終わりの「セブンルール」は、吉本興業の女性マネージャーでした。
かまいたちととろサーモンを担当していて、アイドル活動もしているとか。

彼女のルールにこんなのがありました。

【冷蔵庫は収納棚】

社会人になったばかりの頃は、ふつうに冷蔵庫を使っていたけれど、今では帽子やメガネやらを入れておく収納棚となっている。

「料理が嫌い。おいしく作れない。調理にかける時間が無駄でもったいない」(だから冷蔵庫を使わなくなった)とインタビューに答えていた。

外食やコンビニ弁当ばかりじゃもったいない、栄養が偏る、なんていう心配(のふりをした忠告)はもう聞き飽きたことでしょう。
そんなことよりも彼女の優先順位は、時間なのです。

(得意でない)料理にかける時間は無駄。
(だから今のところは)料理のための冷蔵庫は必要ない。

その結果が収納棚としての活用で、なるほど〜です。


テレビというのは、このようにいろいろな価値観、ルール、ライフスタイルの人たちと出会えるからおもしろいです。
だって、身近に冷蔵庫持ってないという人はいないですから。

彼女のルールは興味深く、いろいろな人がいるなぁ〜勉強になるなぁ〜と、感心していたら、この紹介VTR明けのスタジオトークでこれまた鋭い指摘に出会ってしまいました。


スタジオレギュラーの長濱ねるも冷蔵庫を使っていないらしく
「コンセント抜いてます。そっか、収納に使えばいいんだ、いいアイデア」と嬉しそう話しています。

それに対し尾崎世界観がこう言い放ちました。

「自分も以前は冷蔵庫を持っていなかったけど、引っ越していまは使っている。でも、冷蔵庫はちゃんと使ったほうがいい。」

なぜなら、

『そういうキャラ作ってると思われちゃうから』

「ひどーい」と笑いに包まれたまま、次なるVTR が引き続き始まっていきました。

長濱ねるが冷蔵庫を使っていないことが、キャラ作りのためなのかごく自然の結果なのかは知りません。

でも、
『そういうキャラ作ってると思われちゃう』の思われちゃうは、他の誰かにそう思われるよだから止めたほうがいいよ、という忠告に見せかけた、尾崎世界観自身の(自分に向けたかも知れない)指摘であることが垣間見られておもしろい。


大体において、あいつキャラ作ってると指摘する場合、その人自身もキャラを作っている場合が多く、だからこそ他人のキャラづくりに敏感になってしまうのでしょう。


実は自分もそういう傾向があって、妙に大胆で、豪傑で、他者を気にしない人を見ると、あいつキャラ作ってんじゃね、と訝ってしまうからです。

訝ると同時に、自分を振り返ると厄介な自意識ってやつがキャラ作りを始めてしまいます。

あえて大胆に、あえてズボラに、あえてぶっきらぼうに、
別のキャラを演じてしまうことだってあります。
別のキャラを演じているふりをしてしまいます。
別のキャラを備えている発言をしてしまいます。
そのたびに自己嫌悪の夜を迎え、睡眠不足に陥るのです。

でもどうしたって<見る見られる>の世界に生きているから、大なり小なり演じることだってあるさ。
本当の自分なんて自分自身でさえも分かるわけないし、相手や周囲や取り巻く空気によって簡単にころころ変わっていくものと諦めたりもしています。

とここまで考えて、
ひょっとしたら、
最近問題となっている回転寿司の<悪ふざけ>ってやつもどこかそうした<見る見られる>に引っ張られているところ、ありはしないのか。

友だち同士で回転寿司に行った、
特にみんなで真剣に語り合う話題なんてありゃしない、
見ると、そこに、レールを走る寿司や醤油差しやお茶がある。
へへ、オレ、こんな大胆なことやっちゃうんだぜ、とふざけてしまう。
その場のノリってやつが、途端に支配し始めて、加速する。

SNSを通じて、そこらへんのみなさんが、簡単に(偽りの)表現者になれてしまう。

もう止めましょう。
無理してキャラ作るのは、疲れるから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?