見出し画像

私の美(68)「ジブリ的な…」

 ジブリの映画が何故好きなのかと考えると、一つにはその造形美であることは確かです。各作品の物語性だけを捉えれば、観客の想像力を超える凄さというのはあまりなく、ベーシックな物語性を元にして、観客が喜ぶようなものに仕上げられているかと思っています。その点については、「プロだなぁ」と感嘆しています。
 その造形美は、スチーム・パンクの要素が上手に消化されているので、赤錆が浮いたようにどこか懐かしく、それでいて優しさというよりもどこか突き放すようで、その微妙な味わいが「ジブリ的な美」ではないかと勝手に考えています。このほど良さは、私たち観客が生まれ育ってきた日々の日常風景のなかに立ち現れてきたものだと思います。
 そして、今でも、例えば散歩をしていると、唐突にそうしたジブリ的な美に出逢うことがあります。
 写真のブイ(?)は江ノ島へと流れ下る境川の河口付近で川底の工事をしている船の脇に浮いていたものです。
 見て頂ければ、私がここで語るジブリ的な美を感覚的にご理解頂けると思います。
 以前のnoteにも、奥多摩のある駅近くにあるコンクリート製造工場の話をしたかと思いますが、その工場の風景に通じるジブリ的な美です。
 このブイは、緩やかな川波にプカリプカリと浮いていたのですが、その動きが、卵の中で孵化を待ち、もそもそと胎動するかのようで、しばらく眺めていました。動物である人間の私は、おそらくそうしたものに惹かれる動物なのでしょうね。中嶋雷太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?