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プロダクション・ノオト(5)

あちらこちらに寄り道をしながら書き綴っているプロダクション・ノオトです。本来なら、この4月9日、下北沢トリウッドで劇場公開する小編映画『Kay』/『終点は海』の完成に至るまでの話をすべきなのですが、私の映画体験を根掘り葉掘りと自問自答しつつと考えているうちに、一本だった道から雑木林に彷徨いこんだようです。実は、子供の頃から彷徨うのが好きで、性格は治らぬものと諦めてもいます。ただ、映画の雑木林こそ、上述の作品たちを制作する原点なのは違いないので、まだまだ彷徨おうかと考えていますので、お付き合いくださいませ。今回は学際的(インターディシプリナリー)についてです。幼稚園児のころから、我が父は図書館の本を全部読めという教育方針でした。今なら、図書館だけでなくGoogleでジャンル問わず知りたいことを調べなさい、というところかもしれません。小説だけでなく、あらゆるジャンルがお前のものだという教育のお陰で、私は知識の雑木林を彷徨う楽しさを知り、未だに彷徨っています。宇宙物理学、言語学、哲学、生物学、経済学……。教科書から離れ、無手勝流で気の向くまま、面白そうな知識をあれこれ吸収していると、すべての知識が関連づいているに気づきます。例えば、映画で演じる演技論。ジェームス・ディーンやアル・パチーノなど有名な俳優さんたちが学んだアクターズ・スタジオではメソッド法という演技論がリー・ストラスバーグにより教えられてきました。その元となったのはロシア演劇(コンスタンチン・スタニスラフスキー)です。フロイトの精神分析学の影響もあります。美学となると、アリストテレスの「詩学」からソシュールの言語学やフッサールの現象学なども関連するのに気づきます。映画の照明の光一つとっても、光は振動だとすれば、物理学を避けて通れません。そこから発想を引き伸ばすと、数10億年かなたから届く光や、約8秒前の太陽の光など……。学際的に物事を考え、知識の雑木林で迷子になる楽しさを抱えていると、人生楽しいものです。中嶋雷太

https://kaytosea.studio.site/

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