見出し画像

プロダクション・ノオトー「メタバース編」(14)

 久しぶりに、このプロダクション・ノオトを綴ります。前の13話の締めくくりで、「メタバースという空間にはもともと地勢はなく、その地勢をどうやって作り上げるのかの明確な考え方があるべきだと思っている」と締めくくりました。まるで作庭師のように、です。(https://note.com/righta/n/n1461ec1932cd)
 突然、東京の地勢の話になります。
 私の故郷である京都と東京の間を行き来するのに、これまで何百回も新幹線に乗車しました。最初は慣れぬ東京でしたが、やがて京都在住歴より東京に長く住み始めていたころです。東京という巨大な街の面白さをなんとなく感じ始めていました。そして、ある日のこと、京都から東京に戻る新幹線に乗車していた私は、品川の手前、西大井あたりで左急カーブで走行する新幹線の車窓を見て、あることに気づきました。
 数多くの方が知っておられるとおり、東京には「坂」や「谷」や「沢」などの地名に見られるように、東京は凸凹とした地勢を抱えています。のっぺりとした平坦なものではなく、まさに凸凹した地勢の上に曲がりくねった幹線道路や生活道路があり、さらに高低大小様々なビルやマンション、一戸建て住宅などが所狭しと立ち並んでいます。凸凹の地勢上に凸凹な人工物が建てられているので、多様な陰影が見られます。そして、陰陽道ではありませんが、太陽光や人工光、大気の流れや音や振動なども複雑多様になっており、それらが相まって東京というメトロポリタンの面白さを形作っているのだと思います。
 ここまでは、作庭師の話から東京メトロポリタンの地勢の話まで、分かりやすいと思い書き綴ってきました。
 さて、メタバースという空間が、xyz軸で描かれるのっぺりしたものになるのか、それとも東京に見られるような複雑多様な地勢で面白さを抱えるのか……が、とても大切な分岐点だと思います。
 話は行ったり来たりしていますが、次回では、この複雑多様な地勢があるメタバースであるのを大前提として、いよいよコンテンツの話になります。中嶋雷太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?