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ワードローブの森の中から(33)「新年の服装」

 子供の頃は、新年が明けると三日までは、我が家はバタバタと忙しい日々が続きました。父が家系の長男筋だったので、我が家にはあらゆる親戚がやって来て、朝から夜まで宴会が続いていました。我が家が迎える側だったのもあり、父、そして祖母や母は着物姿でしたし、私も長男の長男として年末に買ってもらった新品の服を着せられていたのを覚えています。これは我が家だけではなく、昭和の時代は、正月三が日は綺麗な服装でいるべきだという文化がまだ根強く残っていたのだと思います。
 この正月服装文化がいつごろ消滅し始めたのかははっきり分かりませんが、昭和天皇崩御から1990年代初頭のバブル経済崩壊あたりから、この正月服装文化崩壊が始まったようには、なんとなく思っています。服装風俗史研究者に一度訊ねてみたいものです。
 私の個人史では、2000年から数年間ロサンゼルスに住んでおり、正月は単なる休日でしかなかったので、正月文化が見事に消えてしまいました。帰国してからは、年末年始は実家があった京都に帰京しており、それなりの綺麗な服装でしたが、父の病と死去、そして母の介護と死去などが重なり、2015年には帰京することもなくなり、私の個人史では新年の服装文化は消滅しました。
 とはいえ、です。
 新年になると、それなりの服装で新たな年を迎えてはいます。写真は2022年新年のものです。せっかくの新年ですから、少しは明るい服装でいたいと思ってはいます。
 では、良いお年をお迎えください。
中嶋雷太

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