見出し画像

本に愛される人になりたい(25) 「理科年表」

 小学生の頃は理科という科目が好きでしたが、徐々に嫌いになっていきました。
 嫌いになった理由の一つが、先生が答えてくれないことで、確かに「?」ばかりの私は、先生にとってはうるさい奴だったに違いありません。
 たとえば、「水はH2Oで水素原子2個と酸素原子1個です」と説明されたので、「球体と球体の隙間には何があるんですか?」と質問すると、嫌な顔をされ無視されたのを覚えています。ビッグバンから宇宙は生まれ……とされていますが宇宙が均質なら、ビッグバンの点を中心に地球の正反対にも同じ地球があるはずだけど…などと言うや嫌われものになるわけです。
 ほかにもいろいろな疑問があり、未解決のまま中間試験や期末試験を受けたりし、まったくやる気をなくす私がいました。
 ところが、高校3年生の春、京都の丸善の本棚をぶらぶらと見ていたときに「理科年表」に出会いました。
 「理科年表」は国立天文台が編纂した理科に関わる様々な基礎データが掲載されていて、そのオフィシャル・ホーム・ページでは「理科年表は大正14年(1925)創刊以来の歴史と伝統を持つ科学データブックであり、自然科学のすべての分野を網羅したユニークなものです」と説明されています。
 「『理科年表』は、国立天文台が編纂するサイエンスの全分野を網羅した、世界的にもユニークなデータブックです。大正14年(1925)に創刊、以来、毎年発行を続け(昭和19、20、21年版は戦後の物資難などの影響から休刊)、最新2022年版で95冊目になります。本書は、暦部、天文部、気象部、物理/化学部、地学部、生物部、環境部の7部門と附録で構成されています。昭和59年(1984)版に生物部、平成17年(2005)版に環境部がそれぞれ新設され現在の部門構成となりますが、基本的な掲載スタイルは創刊当時からほとんど変わっていません。理科・サイエンスの基礎データ、原典として幅広く活用されており、研究者・技術者はもちろん理系学生、理科教育関係者、サイエンスライター、メディア担当者、理科ファンなど、サイエンスに携わる多くの方々に愛用されています」というもので、根っからの理科好きとしては、いつも手元に置いては、あれこれ基礎データに目を通すのが楽しみです。
 物語を書く上でも「理科年表」はとても良い参考資料で、ちょっとしたリアリティを描くためには、欠かせない本になっています。
 ほとんど引用みたいになってしまい申し訳ないのですが、理科が嫌いとかであれば、ぜひ「理科年表」を一冊手元に置いてください。暗記だけの即答正解が教育となってしまった現在、豊かな気持ちになれる真性の教育・教養が詰まっていると思います。中嶋雷太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?