素のわたし

誰もが時々

どうあがいても

逃げ隠れすることができない

自分という偽らざる存在に

素直に戻らなければならないときがある

普段はそんなこと

意識することもなく

皆よそ行きの服を

幾つも持ち歩き

自由に重ね着しつつ

本当の自分が隠れるように

生きているものだ

しかしながら

よそ行きのオシャレな服を

何枚も重ね着していると

とても動きにくくて

いっそ脱いでしまいたいことは

何度だってある

着膨れしたことで

やたら心が重い

オシャレし過ぎたあげく

今後もずっと高級衣装を

纏わなくてはならなくなり

いつの間にか

本当の自分を晒さないことが

人生の大半を占めるようになっているのに気づく

諦め

妥協

無難

ことなかれ主義

そんな選択肢の吹き溜まりに

すっかり汚れきったわたしに向かって

ある日

汚れの少ない

本当のわたしが

夢の中で

笑って語りかけてきた

『ねえ…』

『教えるからよく聞くんだよ』

『歩こうが

走ろうが

泣こうが

怒ろうが

やろうが

やるまいが

進もうが

退こうが

真面目だろうが

不真面目だろうが

見栄張ろうが

張るまいが

右だろうが

左だろうが

大した差なんて

ありはしないの

あなたはあなた

自然体こそあなたなのよ

疲れたら寝て

苦しかったら苦しいと素直に言って

辛かったら辛いと口に出して言うのよ

仕事行きたくなかったら

行かなくていい

嫌いな人がいたら

死んでも好きになっちゃダメ

お酒の力を借りたいときは

あなたは胃が弱いんだから

少し食べてから飲みなさい

たまにはそうやって

かけがえのないあなたを

大切にしてあげてね

あなたを大切にしてくれている

あなたの味方も

たくさんいるんだからね

それだけは忘れちゃいけないよ…』

そう言い終わって

夢の中の

本当のわたしは

笑顔で去っていった.....

実を言うと

今年になってから

仕事的にも

プライベート的にも

かなりの疲労を

溜めていたわたし

そのせいか

不死身で無敵を自負していたのに

自覚症状こそないけど

身体は悲鳴をあげていたようだ

ここに記したごとく

来週から

また生まれ変わったつもりで

自然体で

素のわたしになります