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日本一を目指すことが思考の幅を狭める?

サッカーJリーグを創設し、バスケットボールBリーグを改革した川淵三郎氏の講演を聞きました。

2015年、 日本のバスケットボール界が混迷のなかにあって、川淵氏に改革の担い手としての白羽の矢がたちました。

川淵氏は、バスケットボール界の幹部のヒヤリングから仕事を始めました。現状への認識、未来への展望などを聞くなかで、ある質問を投げかけたのでした。

「このままだと海外で活動できなくなります。どう思いますか」

この質問に耳を疑う回答が、日本バスケットボール界の幹部の口から。それは、

「我々は、日本一を目指しいるのだから、海外のことは考えていない」と、

川淵氏は、この声を機に決意を新たにし、改革のための行動をドラスティックに起こす英断することになります。その結果が今日のバスケットボール界の繁栄に繋がっています。

そして、もう1つ優秀な指導者のエピソードを紹介します。

日本代表ラグビーチームに南アフリカチームから劇的な勝利をもたらした名将、エディ・ジョーンズ氏の言葉です。

エディさんが、日本人の勤勉さを強みとして活用しつつ、更にメンタリティーを根本から変えることに挑戦する過程でこんなことを言っています。

「日本の選手たちはこれまで大学やクラブで”日本一”にしか興味がなく、それで満足する、ドメスティックな考え方でした。」と。

果たして、この二人の指導者に共通する胸の内は、いかようなものであったのか。それは、日本一を目指すということで、思考の幅を狭めているのではないかということ。

つまり、国内限定で通用する戦術への意識の偏り、短期間に結果を出さなければというプレッシャー、旧態依然とした組織内のこだわりによる閉塞状態、

これらから派生する弊害に対する危惧だったのだと思います。

これらは、最終的には選手育成するうえで大きな障害に繋がり、ここまで日本スポーツ界の可能性をどれだけ摘んで来たことか、ここで基本的なパラダイムシフトをする必要があるのではないでしょうか。

今、新しい世代の日本人トップアスリートは、確実に大きな視野をもって挑戦を始めています。そして、指導者の意識も変わりつつあります。

2019年7月25日全国高校野球、岩手県大会の決勝戦に理性的に決断した大舟渡高校の国保監督の行動を称えたいと思います。

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