Helloween作曲者別楽曲分析
ハロウィンを「作曲」という軸で見ていくと、その大きな特徴は、初代ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグ(Dr)と3代目・現ドラマーのダニ・ルブレ(Dr)以外の8名の歴代メンバーがコンポーザーである点。しかも共作が少なく、各メンバーがそれぞれの楽曲を持ち込み、民主的に楽曲を選択するシステムを採用しているにもかかわらず、「ハロウィン印」と呼べるようなサウンドの一貫性を保っているのが特徴であり、面白さでもあります。ちなみに前回記事では、ハロウィンの全アルバム楽曲平均点比較をしてみましたが、今回はアルバム軸ではなく、作曲者軸で楽曲を見ていきながら、その特徴を分析していこうと思います。
まずは、作曲者別の作曲数、平均点、キラーチューン(5点)比率、イマイチ曲(2点以下)比率を見ていきましょう。
■平均点
カイ・ハンセンが4.43点とトップで、2位は4.29点でヴァイキー。ハロウィンサウンドの型を創り上げた2人の天才がやはり安定感抜群でしたね。予想以上に健闘しているのがマーカスとキスク。共に10曲以上の楽曲提供をしながら、4点以上の平均点を確保。マーカスの場合、コンポーザーとして本格稼働し始めたのは00年代以降ですが、コンスタントに4点以上の佳曲・名曲を提供していることが平均点が高くなってる要因でしょう。キスクは、4th~5thというあまりハロウィン史の中では評価の高くない冒険的作品でメインコンポーザー的な活躍をしながらこの点数というのは立派。一方、ローランドが3.00点と思ったほど振るわず最下位。これは楽曲のクオリティに少し安定感が足りなかった点が要因かと思われます。
■キラーチューン(5点)比率
こちらはヴァイキーが45曲中27曲、キラーチューン比率60%という驚異的な結果でトップに。2位のカイも57.1%と健闘してますが、提供楽曲数が1/3程度(楽曲提供期間も5年間 vs 35年間)で、Gamma Ray中期以降は極端に名曲比率が下がっている(手癖やパクりが露骨になる)ことを考えると、ヴァイキーの天才っぷりがよく分かると言うもの。全体的に各人提供曲の2割以上がキラーチューンという優等生ぶりですが、ハロウィン屈指の名曲”Mr. Torture”を提供しながらも、唯一10%台にとどまってしまったのがウリ。敢えての狙いなのかは分かりませんが、彼の作った曲はあまりハロウィン色の強くないヘヴィ&アグレッシブなものが多かったこともキラーチューン率の低さに影響してるかも知れません。
■イマイチ曲(2点以下)比率
28.6%とダントツでローランドがワースト。名曲もそれなりに提供してくれた一方、楽曲提供のあった作品では4th以外では必ず2点以下が含まれていたように、提供する楽曲の質にムラがありましたね。特にハロウィン(=アンディのVoスタイル)には馴染まないヘヴィなスローチューンを何曲も提供してしまったのが足を引っ張ってしまった要因かも(リフにはそれなりに光るものはあったのですが…)。
次に各作曲者別の傾向を見ていきましょう。
■カイ・ハンセン
単独楽曲提供数 14曲(5点8、4点3、3点3)
楽曲平均点 4.43点 <1位>
キラーチューン比率 57.1% <2位>
イマイチ曲比率 0.0% <ワースト8位>
作風としては、ヘヴィメタルの形式性への拘りが強く、スラッシュメタル風のパワーメタルから、メジャーコードのFun要素の強いポップメタル曲まで幅広く作れますが、あくまでもメタルのフォーマット枠内で、起伏に富んだキャッチーなメロディ(イントロ、歌メロ、ギターソロ)を要所要所に入れ込む達人と言えそうです。キラーフレーズのオマージュ的拝借も多いですが、その入れ込み方が巧みで(Gamma Rayではかなり雑になってますが…)、”I Want Out”ギターソロのM.S.G.”Into the Arena”のように、指摘されなければ、違和感なくオリジナルのように聴けてしまいます。
全14曲をタイプ別に分類すると、Gamma Rayで多用するようになった、オペラティックなクワイアを使った重厚かつ劇的なパワーメタル路線(Blind Guardianからの逆輸入)やJudas Priest/Manowar的なマッチョメタル路線はまだ顔を見せておらず、少し大雑把ではありますが、下記3タイプに集約されるかと思います(太字は5点満点)。
①サビで楽曲名連呼のライブ映えを意識したシンプルなパワーメタル
Murderer, Warrior, Ride the Sky, Phantoms of Death, Metal Invaders, I’m Alive, Save Us
②キャッチーなイントロと合唱型コーラスで構成された軽快なポップメタル
Future World, I Want Out
③クラシック的な大仰な展開を持つメロディック・パワーメタル
Twilight of the Gods, March of Time, Skyfall
①路線の場合、どうしてもサビがシンプルなものに落ち着く傾向があるため(ヴァイキーとの共作”Heavy Metal (Is the Law)”は、サビメロをヴァイキーが作っていることもあり、その傾向を回避出来ている)ヴァースからブリッジに掛けて、いかに印象的なメロディ展開を入れられるかが名曲の成否を分けるカギとなります。それが最も成功したパターンが”Ride the Sky”でしょう。ちなみに②③はどちらもカイの十八番。このパターンで来たら名曲間違いなしと言える安心感あるスタイルですね。
■マイケル・ヴァイカート
単独楽曲提供数 45曲(5点27、4点9、3点5、2点3、1点1)
楽曲平均点 4.29点 <2位>
キラーチューン比率 60.0% <1位>
イマイチ曲比率 8.9% <ワースト7位>
作曲パターンが割と決まっているカイと比べると、楽曲のスタイルも、メロディパターンも多彩ですが、やはりヴァイキーの十八番と言えば、多幸感溢れる流麗なサビメロで強烈な高揚感を煽るメロスピスタイルかと思います。Edguy、Stratovarious、Hammerfall、Sonata Arcticaなど多数のフォロワーを生み出しましたが、本家ヴァイキーのサビメロの強烈なフックはやはり別格。一体どこからそんな心地良いメロディが浮かんでくるのかと思わせる流麗な展開に、さながらポール・マッカートニーのようなメロディメイカーとしての天才的閃きを感じさせてくれます。
ちなみに5点をつけたのは以下の27曲で、太字がメロスピ系。
Guardians, How Many Tears, Eagle Fly Free, Rise and Fall, Dr.Stein, Keeper of the Seven Keys, First Time, Giants, Sole Survivor, Where the Rain Grows, Secret Alibi, Power, Kings Will Be Kings, Falling Higher, Midnight Sun, All Over the Nations, Salvation, The Tune, Born on Judgment Day, The Saints, The Sage, the Fool, the Sinner, Burning Sun, Years, Battle's Won, Creatures in Heaven, Out for the Glory, Robot King
後年になるほどメロスピ系楽曲が多くなっていますが、上記5点満点楽曲の中からメロスピ曲のみ分類してみても、以下のように多様な方向性を引き出しに持っているので、コンポーザーとしてマンネリ化した印象を与えないのが強みだと思います。
①勇壮系
Falling Higher, Burning Sun
②飛翔感溢れるメジャーコード&ハイノート系
Eagle Fly Free, Out for the Glory
③高揚感溢れる明るいコーラス系
Guardians, All Over the Nations, The Saints, Years, Battle’s Won
④哀愁漂うイントロ/多幸感サビメロの転調系
Salvation, The Tune, Born on Judgment Day, Creatures in Heaven
⑤悲壮感溢れるマイナーメロが起伏するドラマティック系
How Many Tears, Kings Will Be Kings, Midnight Sun
⑥複雑&アグレッシブ系
Robot King
■マイケル・キスク
単独楽曲提供数 10曲(5点3、4点5、3点1、2点1)
楽曲平均点 4.00点 <4位>
キラーチューン比率 30.0% <4位>
イマイチ曲比率 10.0% <ワースト6位>
天性のハイトーンメタルヴォイスを持ちながらも、元々メタルに思い入れが少ないこともあり、正統派メタル楽曲は”A Little Time”, "You Always Walk Alone"くらいで、コンポーザーとしてはHR/HM外のアプローチに積極的にチャレンジしていた印象のキスク(5th”Chamereon”の冒険もキスク主導でしたし)。
提供した楽曲は、A Little Time, You Always Walk Alone, We Got the Right, Kids of the Century, Goin' Home, Your Turn, When the Sinner, In the Night, I Believe, Longingの10曲(太字は5点満点)。ここからキスクらしい曲づくりのパターンというのは特に見い出せませんが、楽曲の質は安定的に高く、カイ、ヴァイキーという天才コンポーザーの影に隠れがちではあるものの、耳残りの良いボーカルメロディを作る才能は相当高いコンポーザーだと思います。
この中で注目したいのは、4th収録の”Kids of the Century”と”Goin’ Home”の2曲。QueenやSweetのような往年のブリティッシュ・ハードロック的な華麗なコーラスワークを採り入れた、ハロウィンの新しい可能性を示唆する楽曲であり、もしキスクがそのままバンドに残り続けていたら、また違った音楽性を確立出来ていたかもしれません。
■マーカス・グロスコフ
単独楽曲提供数 10曲(5点4、4点5、1点1)
楽曲平均点 4.10点 <3位>
キラーチューン比率 40.0% <3位>
イマイチ曲比率 10.0% <ワースト6位>
ボーナストラック職人として日本のファンにはお馴染みのマーカス。今回は日本盤ボーナストラックは除外しましたが、もしそこも含めてのランキングであれば、キラーチューン比率はもっと上がったかもしれません。ちょうどカイとローランドが担っていた穴をうまく埋めるかたちで、印象的なメロディを配したストレートなパワーメタル、ハードロックを作れるコンポーザーとして、"Rabbit Don't Come Easy"(03年)以降、一気に頭角を現してきました。
提供した楽曲は、I’m Doin' Fine, Crazy Man, Hell was Made in Heaven, Final Fortune, Heaven Tells No Lies, World of Fantasy, If a Mountain Could Talk, Far from the Stars, Straight Out of Hell, Living on the Edge, Indestructibleの10曲(太字は5点満点)と、オリジナルメンバーの割には寡作。その代わり提供する楽曲の質はかなり高く、明るいポップメタルから哀愁感溢れる疾走曲に至るまで、「痒いところにしっかり手の届く」良質のメロディが散りばめられているのが特徴。ハロウィン印の楽曲を作るという意識が非常に高いですね。
特に注目したい楽曲は、”Straight Out of Hell”。カイ脱退後、長らく登場してこなかった”Future World”や”I Want Out”のような、ライヴ大合唱系の小気味良いポップメタルチューン。エネルギーに満ち溢れた、非常に完成度の高い楽曲で、今後マーカスがLIVEのアンコール定番曲になるような新たな代表曲を創り出すのではないかという期待を持たせてくれます。
■ローランド・グラポウ
単独楽曲提供数 14曲(5点3、4点1、3点6、2点1、1点2)
楽曲平均点 3.00点 <8位>
キラーチューン比率 21.4% <6位>
イマイチ曲比率 28.6% <ワースト1位>
カイ・ハンセンの後任として加入後、5枚の作品に参加。ヴァイキー、アンディと並ぶメインコンポーザーとして、アルバム平均3曲程度の楽曲を提供。楽曲平均点3.00点と低めではありますが、意識的にパワーメタル路線から離れた冒険作4th~5thのメインコンポーザーということで平均点を下げてしまっていることを考えると、そこまでコンポーザーとしての質は低くないと思います。印象とすると、マイナーメロディ主体のストレートなメタルチューンで力を発揮するタイプのコンポーザーと言えると思います。
提供した楽曲は、Back on the Streets, Someone's Crying, Mankind, The Chance, I Don't Wanna Cry No More, Crazy Cat, Music, Step Out of Hell, Mr.Ego, Take Me Home, Still We Go, The Time of the Oath, Escalation 666, The Dark Rideの14曲(太字が5点満点)。
5点満点を取っているのは、いずれもマイナーメロ主体のオーソドクスなパワーメタル曲で、多様な路線を意識的に狙って作った楽曲(フォークっぽかったり、ブラスロック調だったり、ブルージーだったり、エピック・ドゥームっぽかったり)はぎこちなさが目立ち、楽曲クオリティ的にもいま一つの印象です。
■アンディ・デリス
単独楽曲提供数 45曲(5点9、4点17、3点13、2点3、1点1)
楽曲平均点 3.67点 <5位>
キラーチューン比率 20.0% <7位>
イマイチ曲比率 11.1% <ワースト4位>
5th以降の参加メンバーながらも、ヴァイキーと同数の楽曲数を提供していることからも分かるように、とにかく多作で作風も多彩。点数の分布をみると4点に点数が集中しており、カイやヴァイキーのような「ホームランバッター型」のコンポーザーではなく、良曲を量産する「安打製造機型」のコンポーザーと言えます。
4~5点の26曲を細かく見ていくと、ヴァイキー型多幸感メロスピ路線の”Just a Little Sign”、アラビック音階を活用した疾走パワーメタル曲”Nabetea”、プログレシッブな激しい展開を見せる長編曲”Occation Avenue”の3曲の異質な楽曲を除くと、方向性としては、以下の4タイプの楽曲に分類できます(太字は5点満点)。
①アンディの色気ある歌い回しを活かした哀愁ハードロック
Why?, Perfect Gentleman, I Can, Hey Load!, Mrs.God, As Long as I Fall, Lost in America, Waiting for the Tunder, If God Loves Rock 'N' Roll, Mass Pollution
②アンディのファルセットヴォイスを活かした悲哀感溢れるパワーメタル
We Damn the Night, Make Fire Catch the Fly, My God-Given Right, Fear of the Fallen, Rise Without Chains, Cyanide
③欧州的メランコリックなバラード
Forever and One, If I Could Fly, Light the Universe
④アグレッシブなヘヴィリフ基調のメタリックナンバー
Kill it, Are You Metal?, The Bells of the 7 Hells
どの路線でもそれなりのクオリティの楽曲は作れるものの、やはりアンディのコンポーザーとしての真骨頂は、Pink Cream 69時代から得意としている①の哀愁ハードロック路線でしょう。ブルータルにも歌えるし、高音シャウトもこなせるシンガーではありますが、表現力の巧みさで勝負するアンディの歌唱には、この路線が一番無理なくマッチしているかと思います。また、ハードロック路線は他のコンポーザーの得意領域でもないだけに、ハロウィンの楽曲の幅の拡張にも大きく貢献しているかと思います。
ただし、3点以下の楽曲が17曲(全体の38%)もあるように、アルバムの中休み的な楽曲も多く提供しがちなのが欠点。低音/高音に関わらず、歌声の力強さで楽曲を牽引できるタイプではないだけに、ミドルテンポのメタリックなリフを主軸とした無骨な楽曲や、哀愁メロディなしのラフなハードロック系の楽曲だと、結構ダルい印象になってしまっている印象です。
■ウリ・カッシュ
単独楽曲提供数 8曲(5点1、4点1、3点5、2点1)
楽曲平均点 3.25点 <7位>
キラーチューン比率 12.5% <8位>
イマイチ曲比率 12.5% <ワースト3位>
インゴ・シュビヒティンバーグ後任の2代目ドラマーとして、”Master of the Rings”(94年)から”The Dark Ride”(00年)まで加入。コンポーザーとしては、”The Time of the Oath”(7th)から参戦。ビートルズにおけるリンゴ・スター提供曲のような「ドラマーがたまに曲作ってみました」的箸休め楽曲ではなく、メタル界屈指のハイレベルなコンポーザー陣とガチンコ勝負できるレベル感の楽曲を提供しているのが凄い。平均点は3.25点とワースト2ではありますが、ハロウィンというバンドの楽曲水準が極めて高い中での数字であることを考えると十分な数字と言える気がします。
提供した楽曲は、Wake Up the Mountain, A Million to One, Push, Revelation, A Handful of Pain, Mr.Torture, The Departed (Sun is Going Down)の8曲 (太字が5点満点)。
ハロウィンをポップ・ミュージック的な親しみやすい/直ぐに口ずさめるボーカルメロディを主軸にしたメタルバンドだと捉えたとすると、ウリ楽曲は、ヴァース~ブリッジ~コーラスが流れるように進行するタイプではなく、ドラマーらしくリフや展開の妙を軸とした「骨格の面白さ」で勝負する硬派な楽曲が多い印象。リフもサビも適度にキャッチーではあるのですが、どこか要素をつなげた感覚が強く、個人的には楽曲に「ハロウィン印」が最も感じられないコンポーザーという評価です。
ただし、”Mr.Torture”だけは別格で、前回記事でも触れたように、ヘヴィかつリズミカルなヴァースと、アンディのファルセットを活用した明るさと切なさが同居したコーラスとの対比が絶品の1曲。この曲だけで、ウリがコンポーザーとしてハロウィンに在籍していた意味があったと言えるくらいのハロウィン屈指の大名曲だと思います。
■サシャ・ゲルストナー
単独楽曲提供数 15曲(5点5、4点4、3点5、2点2)
楽曲平均点 3.67点 <5位>
キラーチューン比率 26.7% <5位>
イマイチ曲比率 13.3% <ワースト2位>
ローランドの後任ギタリストとして、”Rabbit Don’t Come Easy”(03年)から加入し、ヴァイキー、アンディに次ぐ、第3のコンポーザーとしての存在感を発揮。平均点3.67点、キラーチューン比率26.7%とまずますの成績。
提供した楽曲は、Sun 4 the World, Pleasure Drone, Silent Rain, Paint a New World, Dreambound, Who is Mr. Madman?, You Stupid Mankind, My Sacrifice, World of War!, Hold Me in Your Eyes, Asshole, Church Breaks Down, Heroes, Like Everybody Else, Angelsの15曲 (太字が5点満点)。
悲哀感満載のメロスピ、ネオクラシカル系メタル、ミドル~アップテンポの正統派メタル、モダンなアレンジのアグレッシブなパワーメタル、叙情的なパワーバラード、と「これぞサシャ」という明確なスタイルはありませんが、「メロディアスなメタル」に仕立て上げるというゴールを明確に意識した上で、コンテンポラリーなメタルを含めた引き出しの広さを武器に、きちっと「ハロウィン印の楽曲」を創り上げることのできる、非常に器用な職人タイプのコンポーザーという印象です。
若干クオリティにムラがあり、正直アルバムの中休み的な楽曲を提供してしまうこともありますが、5点満点を付けた”Silent Rain”, ”Paint a New World", "Dreambound", ”Who is Mr. Madman?”, "World of War!”のようなハマった時の爆発力には目を見張るものがあります。スタイルが確立されたコンポーザーが多い中、引き出しの多いサシャのキラーチューン比率を更に上げられるかどうかが、今後のハロウィンの発展のカギを握っている気がします。
以上、作曲者別にハロウィン楽曲を見てみましたが、「親しみやすいメロディを軸に、王道的なHR/HMとして成立する楽曲を作る」という制約条件(=ハロウィンのコンセプト)をしっかりクリアしながら、これほどまで質の高い楽曲を、各コンポーザーが時代毎に量産出来ている点が本当に驚異的。おそらくカイ、ヴァイキーというパワーメタル界屈指の天才的才能を持ったコンポーザーがいたことで、楽曲採用ハードルが上がり、必然的に各人の作曲力の平均値が引き上げられたのかと思われます。
また、ハロウィンのメロスピスタイルを拝借したフォロワーバンドと異なり、既視感満載の金太郎飴的なサウンドになっていないのも特徴。メロスピスタイルが目指すゴールではなく、親しみやすいメロディを主軸とした王道HR/HMの成立に向けて、多様なコンポーザーが、多彩な引き出しの中から勝負しているからこその違いかと思います。
今後7人編成ハロウィンとして、カイやキスクのコンポーザーとしての影響が作品にどう表れてくるのか?、サシャのコンポーザーとしての主張がどのように発揮されていくのか?マーカスによるハロウィン代表曲は生み出されるのか?など、個人的には35年近い付き合いのあるバンドであるにも関わらず、まだまだ創造性への興味は尽きません。
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