【菜根譚_前011】贅沢は本当に悪ですか?
今回は「贅沢は本当に悪ですか?」。
-- 美衣美食が身をほろぼす
というお話です。
■この章のメッセージ
人の心は質素な生活により磨かれて輝くものであるが、
贅沢な生活によって節操は失われていくものである。
周りから恭しい態度をとられることでセルフイメージばかりが上がり、自分はすごい人と思い込むことが悪である。
■贅沢は身を滅ぼすというけれど...
早いもので12月。
-- 久しぶりに友達と美味しいものを食べにいきたい!
-- 年末くらい普段いかないお店で大人の雰囲気を楽しみたい!
-- ボーナスも入るし大きな買い物をしたい!
いろいろ計画を立てている人も多いのではないでしょうか。
たまにはご褒美、大切です!!
ただこの章のメッセージは、贅沢は身を滅ぼす...。
菜根譚が書かれた時代は農業がメインで食事も貧しい時代。
飽食で物があふれる現代にそのまま当てはめると違和感はありますが、
言わんとしていることはよく分かります。
現代にあわせた解釈をするにはどうすればいいのでしょうか?
■なぜ贅沢は身を滅ぼすといわれてしまうのか?
贅沢の何がいけないのでしょうか?
-- 高級なお店に行くと恭しく過剰な対応をしてもらえる
-- お金を持っていると周りがかしずく
-- 周りの人がすごい人と認識してそのように接する
贅沢な生活をすればするほど、恭しい態度をされることが日常になっていきます。
それを「肩書」と「中身」というたとえで分かりやすく図解している山田太郎さんの記事がとても分かりやすいので引用させていただきます。
贅沢そのものが悪いというよりは、実態とセルフイメージがどんどん乖離していくこと、慢心していくことが良くないと言えるでしょう。
贅沢を悪と捉えるのは短絡的。
▷今日は贅沢する日!
▷贅沢する分、明日からまた頑張ろう!
▷自分のステージを上げるためにも普段行かない店に行きたい!
分かった上で「今日は贅沢する日!」と決める。
慢心せずに贅沢をうまく活用しながら中身を高めていければいいなぁと思いました。
■原文と訳文
藜口けん腸(れいこうけんちょう)は、氷清玉潔(ひょうけいぎょっけつ)多し。袞衣玉食(こんいぎょくしょく)は、婢膝奴顔(ひしつどがん)に甘んず。
蓋(けだ)し、志は澹泊(たんぱく)をもって明らかに、而(しか)して節は肥甘(ひかん)より喪(うしな)う。
<訳文>
普段からあかざや山ごぼうなど粗食を良しとする人は、
氷や玉のように心が清くて汚れのない持ち主が多い。
一方、美衣や美食を求めすぎる人は、奴婢(どひ)が自分にへつらい従うのに甘んじて、地位の高い人や権力者に対して卑屈な態度を取ることが多い。
というのも人の心は、淡白で質素な生活により磨かれて輝くものであるが、その節操は、贅沢な生活によって失われていくものである。
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*わたしが参加している勉強会はこちらです!
*参考文献
菜根譚/洪自誠 著・中村璋八、石川力山訳
菜根譚コンプリート/洪自誠著・野中根太郎 訳
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