誰にも媚びない。それがたーちゃん。

1年前、いわゆる保護犬を引き取ることになった。その犬と私達の間には空白の8年があることを思うと、色んな心配があった。

その子は、兎に角ビクビクしていて、傘のような長いものや、大きな音に異常なまでに反応した。水は水たまりでしか飲まない。夕食は私達が寝静まってから、暗い中食べているんだろう。一日中静かに部屋の隅でじっと過ごす。散歩の時だけ水を得た魚のように、豬のような力で前へ進む。

あれから時間をかけて新しい生活に慣れていってくれた。お散歩は、相手によって速度を変えるクレバーぶり。人間、犬問わず、世の中で子どもと呼ばれるものが近づいてくれば、自らお座りして静かにしている。人がいてもご飯を食べるようになったし、おやつが欲しい時はその子のテリトリーから出てくるようになった。夜になるとソファーへ移動して寝る準備だ。

感情も出すようになった。散歩の時、じゃれるようになったし、嬉しい時は嬉しい顏を、嫌な時はため息までつく。最近は甘噛みまでするようになった。とはいえ、外出先から戻っても、帰ったんだねー、おかえりー。しっぽ、ぶんぶんぶんぶん。といった、犬あるあるは、ない。「あ。」ぐらいの反応で、顔さえ床から上げない。目だけで挨拶する。挨拶しているのかもわからない。それでもいい。それがいい。誰にも媚びない。それがうちのたーちゃんだ。

なんというか、なんというか、その子がいるだけで毎日幸せだ。賢くてワイルドでもの静かで孤高のイケメン犬。ううううっ。涙がでてくる。大好き。

犬を飼う選択肢として、保護された犬を選ぶ人が増えたらいいなと、心から思う。消えかけそうだった一匹の命が、何かの縁で続きのある運命へと変わる。結果的に幸せな人間が増える。私のことだ。とりあえず幸せ報告でした。うちに来てくれて感謝しかない。ありがとう!ラブユー♡

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