母娘、三鷹の森ジブリ美術館を楽しむ
先日、ふたりの娘と出かけたのはジブリ美術館が目的だった。当初はひとりで行こうと思っていたけれど、ひょんなことから話が出て、ふたりとも行きたいと言い出し母娘の3人旅へ。
娘達が社会人になってからは休みを合わせるのが難しくなり、実家へ帰ることすら1人だったり2人だったりと、3人揃っていくのは年に一度くらいになっていた。なので3人での旅行は久しぶり。
三鷹の森ジブリ美術館は、その名の通り、宮崎駿監督が館主を務めるスタジオジブリの作品を収蔵している場所である。
この美術館、完全予約制。そう事前にチケットをとらないと入れない。
しかも、毎月10日に翌月分が発売されるが、土日はすぐに売り切れてしまう人気ぶりだ。
となると、チケットを取るところからジブリ計画は始まる。
まず10日に休みであることが前提。
そしてこのチケット、払込を2日以内に済ませなければ流れてしまう。そう、それがキャンセルとして3日後の13日に再度発売されるのだ。
あまり知られていない?この情報、とても重要!
先月10日、遅番勤務の都合上、私の休みはかなり早くから決まっていた。そして次女は月曜休みのため13日が休み。このダブル休みを利用してチケットを取ることにして、6月の予定をたてた。
さあ5月10日。
チケットゲットのためパソコンとスマホのダブル使いで格闘するけれども、日曜のチケットは瞬く間になくなった。
母撃沈。
ここで、月曜にするかかなり悩み、やはりゆっくり出来る日曜日にとろう、と3日後の次女に託すことに。
本当にいるのか?キャンセル。いなければ即終了の恐怖。しかも悩んでいる間に平日もどんどんとなくなっていく。恐るべしジブリ人気。
しかし3日後、無事キャンセル分は発売され、次女はきちんとチケットをゲットした。そう、10日にとれなくても諦めることはないのだ。
この情報を知っているといないとでは全く違う結果になるところだった。良かった。
かくして急いで航空券とホテルを探し、私たち母娘は無事にジブリ美術館へと旅立った。
母娘3人で行くと性格が出る。
リーダーシップをとるのは毎月遠征で東京も旅も慣れている長女。そして我が道を行くタイプ。サクサク検察しながら電車を乗り継いでいく。
私と次女はおまかせで付いていく。しかし長女、時々すっとぼける。
次、2番線から乗るよ。
あれ?3番からしかない。2番どこだ?
2番なら今通りすぎたけど、と私が後ろを振り返って2番の案内板を指さす。
長女、大笑い。
慣れてるようでやはりお上りさん。
三鷹駅から目的地まで徒歩15分。ジブリ美術館行きのバスあり。
さあどうする?
同時に答える。
「歩こう」
「バス」
「どっちでもいい」
三人三様。まあ見事にバラバラ。
ちなみに歩こうが母、バスは長女。年くってるのに母が歩こうで若者がバスとは何事じゃいと思うけれども、こういう場合は高確率でバスになる。
だって歩けない人を歩かせると鬼と言われるし、もし歩かせようものならぶつぶつ言いつつ不機嫌になるに違いない。歩ける人がバスに乗るのは簡単だもの。
次女は優柔不断というよりは気遣いのどっちでもいい派だ。気を配り過ぎるのが垣間見えて、もう少し自分の意見を言ってもいいよ、と思う。
結局バス移動。
バス停もイラスト入りのバスも可愛らしい。ネコバスとかならもっと良かったのにね、なんて勝手気ままなことを言いながら乗り込む。
ちなみにこの道「風の散歩道」と名前がついている。
道すがら紫陽花が咲いていて、歩くと気持ち良さそうだな、と未練たっぷりの私は窓の外を食い入るように見つめる。
歩くとその街の景色が近いのに。しかも、風の散歩道だよ。風の散歩道。
しかし大人なので黙ってバスに揺られる。窓を凝視し流れる景色を少しでも目に焼き付けながら。
バスはあっという間に到着し、降りた瞬間から気持ちが盛り上がる。
可愛い看板と建物に写真撮りまくりの3人衆。同じ写真をみんなで撮ることはない。あとでLINEでアルバムを作るのだし。
そう言いながら3人ともパチパチパチパチシャッターを切りまくる。
トトロのお出迎えにテンションが上がり、更にパチパチパチパチ。
みんな落ち着こう 笑
そろそろ並ぼう。
この日の予報は雨。なんとか到着時点では降っていなかった。
曇り空。
湿度が高く、それが逆に森の雰囲気を高めている。この空気感、最高。
晴れ空よりも似合ってるんじゃない?と口々に言い合う。
この中に入ると撮影禁止地帯。
デジカメ、スマホ時代となり今は容易く写真が撮れる。
フィルムの時代は一枚を撮るのが今より貴重だった。アングルや枚数にも気を使って撮影していたように思う。今はデータで枚数制限もなく失敗したら消すことも出来るため、すぐにパチパチする。しかも同じものを何枚か撮ってしまう。便利だけども、たまにはそれから離れてみるのも必要。
時には撮影禁止もいい。そのほうが一生懸命見るような気がする。自分の脳裏へとしっかり焼き付けるために。
中へ入り、ひとつひとつゆっくりと観賞していく。
大好きなジブリの世界がそこにある。
今春からアート系の学校に通い始めた次女は、それはもう真剣に真剣に見ていて、予想通り私と長女との差がだんだんと開いていく。
視点もなんとなく違っている。
絵コンテの部屋では「やばい、いくら時間があっても見きれないよ、これ」
と呟いている。
入場したのは11時42分。気づくと2時近い。
お腹が空いているけれど、まだまだカフェは混んでいた。
待ち時間が長くなりそうなので諦めてテイクアウトで食べることにする。
(食べ物は撮影OK)
私と長女は、あとはショップを残すだけ。次女はまだまだかかるだろう。
平均滞在時間は2、3時間とのことだが、私はこの倍はかかると読んでいたので想定内。
ショップを見たあと、我が道行く長女は、アイドルのイベントへ向かうため少し早めに出て別行動。大丈夫、見た見た、楽しかった、と出口へ向かう。
私は次女に合流し、ほほうそういう見方もあるのね、と話を聞きながら先程見たものを再度見る。
次女は、あそこもう一度見てもいい?と戻っていく。
わざわざ空を飛んで来たのだから、何度だって心行くまで見るといい。私も飽きずに眺めることにしよう。
次女が一通り見終わった頃はもう夕方。
ショップで一番買いものをしたのも次女。
そろそろ空いたのでは、と再びカフェに向かう。
結局諦めきれていない私たち。
可愛いお皿とケーキ、そしてラテアートに大満足。諦めなくて良かった。
だって気軽に来れる距離じゃないものね。
何度も、もういい?大丈夫?と確認し、次女と出口へと向かう。
傘を広げる。
外は雨。
傘の下、話に花が咲く。
ああ、本当に有意義で楽しい時間だった。