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娘との外呑み

娘ふたりと食事に行って、食事ついでにアルコールを頼むことや、一緒に宅呑みすることは多い。
しかし、あえて居酒屋へ「呑みに行こう」と出かけることは少ない。

長女が留学から戻ってきたころ次女は就活に入るころで、私は子育てがひと区切りつくこの時期に違う景色を見たくて、15年程勤めていたところからの転職を考えていた。なので母子3人、一家で就活していた期間がある。

2人とも幸いにも早めに就職が決まり、落ち着いたころに就職祝いとして「呑みに」行くことにした。
次女が二十歳になった年に長女は海外にいたので、初めて3人で呑みに行ったのは、正しくはバンクーバーの居酒屋だった。しかしあれは旅先なので含まないことにして「普段の生活の中で初めて呑みに」行ったのは あの就職祝いの時と私は位置付けている。

それぞれ頼みたい「つまみ」を選ぶ。普段、友達とどんなものを食べて飲んでいるのか、ほんの少し垣間見える。家では決して作らなくて外でも私があまり選ばない「軟骨揚げ」とか。へぇ、そんなの食べるんだ、という発見があったり、逆に私の「つぶ焼き」を見て、へぇ、ママそんなの食べるんだ、と言われたり。
酒の席ならではのチョイスをお互いに知る。

そして乾杯をしたあと、食べ物をつまみながら話す内容は、普段よりも何だか深い。
レストランや家で呑むのとは違う「場」の雰囲気のせいだろうか。
それとも単に、呑みにきたぶんだけ、いつもより体に入るアルコールの量が多いせいだろうか。

自分が育てた娘が成長し、一緒に呑めるということはやはり感慨無量だ。

こんなことが出来たらいいなと思っている、なんて将来の話や「 あの時 気持ちを察知して留学に行かせてくれて感謝している」「いろいろ口うるさく言われることもなく信頼されているなと思っていた」という過去の想いを聞かせてくれたりもした。

嬉しいこと言ってくれる。
シングルで子育てしてきて私自身は気を張っていたように思う。でも、そんな風に伝わっていたんだな、感じてとってくれていたんだな、と。

普段は照れ臭くて言えないような言葉が出てくるのも、やっぱりほんのりアルコールが回って気分がよくなっているせいかもしれない。

私は家族にはぶっきらぼうで、感動的なことを言ったりできないし、肝心な時にもうまく言葉が出てこずに不器用に振る舞ってしまうタイプ。

たまには「酒」と「場」の雰囲気に力を借りて、外で呑むのもいい。

ただ、その後まもなく次女が家を出て、それからは買い物帰りとかにご飯を食べに行くことはあっても「呑みに」行っていないとふと思った。たまに帰ってくると、夜はゆっくり家で何か作って食べさせたくなるから。
そこでも当然宅呑みはするけれど、外で呑むのとは全然違う。話はすれど、時々テレビやスマホに目がいって脱線したり、リビングテーブルと食卓とで呑んでいたりすることもあるし。

先日一泊で帰って来たときに、年末は少し早めに帰ってこようかな、と言っていた娘。何日か家にいるのなら時間がありそうだ。久しぶりに3人で「呑みに」行こうかな、と企んでワクワクしている。



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