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冬休みと親の宿題

子どもたちの声が響きわたる。

今朝は快晴。近くの大きな公園には、なだらかな傾斜がついており、スキーやソリ滑りをする親子でいっぱいだった。

こちらの学校は、まだ冬休み中。

赤や青いソリに親子一緒で滑り歓声をあげる子。
ぎこちなくスキーを操りボーゲンで坂を降りていく子。
坂の中腹で転んで、笑いながら起こしてもらっている子。
普段は白い斜面が、色で溢れかえっている。

長い冬休みは、私もよく小さな体で、スキー板をえっちらおっちら担いで滑りに行っていたものだ。
私が通った小学校は、スキー授業もスケート授業もあった。グラウンドに大きなリンクが作られていて、学校の裏山的な公園はスキーに丁度よかった。
その日によって、スキーに飽きたらスケートをして、スケートに飽きたら黙々とスキーをする。
そんなふうに冬休みの時間をつぶしていた。
あの頃、他にすることがなかったから。

❄️

職場では、子を持つ同僚が「ねえ、スキー場連れていった?」という話題が出る。そう、今は冬休み中に、親がスキーの練習をしておくよう学校からお達しがくる。
一年生はスキー靴が履けてスキー板にセット出来るように。学年が上がるに連れて、リフトが乗れるように。一度はスキー場に連れて行って慣らしておくように。とか。冬休み中の親の宿題。

私も娘が低学年の時は、この公園を利用したな、と思い出す。娘の時代には既にスキーを担いでひとりで公園へ、という時代ではもうなくて、やっぱり親同伴だった。今は、子どもが えっちらおっちらスキー板を運ぶ姿は見かけない。

娘が成長するにつれてゲレンデへも「宿題」のために連れて行くようになった。億劫だったけれど、宿題がなければ娘とスキーなんて一生に一度もしなかったかもしれないから、それも良かったのかもしれない。

そんなことを思い出し、子どもが滑る傍らで見守る親や、坂の下で待つ親の姿に目が行き、懐かしさを覚える。あれ、すごく寒いんだよね。

もう子どもの頃の私よりも、坂の下に立つ私が濃く浮かぶようになったな。ふとそんなことを思いながら、公園脇の道路を通り過ぎた。



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