見出し画像

なぜ君は、これほどしつこい女なのかー新庄ファイターズへの愛と幻想を超えて、春を待つまで。

連日連夜、新庄さんのことを考えていると話せば、まるで恋する乙女のようですが…と思い出してしまった。

昔々、まだ22,3の頃、好きな人がいた。一回り年上で、バリバリの全共闘世代だった。小娘だったわたしに優しかったし、音楽活動やミニコミ制作をしていたときも協力的で、色々面白いところに連れていってくれたり、面白い人に引き合わせてくれたり、話の通じるおじさん 自由を愛する人と思っていた。

どういうわけだか恋愛関係になり、最初は、舞い上がっていた。まあ小娘なだけに大好きになって。だけどすぐにおかしくなった。その人の態度が、豹変したのだった。

まず無職だったわたしに「働け」と言って見せてきた資料が、「アムウエイのパンフレット」だった。繰り返しますよ。アムウエイのパンフレット。共通の知り合いのこれまたおじさんがやっていて、月に150万円も儲けているらしいからとか言ってさー。唖然としたんだけどさ。

自分で言うけど、あたしは、バカではなかった。22歳の小娘ではあるが、よく本も読むし、社会問題にも関心が高かった。もちのろんでネズミ構のことも知ってたし、それらの被害に関する問題も知っていた。霊感商法や豊田商事事件や色々な詐欺も報道されてたしね。

(この人は、何を言ってんだ? バカじゃないのか?)

そう内心では思ったけど、大好きだったので、嫌われたくない方が先に立ち。お茶を濁してスルーしてしまった。

その後も事態はますますおかしくなっていった。ああしろこうしろと命令が多くなり、誕生日プレゼントとくれたのは、黒いセーター。当時のわたしは、パンクニューウエーブからのサブカル女とはいえ普段黒い服は、ほとんど着てなかった。つまり、それは彼の趣味である。

(げー、こんな変なセーターやだなあ)

と思ったけど、やっぱり恋していたので、にっこり笑ってありがとうともらってしまった。

でも、それでもおかしいものはおかしい。わたしは、今もそうであるように納得できないことに従順な娘ではなかった。何かにつけ押し付けられ命令されることに反発し、逆らう。言い合いになる。だんだんと無視されるようになり結局は、ポイされることになるのだが。

若い娘には、十分すぎる恋愛体験で、大失恋の辛い体験でもあり、そして、大いなる社会的体験だったと、今なら思う。

ある種の男というものは、女が他人であるうちは、距離感を保ち礼節も常識も守るけれど、一度「この女は自分のものだ」と思ったら、とたんに支配的になり、暴力的になる。自分の価値観を押し付けてくる。「お前は間違っているんだから」と躾ようとしてくるんだと。この世界には、そういう「男女関係」があるんだって、若干23歳にして知ることができたのだから。

あたしは、もう二度とそんな目には会いたくなかった。もう絶対に嫌だった。そして、そういう人間関係に対して、ものすごく用心深く敏感になったのです。

いきなり新庄さんに戻りますけども。

新庄さんが、実際にどんな人物であるのか、当たり前ですがわかりません。野球の指導者としての能力も、まだ何も始まっていない。ただ、これまで単に一選手、一個人でしかなかった人間が、いきなり組織のトップに立つ「権力を持たされる」意味を、彼自身がどう理解しているのか。

監督就任以来の一連の行動、発言からは、わたしには、まともには読み取ることはできません。ただ彼自身のわずかな体験と「世間はこう見ているだろう」「こう望まれているだろう」という期待に応えようとしているようにしか見えない。だから彼なのか世間なのか両方かの「新庄剛志のイメージ」に合わせた「かっこいいファイターズ」にしようとしている、のではないか。

それが、「俺に与えられた仕事」なんだと。

「新庄BIGBOSS」と呼んでくれと言われれば、そう応える。マスコミもメディアもファンも。でも、あたしは、一度もまだ呼んでません。そんなことどうでもいいじゃん。別にいいじゃん。つまんないことにこだわるなよ?

本当に、どうでもいいのかな。

わたしは、ファイターズが大好きです。多分ちょっと行きすぎたファンですらあるでしょう。全試合球場に行ったり、シーズンシートを毎年買ったり、ファンミーティングに当選するために日ハム食品を一生懸命買って応援したり、そういう熱い熱いファンとは、タイプが違うけれど。ずっとこうしてファイターズのことを思い、愛してきました。

これからも愛していきたい。でもそれは「新庄さんのイメージ」で進められる「かっこいいファイターズ」ではないのです。あくまでも、わたしにとってですけれども。

新庄新監督が、どのような野球を見せてくれるのか。来春を待って。

終わります。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?