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それぞれの野球人生が交錯する。涙雨に濡れた仙台。いつか晴れ上がる日を待つ、ファイターズは。そして中田翔に捧げる、わたしの反省文を読んでください。

2021 5/18 楽天生命パーク宮城 E×F 3対2


アカシア〜の雨に打たれて〜このまま〜死んでしまいたい〜♪

頭の中で、西田佐知子の歌声が、リフレインリフレイン…アカシアの雨ってなんだろう?と子どもの頃思ってたなあって思い出した。

便利な世の中になり、すぐに調べられる。な、なんと!?「アカシアの雨」とは、ニセアカシアの花が散るとき、雨のように花が落ちて来くるーその模様についてだそうです。1960年に大ヒットしたってことも知らんかった。ラジオとかテレビでなんとなく聴いてただけなのに、脳に刷り込まれているフレーズ…音楽ってすごいものですね…。

曇り空の仙台、ファイターズ先発金子弌大の立ち上がりは悪くなかった。ランナーは出すもののテンポよく抑えていく。相手は、イーグルス岸孝之。チヒロと岸くん、宝塚に例えれば、月組星組トップスターの共演、楽しい💕

って気分は、すぐに消える。仙台の夜に、雨がザーザーと落ちてきてしまった。野球の神様ってさ。何考えてんだろうね? 水もしたたる良い男って。いりませんから〜〜。神経質な…いえ繊細な、ちーちゃんの投球は、千々に乱れはじめる。

それでも先制した1点を守り、追加点が入った五回裏。ここを抑えて継投のシナリオが見えていたところに、さらに強い雨が降ってくる。バッターのヘルメットから雫が滴り落ち、球筋もよく見えないようだった。マウンドのちーちゃんの表情は固く、投げ急ぐ心が透けて、ボールは思うように操れない。

結果として、金子チヒロは、ノーアウト満塁のピンチを作り、代打の田中かーくんを三振に取ったところで交代。リリーフの左の河野、右の玉井が打たれ2対2の同点に。試合は、八回裏イーグルス浅村の勝ち越しホームランで決してしまった。

誰のせいでもない、雨のせいだよ…。

そう思いたい、#金子チヒロを優勝させたい会 会長ですが。条件は同じ。雨の中、2点先行されながら六回表まで投げ、三者凡退で切った岸孝之と同点打、勝ち越し本塁打を放った浅村栄斗との差異を、ファイターズファンは認めなければ、先には進めないともわかってる。わかってますよ!プンスカ!と誰に怒鳴りつけるのか…。

雨の夜には、いろんなことがあった。金子チヒロ、2000回投球。宮西尚生400ホールド達成。

長い時間をかけた記録を、申し訳なさそうに、ボードを掲げるちーちゃんの姿に、涙が出そうだった。あんまり気の毒で。どうしてこう、この素晴らしい大投手は、時に恵まれないのか。みんなで笑顔で正々堂々と祝ってあげたいのに。

「特にありません」 前人未到の記録にぶっきらぼうの宮西尚生も。気持ちはよくわかる。負けてばっかりで、何がホールド記録や? そんなもんどうでもいいがな。ですよね…ですよね…。そんな答え方させちゃって、こちらも気が滅入る。

滅入るといえば、中田翔。17日のゲームでベンチを外れ。とうとう抹消されてしまった。翔くんは、一体どうしちゃったんだろう。思うところはある。わたしにも反省していることがある。

「大将は4番」

「ファイターズの魂はお前だ、中田翔」

天才バッターなのに天才バッター未満の中田、そう言い続けてきた。その気持ちに嘘はないけれど。

栗山監督になって以来、10年以上も4番を張り続けてきた、20代の前半から30歳を過ぎて、ファイターズの看板であり続けてきた、青年の心について、わたしは、本当によくよく考えてみたことがあっただろうか。

本来、気が優しく、繊細なタイプで、自己主張は苦手で、だから金髪とかジャラジャラネックレスとかになる。「怖そう」「不良っぽい」ような見た目にする人って、大抵は防衛的な人でしょ…。寄ってきて欲しくないわけでしょ。自分を攻撃してくるかもしれない相手に。

翔くんがオープンなのは、絶対に自分を攻撃してこないとわかってる相手にだけだ。杉谷とか典型的で。ジャイアンとのび太の関係。外に対しては、基本、閉じている。

そして、その閉じた心が、世界に向かって、バーっと開くのは、ホームランを打って、みんなが喜ぶ時だけだ。「野球」というより、その自分が活躍してチームが勝つ、喜びの瞬間だけが、中田翔を野球選手として存在させ続けてきた。のでは、ないか。

2016年、大谷翔平二刀流物語、ジャパン編が完結したとき。中田翔は、影に隠れてしょんぼりしていたけれど、それはほんとにジャイアンが不貞腐れているだけ、のようなものだった。

彼の真の苦しみが、始まるのは、翔平がアメリカに去った翌年からで、つまりはファイターズが勝てなくなった時からだ。5位、3位、5位、5位。そして今年の最下位独走、打撃不振。中心バッターとしての責務を負い、外部ーメディアや野球ファンからは、非難され文句をつけられ、有る事無い事噂され攻撃され続ける。打てない4番、勝てないチームの大将だと。

メディアは、野球ファンは、プロ野球選手に何をどう言ってもいいのかい?プロ野球選手なんだから言われて当たり前? そうは思いませんけど。

その苦しみを、辛さを、中田翔の孤独を。わたしたちは、ちゃんと意識して想像したことがあるだろうか。

わたしは、ものすごく反省している。翔くんは、もともと天才だから、まだ本気出してないだけだ、みたいな。やればもっと出来るみたいなことばっかり言ってて。そうじゃない、これまでの必死の努力、必死で堪えてきただろう、彼の野球人生について、まともに評価し、褒めたことすらなかった。なんもわかってねえのは、わたしだ。

だけど、でも。それでも。ファイターズの魂は、お前だと、心の声がする。捨てることはできない。2008年からずっと、中田翔を見て来た。わたしたちの4番だと。これも真実、見間違いではないのだから。

人生は、矛盾だらけ。世界は崩壊寸前。野球なんかどうでもいいって、そうかもしんないけど。

アカシアの雨に 打たれて このまま死んでしまいたい

ニセアカシアの花は、むせるくらいの強い香りがするって知ってますか? 天ぷらにすると美味しいとか。アカシアの花の雨に打たれている、ちーちゃんを想像すると、ぞっとするくらい綺麗だね…。

いきなりものすごいオタク魂を発露してしまいましたが。アカシアの雨って、アカシアの花だとわかったら。

花は、再生する。また来年、咲く。

雨のように落ちて、散ってしまっても。また咲くんだよ。

生き返ればいいんだ。何度でも。何度でも。







 

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