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2018年に書いていた大谷翔平はーナミダのファイターズ、神様にお願い。ファイターズの子らをお守りくださいー

 2018年、大谷翔平がアメリカに渡り、華々しいメジャーデビューを飾ってから3ヶ月、右肘靭帯を痛めてしまった。メジャーの報道に「最も残酷なニュース」とあった。あれほど夢に胸を膨らませ、これ以上あるかというくらいの楽しそうな顔で野球をやっていたのに、それが突然中断される。本当に残酷だよ、翔平たん…野球の星に生まれ、野球の神様に守られてきたはずなのに、どうして?

心配のあまり、親でも親戚でもないのに食欲は減退し、少しでも希望的なニュースはないかとネットを探しまわる。なんでだろう?それは、やっぱり彼がエンジェルズに移っても「ファイターズの子」すなわち「うちの子」だからだ。わたしたちの大谷翔平。もしも「ホークスの子」だったら、心配はしてみるだろうけど、ここまでの老婆心を発揮することは、ない。

「ファイターズの子」は、すでに自分の一部なのだ。大谷くんに限らず、ファイターズの試合を見るとき、わたしは、常にハラハラしている。いつ何時、誰がケガをするかもわからない。先だっての交流戦での雨でぬかるんだ横浜球場など目も当てられない。「なんでやめないの?ケガしたらどうすんの?なんでやめないの?」最初から最後までテレビの前で審判に文句を言い続けていた。

 ケガ、故障といえば、現存のファイターズの子で最も心配しているのは、きゅんちゃん。わたしたちの谷口雄也のことだ。昨年の春先に、膝の大きな手術をして1シーズンをリハビリで過ごし、開幕には間に合わず、やっとヒットが出るようになったころ、今度は脇腹を痛めてしまった。(その同じ頃、巨人軍では、これもやっとの思いで故障しないで開幕を迎えた、わたしたちの陽岱鋼が、デッドボールで手の甲を骨折していた。もちろん陽くんは、生粋の「ファイターズの子」である。)

何も悪いことはしていない。野球をやっていればケガをするリスクと離れ離れになることはできないだけだ。そんなことはわかってる…。

でも去年なんか、術後のリハビリしているのに、8月の「白衣の天使シリーズ」に5日間出ずっぱりで、参加された看護師さんたちと一緒に写真撮影してたんだよ、谷口くんは。オフシーズンだって札幌の狸小路現金掴み取りイベントで真冬の寒い中立ちっぱなしでサインに応じてて、東京でチームメイトが盛り上がっていた杉谷拳士センパイの結婚式にも出られなかったんですよ。谷口くんは。

そこのあなた、知ってましたか? そういうチームのためのお仕事だってあるのですよ。特にファイターズでは。そこまで献身して、やっと復帰して、なおこの仕打ち、あまりに理不尽ではないのか…。

「一流の選手になるためには何が必要なのでしょうか?」

田中賢介が、どこかのインタビューで問われていた。わたしたちの賢介はいつものようにちょっとにやっとしながら答えていた。「運です」と。うん、運なのかよ〜〜〜けんすけえ〜〜〜!? と思わず叫んでみるけれど、実際の話、その通りなのではないか。

ドラフト指名される選手は、当然のことながらプロでやれる能力があると判定されて選ばれる。入団すれば額面上は機会は均等だ。あとは各自の努力次第、一生懸命がんばれって。

いくら一生懸命がんばっても、死ぬほど練習したとしても、結果の出る出ないは、わからない。デビュー戦でたまたま相性のいい投手に当たってヒットが出るかもしれない。たまたま絶好調で完投できるかもしれない。その逆かもしれない。ライバルがたくさんいて、チャンスが巡ってこないかもしれない。たまたまデッドボールが当たって骨折するかもしれないし、ベース板で滑って捻挫するかもしれない。

かもしれないの渦の中で、ババを引かずに一軍デビューし、チャンスをつかみ、レギュラーに定着し、大金を掴む…。めまいがするような、奇跡のような事態。それがプロ野球選手の成功なんだとしたら。

それは初めから残酷な世界なんだということになる。

そんな場所で、彼らは生きている。大谷翔平も、ダルビッシュ有も、田中将大も(まーくんはファイターズの子ではないが「苫駒の子」なんで「うちの子」として同枠に入る)陽岱鋼も、谷口雄也も…。

栗山英樹監督は、いつも言っている「野球の神様を信じている」と。野球の神様がいるのかいないのか知らないけど、野球の神様にでも祈らなければやっていられないというほうが、本音なのかもしれない。

 そしてまた、わたしたちの現実の生活も人生も、そんなに楽しくも素晴らしくもない。夢だのロマンだのどこに転がってるの?みたいな。だけど、たった一つでも楽しみがあれば、なんとかしのいでいけるような…。

プロ野球が、長い間、庶民の娯楽であり続けてきた、大きな理由は「毎日のように試合があること」だと思う。忙しかった仕事終わりに、繰り返す家事が終わった夕暮れに、とぼとぼと学校から帰る頃に、ぼんやり過ごした一人の部屋に…たとえその日に何があったとしても、プロ野球の試合は各地で行われ、ラジオで、テレビで実況され続けてきた。

ファイターズは、今日も試合をしている。ただそれだけのことが、わたしにしてみれば、神様からの贈り物だ。大げさだけど大げさじゃない。

だから今日も野球の神様に祈る。
わたしたちのファイターズの子らをどうぞお守りください。どうかこの世界で、素晴らしい体験をさせてあげてくださいと。

谷口雄也は、脇腹の傷も癒え、鎌ヶ谷で試合に出ている。今期中に札幌ドームで叫びたい「きゅんちゃ〜〜ん、おかえり〜〜〜!!」。陽岱鋼は、復帰して6月14日には4番も打った。大谷翔平の今後はまだわからないが、野球の星に帰るその日まで、彼の挑戦は終わらない。

それから3年後。大谷翔平は「地球上で最も優れた選手」と呼ばれている。






















 






















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