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『女の子のいる場所は』やまじえびね(コミックビーム) 何度でも何度でも何度でも、忘れそうになっても、忘れないーわたしの自由を自由をと。

特に意識していたわけでもないけれど、中東の女の子や女性が主人公の映画を見てきた。

『ベッカムに恋して』は、2003年公開のイギリス映画で、インド系の少女がサッカー選手を夢見て、アメリカに渡るまでの物語だ。その後、大スターとなるキーラ・ナイトレイは準主役。監督もインド系の女性。
20年前、彼女たちの世界は、未来に向かって開かれて、輝いていた。

『女はみんな生きている』は2001年公開。タイトルに惹かれて見にいった。白人の中年女性と売春組織に利用されてるイスラム系女性が人生の自由を求めて戦う痛快アクション映画。今でいうシスターフット、女性同士が助けあい、境界を超え、共感しようとするーこちらも明るさがあった。

『少女は自転車に乗って』2013年。
東京で、一度は、行ってみたかった岩波ホールで見た。サウジアラビアの少女が、自転車に乗るーただそれだけの望みを叶えるために、さまざまな困難に向き合わなければならないー一夫多妻の世界での女性の立場、現実について、そこで育つ女の子の視点。10年前も未来にかすかな希望を描いていた。

『白い牛のバラッド』『モロッコ、彼女たちの朝』は、昨年、2022年に見たが、どちらもイスラム教義の元で、「はみ出してしまった女」たちの過酷な人生を描いている。ただ女たちは、それでもひらすら生きようとするー

2022年、6月に刊行された『女の子のいる場所は』やまじえびね 
モロッコ、インド、アフガニスタン 日本 に生きる女の子たちの姿を気持ちを、感情を、マンガで描く。
サッカーがしたいけど、出来ない。男の子と話たいけど、話せない。
外に出たいのに出られない。イスラーム原理主義に囲われた。
あるいは、「女の子なんだから」「女の子は勉強できなくてもいい」「結婚しないと不幸になる」といった、「悪意のない言葉」を聞かされてて育つ日本の女の子。

自由って、幸福って、女の子であることの意味って?

マンガを読んで、これまで見てきた映画や本のことを思い出した。
30年くらい前に、「あなたの知らないイスラームの女たち」みたいな内容の本を読んだんだけど、正確に思い出せない。検索しても出てこない…。14歳でタリバーンに打たれた、マララさんの本は、積読のままだった。

世界中の女性たちは、人権を、自由を得るために、長い長い間、時に命を懸けて、戦い続けてきた。それは、たった今、自分は人権を守られ自由だと思い込んでいる日本のわたしたちとて同じことだ。

果たして本当に、あたしは「自由」を得ているのか?
問いを繰り返す。繰り返す。

時代は、常に反動を繰り返す。マンガにも描かれるように、タリバーンが戻ってきたアフガニスタンの女の子たちは、学校に行けなくなりそうだ。

何十年たっても、女の子のいる場所が、変わらないように見えたとしても。

諦めない。
忘れない。
日本のおばさんには、何も出来ないからと卑屈になったとしても。
忘れない。

何度でも何度でも思い出す。

だって、生きているんだから。
生きているんだから。
この世界で、
女の子たちは

今も、この先も
生きているのだから








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