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サヨナラは、別れの言葉じゃなくて ー観客の戻った球場で、有原航平、石川亮、再会のバッテリーそして野球は続くー

ファイターズ2020 7/9 19試合目 京セラドーム bs×F   4対3

2020年の野球場に、観客が戻ってきた日。

京セラドームでのオリックスとファイターズの4回戦。テレビ画面から聞こえてくる解説の元オリックス投手&コーチ、元星の王子様こと星野伸之さんの声は、とっても聞き心地が良い。飄々としながら、でもその面差しのように優しくー決して頭から否定的な発言はせず、上から目線のわかってますよ解説もしない。

放送されてたのは、オリックスの応援放送チャンネルだし、長い間投手コーチもしてきた方なので、もちろんオリたちに寄り添った解説にはなるのだけれども、それも嫌味でなく心が温まる始末…。とにかく試合の流れを逃さず、予言者のごとく半歩先先へゲーム展開を的確に読み込んでいくお話が、楽しく、面白かった。

星野さんは、好投していたファイターズ有原航平が、球数95のまま7回無失点で降板したことについて、特に何も言わなかった。投手出身の解説者は、なにかにつけ先発投手、ましてや開幕投手を務めるようなエース格には「完投させろ」「何が100球越えだ」的なことをわーわーと大声で言いがちだけど。そのようなテンプレ作法もまた一切なかった。

8回裏、宮西尚生と清水優心バッテリーが招いた1アウト2,3塁のピンチは、近藤健介のレフトライナー前進ツッコミ捕球&飛び出しランナーダブルアウトのファインプレーによって逃れることができた。3対1のまま、試合の流れは、ファイターズに留まったかに見えた。

星野さんも大きなプレーだと褒めてくれていたけど、9回表ファイターズの攻撃、オリの投手は、山田。1アウト満塁のピンチ(ファイターズにとってはチャンスのはず…)を招いた間際の発言が、わたしには驚きだった。

「ここを抑えれば、この後の展開は、わかりませんよ(チャンスが来る)」

目の前のピンチに緊迫する現状についてではなく、抑えた先の9回裏の話をしている。マウンドの山田投手が、星野さんの教子だったかどうかわからないが、性格的なことは理解してるように聞こえたし、無闇に否定的な言葉や不安が招くマイナス要素と逆に言葉によって、いかにプラス方向へ転換させていけるかを、星野さんは熟知しているとしか思えなかった。

山田投手は、現実に4番中田、5番渡邊諒を打ち取り、最大のピンチは回避され、ーファイターズにとっての最大のチャンスは失われー試合展開は、星野さんの言葉の通りに進んでいくことになる。

「ストレートで向かっていったのが良かった」

中田に対して開き直って逃げずに勝負した山田投手と若月捕手のオリックスバッテリー。9回裏2点勝ち越し状態の2アウトからジョーンズに対して一発を恐れ結果的にフォアボールで出してしまった秋吉ー清水のファイターズバッテリー。

どうしても勝ちたいーなんとしても勝たなければならないー絶対に負けたくないーという気持ちが、逆に相手を引き寄せていく…。

なぜ完璧な内容の95球無失点のまま、ラスト二回を残してエース有原を降板させたのか、なんで完投させる目はなかったのか。わたしにはわかるはずもない。わかることがあるとすれば、栗山監督の「どうしても勝たせてあげたい病」が発症した時は、大概負けるーということくらいだ。

エース有原、開幕から3連敗。連戦の頭を取るために固定しているローテーションで一度も勝てない。停滞するファイターズの足踏みを良い方向へ回転にさせるには、エースで勝つしかない。それこそ栗山監督は、運気を変えるためにもバッテリーの変更を決断したはずだ。

去年の5月、完封勝利を得た石川亮とのバッテリー。今季初の再会だった。作戦は成功していた。普段は、明るく開けっ広げに表情豊かな石川捕手は、この日ベンチで一度も笑顔を見せることもなく、表情も変える気配もなく、ゲームに集中しつづけていた。7回までで有原とともにバッテリーごと交代。その意味を彼は、どう受け止めていくのか。

ファイターズファンの胸を突き裂き。サヨナラ3ランホームランは、レフトスタンドに信じられないくらいの速さで、一瞬で消えた。ややしばらくたっても呆然とベンチの前で立ち尽くすファイターズの選手たちの姿が、テレビ画面に写っていた。まあ信じられないよね…。

早朝に目覚め、起き上がったとたんに頭の中で、歌が聞こえた。

ーさよならは、別れの言葉じゃなくて 再び会うための遠い約束ー(『セーラー服と機関銃ー薬師丸ひろ子歌唱)

そうサヨナラは別れの言葉じゃない。だって今日も試合はあるんだもん!

(そいでもって魔法使い星野さんの予言解説は、またの機会にということでお願いします。)


一番下のは2年前の記事。

ファイターズ 7勝10敗2分 最下位到達…。














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