９回表、２アウトランナー２塁。野球の面白さが凝縮された、この一球に賭けろ！ 笑ったタイガース。泣いたファイターズは。
2021 6/8 札幌ドーム F×T ２対３
交流戦、最後の週は札幌ドームの６連戦。阪神タイガースとの初戦は、ありがたくない波乱に満ちていた。初回、先頭バッターが放ったセンターへの打球を追った五十幡亮汰が、ジャンプ一番着地の時にか、キャンプ時に痛めていた左ふとももハムストリングをまた痛める。
これが怖くて、無理使いせず、騙し騙しのように使ってきたとずっと思ってきましたけど、こうなるとなんでしっかり治させないのか恨みの文句が出る。広島の雨の夜は、用心してベンチに置いておいたのにさー。過酷な人工芝の札幌ドーム。ルーキーは必死の夢中で加減は出来ないんじゃないのかい…。天からファイターズに与えてもらった宝だからこそ、大事の仕方を間違えないでもらいたい。お願いしますよ！
しかしながら、急遽交代出場した淺間大基が、５打数４安打１打点の大活躍。俺だってここまで苦労してきたんだ。ぽっと出のルーキーに負けないぞ！って気持ちが、ガンガン伝わってきた。
しかしながら、本当にありえないんですけど。やっとの思いで戻ってきた中田翔。チャンスの場面で内野ゴロを打ち、全力で走る途中で腰を痛め、一塁を踏んだところで倒れる…何なの。本当に何なの…。ただのぎっくり腰ならまだいいけど。選手生命に関わるような腰の怪我だったらどうしよう…ううううもういやだよ…。
ざわつくゲームをエース上沢直之は、なんとか７回2失点でまとめる。２対２に追いついたファイターズ。８回から捕手は清水優心から石川亮に交代。（堀）ミズキちゃん、フォアボールでピンチを招くが、必死のパッチで抑える。
道スポのインスタグラム、いつもいい仕事してくれるんです。いやほんと大人になった。お兄さんの顔になった。もう亮たんなんて呼んではいけない。わかってるんだけど。まあ許して。おばちゃんだから。
しかしながら、９回表。落とし穴は待っていた。
クローザー杉浦稔大。先頭のサンズに打たれ、ノーアウト２塁。バッテリーは、頑張った。次打者、なんと糸井よしおさんに代わってのピンチバンターに、見事にバントを失敗させ（矢野監督もどうなの？な采配でしたが。ああいう時に限ってよしおさんて打つのにね…）次の北条くんも粘られたけど三振させ、２アウトまで漕ぎ着ける。ここまで大変に見応えのある展開でした。
さあ、あと一人でファイターズの負けはなくなる。ここでベンチから鶴岡コーチが出てくる。代打の原口で勝負するか、次の近本にするかの話し合い。バッテリーは原口勝負を選ぶ。ボールが先行したカウント３−１から。
上にリンクした建山さんの記事に書いてあるとおり、ファーストは空いていた。GAORA中継解説の稲田さんもフォアボールになっても良いからワンバンを覚悟で投げるべきと話していた。外野守備陣は、そこまで上がらなくても、もしフライ打たれたらどうするんだよ、レベルまで前に来ている。
バッテリーは、絶対に外野フライを打たれてはいけない。たまさかヒットを打たれても、内野を抜かれるゴロでなければならない、そういう制約の中だった。二人とも頭では、わかっていたはずだ。だけど、これも解説の稲田さんが言っていた「原口で勝負」の決め事が、彼らを縛ってしまったと。
急にまたタメ口になりますが。あたしはさー嫌だったんだよねー。原口パイセンが、代打で出てきたとき。
（ああ、原口くんかあ。亮たんが意識しちゃったらヤダなあ）
帝京魂の原口先輩、絶対に打たれたくないはずだ。しかしながら、意識せざるを得ない状況にバッテリーは置かれており、勝負強い、なんか特にファイターズ戦ではいつも打たれているような気がする原口パイセンは打った。３−１のカウントから甘く甘く入ってきた高めのスライダーを。
高く上がったボールが、レフトの遥輝の頭を越えていく。ファイターズの作戦は木っ端微塵に敗れ、ゲームは決まった。
９回表が終わって、ベンチに引き下がった石川捕手は、懸命な様子で杉浦投手に話かけていたけれど、打たれた投手の気持ちは、そうすぐには冷却されないよねえと思いながら、テレビを見ていた。
みんながベンチから消えても、最後まで居残ってマウンド方向を見ていた、明るい茶髪から黒に染め直した石川亮。まあ悔しいよね。悔しかった。あたしはなかなか眠れなかった。
でも同時に、野球ってのは、本当に面白いもんだなあって、改めてまたしても思いました。一球一球の機微、互いの思惑、偶然と必然、思いもよらぬ怪我やアクシデント、思わぬ出番、果たされぬ作戦、バッチリはまる作戦。選手の技術、力量。心のもち様…。
野球マンガの連載が、ついつい長くなる理由がわかる😀 だってたったの一打席、一投球、一守備機会、だとしても、ものすごくたくさんのことが起こってるんだもん。
負けて悔しい 花一匁
あの子が 欲しい
あの子じゃ わからん
ぐるぐる回って、また、今夜も。
この一球に賭けろ！ ファイターズ！
（文中敬称略になったりならなかったり）
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