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中田翔、ファイターズから巨人へ移籍。「暴力」による無期限出場停止処分とは、一体何だったの? 何もかもないことになる疑問と不信ーわたしの後悔。

トップの写真は、末尾にリンクした週刊ベースボールの過去記事から拝借しました。

上にリンクしたのは、今のところ、中田翔暴力事件以降の記事の中で端的に書かれている記事です。以下抜粋引用します。

ー中田がチームメイトへの暴行事件を起こし、自宅謹慎を命じられたのが8月4日。チーム内での調査などを経て、日本ハム球団から無期限の一、二軍全試合への出場停止処分がくだされたのが11日だった。そこから10日も経たずにトレードが発表され、処分はわずか9日で解除されることになった。

その間の16日には日本ハムの栗山英樹監督から巨人の原辰徳監督に中田の再起を手助けしてもらえないか、という相談の電話があり、それに応える形で原監督が受け入れを了承した。同時に日本ハムは球団としても吉村浩GMから巨人の大塚淳弘副代表にもトレードを打診する連絡があったという。

(中略)後輩選手へのいわゆる“かわいがり”は目に余る
 親分肌で面倒見がいい。漢(おとこ)を装うが、メディアへの対応も丁寧でファンサービスも熱心に行う本当は心優しいシャイな人間だ――担当記者や関係者から聞く中田評だ。

記者も国際大会等で何度か取材し、インタビューをしたこともある。そういうときに中田は野球に対しては真面目に向き合って話も深いものがあった。ただ、後輩選手へのいわゆる“かわいがり”は目に余るもので、イジメにもつながるものだった。それがロッカーやベンチ裏だけではなく、ベンチ内やグラウンドでも公然と行われていたが、もはやそれを諫めるような先輩や同僚の選手もいない。そして球団のフロントもそうした悪行を見て見ぬふりで放置してきた。少なくともそう見えた。

そういう振る舞いが動画やSNS等で拡散され、それが子供たちにどんな影響を与えるのか。そのことを考えたことがあったのか、と球団関係者には問わざるを得ないだろう。中田の行為はプロ野球選手の規範から逸脱するばかりではなく、そもそも1人の社会人として許されざるものだった。32歳の大人としては、あまりに非常識であり、未成熟だった。(後略)

筆者の言葉に、ファイターズ球団は、反論できないだろう。でもこのライターさんも「目に余る」と見て来た中田翔のイジリについて、これまで見て見ぬフリをしてきたのには変わりない。

そして、わたしたちファイターズファンも同じくだ。これまで中田翔に関してファンがぎゃーすか文句をつけてきたのは、金髪や金鏈のネックレス、日焼けサロンで焼いてきた顔グロといった見た目やガムを噛むな、バット折るなといった態度のことで、イジリに関しては、ほぼスルーされてきた。(というよりむしろ中田のイジりは、拳士の時と同じくファンの間ですら「お笑いのネタ的に面白がられていた」わけで、この事件に象徴される根本的な問題は、そこにあるのだと思いますが、また別稿で考えてみます。)

わたしは、何度も杉谷拳士に対するチームぐるみの「イジり芸」のことは、批判してきたし、拳士が全国的に有名になり注目が高まったことで、それこそあまりに目に余った結果、目に見えるイジりはなくなった。

だけど翔くんのそれは、見逃してきた。このところは、本当に本気で叩いているような映像も見ていて、相手の選手が嫌がっているのも見えていたのにはっきり「やめろ」と言葉にすることはなかった。

むしろ、わたしは、成績不振によるストレスでバット折ったり、暴れる様から、あまりにも世間やファンに叩かれる中田翔の擁護に必死だっただろう。服装や髪の毛のことなんて、元からどうでもいいと思ってるし。

実際、中田翔は、一般的に流布されているイメージ「強面」「やんちゃ」な一面とは裏腹に(ファイターズファンとして14年間、全試合、キャンプ中継が始まってから全場面、インタビューやら中田本やら見たり読んだりして限り)気は小さく弱い。前に出て目立つのも嫌い。リーダーシップもまるでない。彼にあるのは、そもそも野球の才能だけである。

イジりという名の暴力もチームメイト、後輩にだけ向けられている。自分より弱い立場の子に甘えている。後輩といったって西川遥輝や中島卓也や近藤健介に過剰なイジりをしてるところは、わたしは見たことがない。相手を選んでいるのは明らかで、年長者、リーダー格になっているのに、チームの中でコミュニケーションの持ち方を変えられなかったことが、今回の事件に繋がったとは、想像する。

そういった問題があったとしても、成績が出ていれば、中心選手でいられたけれど、全くの成績不振で、中田翔のチーム内での立場は、どんどん浮き上がってフロントから見れば、年棒は高い不良債権、扱いずらいやっかい者になっていたのではないか。

今回の暴力事件からの球団の出場停止処分は、側から見ると、ものすごく矛盾に満ちていた。相手の選手は大事にしないでくれと訴え、中田は反省して謝罪し、両者は収まっている。これまでなら、そこで沙汰は終了のはずだ。にも関わらず、球団は、野球機構の規約違反と断じて、無期限の出場停止を発表した。

他のメディアからすっぱ抜かれてるのを知って先回りで判断を出したのかと最初は、思っていたけど。コンプライアンス、コンプライアンスと訴えるのは、小学生の少年野球からプロ野球まで野球界に蔓つづける、体罰容認「暴力肯定」の一掃を狙う、球団の姿勢なのか?とも思ったけど。

中田翔を4番に起用してきた栗山監督は、最初から最後まで曖昧な態度を取り続け。「俺が一番悪い、責任は俺にある」と言いながら、現実に起こった出来事にも中田翔のこれまでの態度についても、一切言及していない。してませんよね?

ファイターズは、本当に中田翔の「暴力」について、あるいはイジりという名のイジメについて本質的な大問題だと考えていたんだろうか? なんのために無期限出場停止処分を中田翔に課せたのだろうか? 

読売巨人軍へのトレード移籍、あっという間の一軍登録、試合出場、ホームランのダメ推しで、全ての疑問は、霧散してしまう。栗山英樹監督も「巨人に感謝する」「野球でしか人生は取り戻せない」とか「恩返し」とか、感情的で内容のない話しかしない。

中田翔の人生を心配するのは、わかるし、野球をやった方がいいのもわかるよ。なら別に、そもそも泣いて反省していたならば、初めから出場停止処分もいらないし、みんなの前、ファンの前で正直に謝って、今後の態度を改めて、イジりもやめさせて、仲間の話も聞いて、近藤健介選手会長の言葉も取って、ファイターズで「一から」野球やらせればよかっただけだ。違いますか?

ただのファンのただの妄想に過ぎませんが、この中田翔の暴力に端を発した事態は、わたくしどもには、預かり知れず、もしかしたら球界の現場でもあまりよくわからない、ファイターズ球団、フロント内におけるなんらかの人的な対立、もしくは権力的な内部抗争によって展開されたんじゃないのか。

なんつうか、本当に身勝手だから。14年間、中田翔を応援してきた、いやさ北海道に移転以来、変わらずファイターズを支持してきた北海道のファンのことなんかまる無視だから。自分たちの保身だけにしか見えないから。

イジりも中田翔とチームメイトとの状況も放置してきて、何もかも中田に原因と責任をおっかぶせて、巨人に追っ払った。巨人は巨人で、最高の補強である。活躍すれば巨人のおかげ、失敗すればやっぱり中田はダメ人間だからで終わり。本当に翔くんのことを考えているとは到底思われない。

球界の人もあーだこーだ言うけれど、結局「暴力」について、真剣にも深刻にも考えてなどいないというメッセージだけが、プロ野球にも中田翔にもファイターズにも特に関心はないが、ワイドショーは見るよの一般世間に届く…ああ、どうでもいいんだなって、少なくともわたしは思ったよ…。

本当に、自分の甘さに、がっくりだ。なんで拳士の時に気がついていることをもっと強く訴えられなかったんだろう。わたしが後悔したって仕方のないことだよ。だけど、やっぱり忘れてはいけない、考え続けなければならないと思います。

野球好きの、ファイターズファンであり続けるのだとしたら。

文中敬称略









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