イエベブルベに囚われるなんてまじめにも程がある
いつからだろうか。イエベブルベという用語がこんなにもメジャーになったのは。
イエベとはイエローベースの肌色、ブルベとはブルーベースの肌色で、自分の腕の裏側の肌色と血管の見え方で簡易な診断ができるらしい。
本格的なパーソナルカラー診断となると、春夏秋冬のカテゴリーに分かれた色の布を肩に次々と当てて似合う色と似合わない色を分けていく。カラーリスト?カラーアナリスト?という資格を持った人に診断料を払ってやってもらう。初めて知ったのは私がカラーセラピーを始めた頃なのでかれこれ18年くらい前か、型にはめられるのが嫌いなので全く興味がないのだけれど。
当時は「イエベ」「ブルベ」など世間では謎の専門用語だったのに、今ではユニクロでも利用しているほどメジャーな言葉になった。特にメイクの世界では常識のようでこの言葉を販促に利用しているブランドも多数。YouTubeでは「イエベブルベ、全色紹介、スウォッチ」などのキーワードでいっぱいだ。ちなみに「スウォッチ」という言葉はAdobeのIllustratorで使用する言葉。
そういえば、同じ名前の時計もあった。まったく関係ないけど。
化粧品のスウォッチは、腕の裏側などにアイシャドウなどの色を塗って紹介することの意味で使われている。例えばディオールのECサイトでは、ファンデーションやコンシーラーの色味を腕の裏側に塗った画像で紹介している。イエベブルベとは名言していないがそんな感じ。
一方で、先日あるブランドの新作アイシャドウ紹介のライブ中、視聴者から「ブルベだけどその色使っていいか」という質問あった。メイクアップアーティストは「パーソナルカラーを気にぜずに楽しんじゃってください!」と即答していた。「イエベブルベ」で分ける業界の中での意外な反応は好感度高い。
もちろん売るのが目的の新作発表ライブなので、本音は「そんなことに囚われてないで気になる色を全部買っちゃいなよ」って思っていたかどうかは知らないけど、私はそれでいいと思う。
考えてみれば、イエベブルベが流行る前は自由に色選びをしていたのではなかろうか。もちろん、似合う色を身につければ安全だ。だけど、いつも同じような色ばかり身につけることになる。
診断結果と違う色でも挑戦してみたら新しい自分に出会うかもしれない。あれ?なんかイイ感じ。可愛いかも?なんてひとり鏡に向かってムフムフしたっていいじゃないか。
診断に忠実過ぎて自分のポテンシャルに気づけないとしたら人生とても損している。私ら50代は特に守りに入ると老け込むぞ。
それより、我らよりももっと若い世代がイエベブルベに囚われるなんてまじめにも程がある。化粧というのは文字通り化けること。素の自分をメイクによって違う自分に演出するのよ。もっと不真面目にいろんな色に挑戦しないと損するよと自分にもみんなにも伝えたい。
メイクはごきげんな1日を過ごすために、自分を喜ばせるためにするものなんだしね。
いただいたサポートは旅やアート鑑賞の活動費に使わせていただき、記事でお礼したいと思います。