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契約家族

はい。カーーーーーーット!お疲れさまでした~!

カチンコが鳴って監督がそう叫ぶと、たった今まで普通に料理していたお母さんも、そのお母さんに学校での出来事を話していた小学5年生の男の子も、学校に遅れそうになりながらも髪型を気にする中学生のお姉ちゃんも「お疲れさまでした~」と言って家を出て行き、バラバラに歩き出す。それをお父さんだけが驚いた様子で眺めている…。10年、いやもっと前だっただろうか、今でも鮮明に覚えている世にも奇妙な物語「契約家族」の出だしである。今日から○○家のお母さん、お姉さん、弟として10年契約を交わす。そんな役者の集まりで出来た家族の話。それは一見寂しそうに見えるけど、本当にそうなのかな。

10年楽しく過ごしたくさんの思い出を共有した家族が実は本当の家族ではなかったとわかったら、ショックだろう。その話のラストは覚えてないけど、急に契約家族を思い出したのは、今の私の環境と大差ないように感じたからだと思う。

21年間何の疑いもなく、お父さんと思っていた人が急に家族を置いて一人で家を出たら、今までの思い出はデジャブなのかと思っても仕方ない。これでお母さんまで、じゃあ私も好きなように生きることにするよと、家を出てしまえば、それはまるで契約家族と同じ。契約期間が少し長かっただけ。だから、私は旦那が家にいた時よりもものすごく気を遣ってちゃんとしている。

でもこんな家族って割といると思う。
解散!と言ってバラバラになった家族だってある。「段ボール中学生」だ。本当の家族でも、そうやって別れたり、相手のことを気遣うことをしなかったりするんだから、契約家族も悪くない気がする。

私が神社へ行った時の願い事は決まって

「家族みんなが健康で幸せでありますように、どうかお守りください」だった。

本当の家族ってなんだろう。


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