幽霊の居所4 わたしはそれを食べたか―施餓鬼とブリヤ=サヴァラン、そしてやし酒飲み
初出:kader0d vol.8, 2014年7月7日刊
或は鬼あり。食(じき)吐(と)と名づく。その身広大にして長(たけ)半由旬なり。常に嘔吐を求むるに、困(くるし)んで得ることあたはず。昔、或は丈夫(じょうぶ)、自ら美食を噉(くら)ひて妻子に与へず、或は婦人、自ら食ひて夫・子に与へざりしもの、この報を受く。
或は鬼あり。食(じき)気(け)と名づく。世人の、病に依りて、水の辺、林の中に祭を設くるに、この香気を嗅(か)ぎて、以て自ら活命す。昔、妻子等の前に於て独(ひと)