マガジンのカバー画像

虹のおと

9
虹のかけらを見つけたこども妖精ティナと吟遊詩人のホビー。こわれた虹をなおしにいくため、ふたりは旅立つ。
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

虹のおと 2.あかやまどん

虹のおと 2.あかやまどん

2.あかやまどんティナが選んだのは、右のあかやまどんが住む山だった。急な斜面も、久々にきたお客を通すために道を開けた。真紅の木々がざわざわしている。そのくらい、あかやまどんに会いにくるお客が少ないのだ。あかやまどんは山の頂上に住んでいた。いつも怒っているような大声を出すので、恐れられていた。あかやまどんの背は山と同じぐらい大きくて、雲にも届きそうなくらいだという噂だった。爪はのびてとがっていたし、

もっとみる
虹のおと 1.かけら

虹のおと 1.かけら

1.かけら そこは<しずくの森>という場所だった。青や青緑や水色のしずくの木々が生えていた。薄紫の霧がたちこめ、色の変わる<ふしぎ沼>があった。むらさきうさぎ、なないろ小人、ちょうちょう鳥、おばけガエル。そういった不思議でちいさな生き物たちが住んでいる森だった。
 こども妖精のティナも<しずくの森>に住んでいた。ティナの家は<ふしぎ沼>のすぐ横にある切り株をくりぬいたものだった。ティナはそこにひと

もっとみる