香る
4月以来フルリモートとなり、3食自炊をしていた。キッチンにいる時間が、人生でいちばん長かったと思う。
外に出ればマスクをしていた今年。いちばん飢えていた感覚は「嗅覚」だな、と思う。
だから、
ごま油で生姜を炒める。
じゅわじゅわと熱したオイルにクミンを落とす。
ご飯を炊いてふたをあける。
料理からの香りを感じると、「戻ってくる」感覚があった。
どこへ? よくわからないけど、自分自身が持つおぼろげな感覚へと。
何でそれを書こうと思ったかというと、野菜スープを作っていて、ふたを開けたときの香りにクラっときたから。あぁ野菜だけでこんなに複雑なレイヤーを作れるんだ、と。しいたけと昆布のお出汁に、刻んだ野菜を入れて圧力鍋で20分。野菜でこんなに深みがある味が出せるんだ、と感動したのだ。
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