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あの日の思い出 ~さくらももこにお便りを採用された話~
ラジオ、インスタライブ、YouTubeの生配信など、自分の好きな番組や”推し”にメッセージを送り、採用されたときの喜びは計り知れないものがあります。
今回は、私が敬愛するさくらももこ氏と唯一”つながり”ができた小学校時代の思い出を振り返ります。
アニメが脳内再生! 『おはなし ちびまる子ちゃん』
日曜18時から30年以上にわたり放送されているアニメ『ちびまる子ちゃん』。原作は、言わずと知れた少女漫画誌『りぼん』で1986年に連載開始したさくらももこさんの代表作です。
そんなさくらさん自身が担当したアニメの脚本集が『おはなし ちびまる子ちゃん』全10巻。エッセイとアニメの両方を良いとこ取りしたような、小気味いい会話劇が楽しめる本です。
読み進めていると頭の中でキャラクターに命が吹き込まれ、ストーリーが勝手に動き出す不思議な感覚を体験できるのが魅力。
『ちびまる子ちゃん』らしいシュールでクスっと笑える話が満載ですが、まる子とお姉ちゃんの姉妹愛に胸を打たれる「まる子ノラ犬に追いかけられる」や「まる子大パニック」など、思わずウルっとくる話も実は多いんです(ともに1巻掲載)。
私にも姉がいますが、普段は喧嘩ばかりでもいざという時はすごく心配するし、自分以外の人間がきょうだいを傷つけているのを見ると、無性に腹が立つんですよね。
そんな普遍的な日常を描いた点も、ちびまる子ちゃんが長年にわたって支持される大きな要因のひとつではないでしょうか。
私のおたよりが採用されました
『おはなし ちびまる子ちゃん』の巻末には読者のおたよりコーナーがあり、
この、ふろくのページでは、みなさんからのおたよりを募集しています。この本の感想、さくらももこ先生への質問などをはがきに書いて送ってください。お名前にはふりがなをふってくれるとうれしいです。似顔絵は、はがきに黒いペンで描いて下さいね。おたよりを紹介された方には直筆サイン入りオリジナルポスターをプレゼントいたします。
とあります。
ここになんと、小学生時代の私が送った作品が掲載されています。それがコチラ。
![](https://assets.st-note.com/img/1663557701241-ImvxlXYnPp.jpg?width=800)
お世辞にも上手いとは言えませんが、台詞を一生懸命考えて投稿したのを覚えています。永沢君と藤木君をメインにしたのは、たぶん一番得意だったから。でも今思えば、やっぱりまる子を描いていた子が多かったから、そのなかでは目に留まったのかも?
はがきを投函して数か月後。オリジナルポスターと一緒に、おたより係の方からお手紙が送られてきて、そこにはこう書かれてありました。
さくら先生が、「これはおもしろい」とあなたのはがきを選んでくれました。
ああ、無作為じゃなくて、ちゃんと一枚一枚目を通してくれているんだな……と心が温かくなったことを今も鮮明に覚えています。
ちなみに、オリジナルポスターは下記の記事に載っているやつ。
はがきを採用する側になって思ったこと
本が発売されてからは、学校の友達に一通り自慢して回ったものです。
それから約十年後、私は本の編集者になりました。
いろんな本を制作するなかで、「面白かった」「励みになった」などの読者の声に心が洗われたり、涙が出そうになったりした経験は一度や二度ではありません。
ネット全盛の時代、目に飛び込んでくるのは罵詈雑言がどうしても多い。そんななかでも、時間を割いて温かなメッセージを送ってくれるひとり一人の声は、制作者にとってかけがえのない力になっています。
だから「何度も投稿しているのに、一向に読まれない……」と嘆いている人も、どうか気を落とさないでほしいと思います。
小さな声でもきっと届いているはずだから。
あの日の思い出を原動力に
さくらももこさんがご逝去されてから早4年。
いつか『おはなし ちびまる子ちゃん』を持って「さくらももこ先生!私がこのはがきを書いた者です!」って言うのが長年の夢だったけれど、残念ながらそれは叶わなくなってしまいました。
でも、人生のなかで確かにつながっていた瞬間があったことを思い返すと、今の私を動かす原動力になってくれる気がするのです。
あの日感じた温かな思いを忘れずに、これからも歩んでいきたいと思います。
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