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【起業日記⑦】エストランセと私の未来を変えた、あるお母さんからのメール(2016)

前回のお話はこちら

2013年に家族でNYへ引っ越し、これまで出会ったことのない人たちに出会い、新生活を謳歌するなかで忘れられない出来事が起こりました。それはエストランセの布おむつユーザーであるお母さんからのメールでした。

「布おむつについた汚れを落とそうと必死になる毎日に疲れ、鬱と診断されてしまいました。もう布おむつの使用は諦めます。」

心の負担も汚れもスッキリ落ちる洗剤が欲しい

このお母さんは身体に良いものへのこだわりが人一倍強く、だからこそお子さんの健康を思って布おむつを使っている方でした。「布おむつに残った汚れが気になっている、何とかして落とせないか?」と相談がきたことも何度かありました。そのたびに洗濯方法のアドバイスをしていました。

子どものために一生懸命なお母さんが、私の作ったプロダクトを通じて鬱になってしまった。良かれと思って作ったものなのに、こんな目に遭わせてしまったなんて…。私のように、細かいことは気にせず軽い揉み洗いで洗濯機に突っ込む人ばかりではない。この便利な時代に敢えて布おむつを使うほど、思いやこだわりの強い人たち。私が相手にしているのは人一倍きめ細やかで繊細なお母さんたちなのだと気づきました。

と同時に、もしラクに汚れが落ちる洗剤があれば、このお母さんはこんな辛い思いをしなくてすんだはずです。彼女たちが抱えている心の負担は相当なもので、その負担もがスッキリと落ちてしまうような、ごっそり落ちる洗剤が欲しい。そこから私の「洗剤探し」がスタートしました。

アメリカにも存在しない、ラクに安全に完璧に汚れが落ちる洗剤

アメリカなら、汚れがごっそり落ちる強力な洗剤があるに違いないと、片っ端から洗剤を試していきました。新しい洗剤を見つけては下の子の布おむつで汚れが落ちるかを試します。時には海外から取り寄せもして試しました。それでも揉み洗いをせず、ラクに完璧に汚れが落ちる洗剤はありませんでした。

アメリカ人のママ友にも聞いてみました。すると「なぜ日本人はちゃんと洗うの?アメリカ人はブリーチするのよ」と言われてびっくり。そんな発想はありませんでした。ハイターのようなもので塩素系漂白剤で布おむつを漂白するなんて…。それができればもちろんラクですが、日本の文化には合いません。赤ちゃんの洗濯には洗濯石鹸を使うような民族です。そんな人たちに塩素系漂白剤をつけてくださいとは、とても言えません。

赤ちゃんにも安心して使える、安全でそしてラクに完璧に汚れが落ちる洗剤はないものか。ママ友に頼み、ネットワークビジネスの洗剤も試してみましたが、やはり揉み洗いせずに汚れが落ちるものはありませんでした。

アメリカ中の洗剤を試し尽くした私は一つの結論に達しました。
「私が作るしかない」

時はすでに2016年になっていました。国際色豊かな人たちに囲まれ、広々とした一軒家でのびのび暮らすNYの生活も、夫の仕事の関係である以上、いつ異動になるかわかりません。会社に自分たちの暮らしをコントロールされるのではなく、自分の意志で、自分たちの資金で、またNYに住みたい。そのためにも自分で事業をやろう。まだ世の中にない、ラクに安全に完璧に落ちる洗剤を作ろう。

そう決意した私は夫を置いて、子どもたちを連れて日本に帰ることを決意しました。2016年3月のことでした。

次回へ続く。


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