調判定できるようになりたい!【第1回・調と調号】

皆さんは、『調』に関して苦手意識がありますか?

私は、長く音楽理論やソルフェージュを教えていますが、
「楽譜を見て、ここが何調に転調しているのかわからない」
とか
「入試問題の調判定のところが苦手です」
といった声を多く聞きます。
また、音程、音階の問題は順調に勉強していたのに、ここで躓く人もよく見ます。

調を判定することは、アナリーゼ(楽曲分析)する際には必須であり、調をどのように組み合わせているかわかることで曲の構成が見えてきます。

市販されている楽典の本に、調判定の方法の項目もありますが、
とにかく難しい!訳わからん!!と思った方のために、
もっと簡単に、手っ取り早く、楽しく説明できたらな、と思いまとめてみることにしました。

まず第1回目は、調と調号についての復習!です
(以下、音程、音階の知識がある程度有る人に向けて書いています。)


追記:
音大入試問題のような調判定の方法は、【第14回・総まとめ】の記事で書いています。早く知りたい方はそちらをどうぞ。
https://note.com/rie_matsui/n/na5c97db8c01c?magazine_key=m103b538274e0
じっくり知りたい方は順序良く読むのがいいと思います^^


【調とは?】

ある音階の中で特定の音を「主音」とした時、「調」が生まれます。
例えば、「ミ」を主音と決めると、その音階内で音それぞれに役割が決まるのです。この「ミ」をホームにした時の組織が、言うならば「ミ調」です。

古典派以降は、旋法をだんだん使用しなくなり、長音階、短音階の2種を主に使うようになっていったので、現在では、長音階でできているものは「長調」、短音階は「短調」と呼んでいます。

『主音名』+『長調 or 短調』
例)ソを主音とする短調 → ト短調 (独語はg moll)

のように書き表します。
なので、調判定というのは主音を見つけることと、長調なのか、短調なのかを判別することなのですね!

なお、日本語で調名を言うときは、主音を日本音名で、
ドイツ語で言うときはドイツ音名で表しますので、
慣れていない方は暗記してしまいましょう。
クラシック音楽の現場ではドイツ語で言うことが多いので、一緒に覚えておくのが良いです。
ちなみに、ドイツ語だと長調はdur(ドゥア)、短調はmoll(モール)と言い、durの主音名の頭は大文字で、mollは小文字で書き分けます。

画像1


♪♪やってみよう♪♪
次の調名を日本語、ドイツ語で答えなさい。
①ラを主音とする長調
②♯ファを主音とする短調
③♭シを主音とする長調

(答えは記事の最後!)


【調号とは?】

調名の呼び方に慣れましたか?ここからは面倒なので調名はドイツ語で表記していきます。

例えばピアノでいろいろな調の音階を弾いてみるとわかりますが、C durとa moll以外は黒鍵を使います。
このピアノでの黒鍵、すなわち♯や♭がついた音を派生音といいます。(何もついていない白鍵で弾く方は幹音といいます)
もしも派生音を全て臨時記号で書いていたら…読みにくくて仕方ありません!

そこで、音階固有の派生音はまとめて譜の頭に書くようになりました。
これでスッキリ!これを調号といいます。

調号を見れば、どこに派生音がある音階なのかが一目瞭然で、ここから調名を導き出すことができます。
詳しくは音階の音程に関係してきますが、それは別の機会に解説するとして…とにかく調号をみて調名が答えられるようにしてしまいましょう!

一つ、大事なこと
同じ調号をもつ調は、長調、短調それぞれ1つずつあります!(平行調)

①♯の調号の場合
調号最後の♯から短2度上の音を主音とする長調、
またその長調から短3度下の短調

画像2


②♭の調号の場合
調号の最後から2番目の♭のついた音を主音とする長調
またその長調から短3度下の短調

画像3

※最後から2番目の♭は、最後の♭の完全5度上の音です。F durは♭が1つで、最後から2番目の♭がないので、♭シから完全5度上のファの音が主音になります。


♯、♭の数で丸暗記する方法もありますが、
なぜこのようになっているのか後々知識が結びついていくので、上記の方法でまず慣れてみましょう。

♪♪やってみよう♪♪
1.次の調号を持つ長調、短調を1つずつ答えなさい。

画像4

(答えは記事の最後!)

2.手持ちの楽譜をパラパラめくって、目に止まった調号を見て、長調、短調1つずつ答えましょう。(本当は長調か短調もわかるはずですが、まず練習のために調号のみの情報で2つ答えてみてください。)
おススメはバッハ平均律クラヴィーア曲集やインベンション、シンフォニア、
ショパンのプレリュードなど。調性がどう並んでいるかも確認してみてくださいね。

3.表を作ってみましょう。
下の写真を参考にして、表に調名を書き込んで完成させましょう。

画像5

※調号の数がわからない方は、
下の写真を参考に。

画像6

さて
表に書き込んだものを見ると、
規則が見えてきませんか?

画像7


♯が1つ増えるたびに完全5度上の調へ
♭が1つ増えるたびに完全5度下の調へ

です!

円にして書いてみると

画像8

途中で異名同音がありますが、
5度ずつの連なりで一周します!
これを五度圏と呼びます。

そういえば調号の並び方も
規則正しいですね!

♯は、ファドソレラミシの順
♭は、その逆の順、シミラレソドファ
と、これも完全5度ずつ付いていきます。

(調号を付ける順は、丸暗記しましょう)

次回は、長調か短調かの見分け方について、実曲を用いて解説したいと思います。


♪♪やってみよう♪♪の解答
【調とは?】
①イ長調/A dur
②嬰へ短調/fis moll
③変ロ長調/B dur
【調号とは?】
1.①B dur, g moll
  ②E dur, cis moll
  ③As dur, f moll
  ④Fis dur, dis moll














この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?