調判定できるようになりたい!【第10回・借用和音②】

なんと、10回目の記事です!!
タイトルを打ちながら自分で驚いてしまいました(笑)

そして、まだまだ調判定シリーズは終わりが来ません…
もう少しお付き合いくださいませ。

今日は、借用和音の中から「ドッペルドミナント」についてです!


【ドッペルドミナントとは】

何のことだかわかってなくても、この名称だけはなんとなく覚えている人が多いのではないでしょうか。名前が長いわりにインパクトの強い言葉です。

「ドッペルドミナント」とは、属調の属和音のことです。

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ドッペルというのが、「二重の」、という意味なので、ドミナント(V)を2つ重ねている、というそのままの様子が和声記号にも表れていますね。

例えば、C dur 、c mollで音を見てみましょう。

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押さえておきたいポイントは、

①ドッペルドミナントは長短調共通の音である
(例:C dur のドッペル~もc mollのドッペル~も同じ和音)
②主音の長2度上の音を根音とする長三和音
③主音より増4度上の音が含まれる

です!これはかなり重要です。丸暗記です!

軽く解説すると、

①:ドミナント(属和音)は長短調共通の長三和音であるので、
C durの属調である G durも、
c mollの属調である g mollも、V度は、D - Fis - A

②:属調の属和音なので、
C dur だったら、ド…ソ ソ…レ と辿って、レ ♯ファ ラ!と出してもいいのですが、主音の長2度上が根音、と覚えておくとすぐ音が思い出せるし、
何より、2度上である、ということがこの後重要になってきます。

③:これもかなり大事なポイント!
音を見るとわかりますが、ドッペル~の和音の第3音がちょうど調号で新しくついた♯が来るところです。(厳密には、半音上げられた音)
これが、主音の増4度上の音になります。
このため、長短調共通で、ドッペル~を使われているところには、増4度上の音が出現!臨時記号が必ずつきます。

調判定で気をつけなければいけないことの一つに、このドッペルドミナントの音を固有音に入れない、ということがあります。
わかりやすく言うと、 ドッペル~の和音は頻繁に出てくるので、C durだったら Fisの音というのはよくある音なのです。
それを、「ドッペル~の音だ」と気づいて省いていかなければいけないのですが、この臨時記号を、固有音に入れてしまったり、短調の導音かもしれない、と判断してしまったりして調を誤って判定してしまう人がいます。

なので、主音の増4度上の音があったら、まずはドッペルドミナントを疑いましょう!!

さて、話を戻しますが、
上の写真をもう一度見てください。よく見ると、ドッペル~は、Ⅱ度の和音とよく似ていますね。

実は、ドッペルドミナントはⅡ度と同じ働きをするのです!
なので、Ⅱ度が使えるところに代わりにドッペルドミナントも使えるのです!

例を見てみましょう。

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①でⅡ₇を使ったところを、②ではドッペル~に変えてみました。

Ⅱ度もドッペル~も、第2ドミナントと言って、ドミナント(V)の前に使える和音です。

どちらもアリでしょう!
だいぶ雰囲気が違いますが、どちらがお好きですか?

ドッペルを使うと、半音上がるのと、今まで短三和音(短調の場合は減三和音)だったのが長三和音になったことで明るく輝かしく感じるかもしれません。

何か曲で見てみましょう。
これからの季節に合わせて(今日は8月最終日)
「紅葉」にしてみました。
途中の部分です

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「かえで や つたはー」のところに和音を当てはめてみます。
コード付けはいろんなパターンが考えられますから、これは一例です。

①がⅡ₇
②がドッペル

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F durだと、主音より増4度上の音はh なので、♮になります。

これも、どちらもよくある感じですね。

個人的感想ですが、
この記事をまとめていて、やはり属調というのはすごく近い関係だなぁと改めて思いました。
属調だから♯が一つ増える。ので、色が明るくなる効果がありますね。
ぜひ伴奏付けの際は、Ⅱ度使おうか、ドッペル使おうか悩んでみましょう。
そして、調判定の時は、半音高められた音があって、主音から増4度上だったらドッペルを疑う!です!


次回は、ドッペル以外の副次固有和音についてです。
また来週~


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なお、ある程度の知識がある方に向けて書いていますので、これじゃついていけない、という方は、ぜひ個別レッスンに!その人にあったレベルで解説します。(対面、オンラインどちらもあり)
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