和音に強くなる!⑦ 【増6の和音】

しばらくおすすめの音楽書を紹介する記事を書いていたのですが、ちょうど今レッスンで増6の和音を勉強している方がいらっしゃるので、今週は先にそれを解説したいと思います。

「和音に強くなる」の番外編です(^^;

なお、以前書いた借用和音の記事を先に読んでおくと理解しやすいと思います。↓

借用和音②【ドッペルドミナント】https://note.com/rie_matsui/n/n54decf83feb8

増6の和音とは

名前の通り、外声が増6度離れている和音のことを言いますが、
どんな時にこの和音が出現するか、というと…

短調のドッペルドミナントの、第2転回形の、第5音下方変位です!!
(あぁ!めんどくさい!)
※ドッペルドミナントの復習は、上のリンクからどうぞ。
※長調でも準固有和音として借用できる。
※ドッペル~の中でも7の和音と9の和音の2転根省型が使われます。

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「第5音下方変位」というのは、第5音が半音下げられているということです。書き表し方は、Ⅴ₇の「セリフ」と呼ばれる横線の左端に斜め下向きのわずかな線を足します。(上写真参照)
変位しているものとしていないものと音を出して比べてみましょう。

ますます暗く、緊張感があるようにも感じますが、いかがでしょうか。

なぜ、そのように感じるかと言うと、
限定進行音が3つ含まれており、後続のドミナントに引っ張られる力が強いからです。そのパワー、第2ドミナント(Dの前のS)の中で最大です!

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以前、九の和音の記事の際に取り上げた、
モーツァルトの歌曲「ルイーズが不実な恋人の手紙を焼いたとき」の前奏に増6が使われている、とチラッと書きましたが、

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(Mozart: Als Luise die Briefe ihresungetreuen Liebhabers verbrannte; Peters)

ここの増6和音が、もし下方変位のない普通のドッペルドミナントだったら…

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やっぱり、下方変位している方が強さと緊張感が出ますね。
減七とともに、インパクトのある和音で、ここぞというときに光ります!


また、経過的に使われることもよくあります。低音にきた第5音が半音下がったおかげで、滑らかなバスのラインができますね。

(Beethoven: Klaviersonate No.8; Henle)



増6の和音は、七の和音だったり、九の和音だったり、根音を省略したり、と構成音が違う3種類があります。その種類ごとに、フランスの6、イタリアの6、ドイツの6という名前が付いています。
以下参考までに。響きの違い、感じますか?
国ごとの特色が出てるのかなぁ・・

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今日はここまで!
来週は、また音楽書の紹介記事になると思います
お楽しみに(^^♪





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なお、ある程度の知識がある方に向けて書いていますので、これじゃついていけない、という方は、ぜひ個別レッスンに!その人にあったレベルで解説します。(対面、オンラインどちらもあり)
レッスンご希望の方はrie3_e_mail@nethome.ne.jpまで。

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