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「忘れられていく」2023年9月27日の日記

・今日は一日暇だったから考え事をしてしまった。ずっと家にいる日の思考なんかは碌なものではなく、大した役には立たない。けれど、それは今日の私にとってたまらなく大事なものなので久々に日記に書く。


・忘れることについて考えていた。最近ものを忘れることが増えたように感じる。これは直近に起きたことだけに限らず、ずっと昔のこともだ。私の一番昔の記憶は幼稚園児の頃でほんの少し、断片的な記憶が残っている。けれど、その後の記憶についてどんどん思い出せなくなってきている。あんなに楽しく、苦しく、鮮やかだったはずのあの日々が記憶から消えている。正確に言えば「楽しかった」のような感情も『「楽しかったあの頃」を思い出している自分』を思い出しているだけで直接の記憶じゃない。


・これは本当に怖い。なぜなら過去の自分を忘れるということは、また、未来の自分が今の自分を忘れるということだからだ。今感じている忘れることへの恐怖を含め、未来の自分は何も覚えていない。正確に言えば「今日の日を思い出している自分」のことを思い出すことはあるのだろうが、それでは何も伝わらない。今他人事のように感じる過去の感情は、未来の自分にとっての今だろう。


・そんな恐怖のために、この日記を書いている。この恐怖を忘れないように。でも、きっといつかの私は忘れている。もう私ではない私が、いつかこの日記を見つけ出して少しでも今日のことを思い出してくれれば、そんなにいいことはない。


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