聖女の呪い(4)

聖女から受けた呪いによって、身動きの取れなくなってしまったカントとアトゥイは、仲間たちの手によってトゥレプの小屋まで運ばれたのだった。

トゥレプの小屋には闇の結界が張られているおかげで、ぐったりとしていた双子たちはたちまち元気を取り戻した。

「おばば、あの人間は一体なんなの!?」

「憐れな…とか言いながら、いきなり魔法をかけてきたんだよ!」

「そしたらいきなり人型が溶けて、狐の姿に戻っちゃったんだ!!」

カントとアトゥイが興奮しながら話し出す。

「あの人間は、聖女と呼ばれとる者じゃ。我々の肉や毛皮をはぎ取る為に、魔王様が与えてくださった恩恵の邪魔をし、我らの人化を解いてまわる悪人の手先じゃよ」

「「そんなの初めて聞いた」」

「…この事は森の学校で何度も習うはずじゃぞ。お主ら、サボっておるな?」

「「うっ…」」

図星をさされた双子を見やり、トゥレプは軽くため息をついた。

「とりあえず、おまえたちにかけられた魔法を解くためにはいくつか集めなければいけない物がある」

「オババ、治せるの!?」

「もちろんさ。この50年、何人もの魔法を解いてやっておるからね」

トゥレプは長年、いわゆる魔女をやっている。
先代の魔女から引き継ぎ、森の住人達の怪我や病を治し、時に今回のように聖女から受けた魔法を解いているのだった。

そして、動物たちの緊急避難先として、自分の住まいであるこの小屋に闇の結界を張り、魔神様の恩恵を阻害されてしまった者たちでも日中に行動できるようにしているのだ。

「さて、二人ともお前たちに集めて貰わないといけないものを言うから、しっかり集めておいで」

「「はい」」

*****

こうして、双子たちはトゥレプに言われた材料を集めに行き、最後の素材である夜光草の葉に溜まる夜露を集め終わったのだった。

-続-

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