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東北チャリンコ旅2日目続き 南会津ー会津若松

 南会津町ではもう一軒国権酒造に立ち寄って社長の細井信浩さんとお話しだけさせていただいた。

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 外に出ると、西側から黒い雲が立ち込めてきているのが目につき、山の上の天気のように、刻々と天候が変わっていく様子がわかった。ふとすると、雪がチラつき始めた。これはヤバイなあと思いつつも、前日の15時から食べているものと言えば、道の駅での揚げまんじゅうだけだったので、腹が減って仕方がなく、少し天候の様子を見るつもりで道路沿いの〔まもる食堂〕という大衆食堂に入った。元気のいい、おばちゃんと、この道40年だという親父が二人で営んでいた。温かいものを食べたかったので、中華そばを注文すると、「中華そば、熱々ちんちんにね!」と威勢のいい声でおばちゃんが親父に申し伝え、出てきた中華そばは喜多方風の中太麺で少し甘めの醤油味。よく温まった。

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 食事をして、少し様子を見たのはあまり吉とはいかず、天候が悪化してしまい、外は吹雪で視界が覆われた状況になってしまっていた。ここから会津若松まで50kmあまり。どうしたものかと思いながら、ひとまず一番近い駅まで自転車で行ってみた。駅の時刻表をみると、次の電車が来るまでにおよそ50分あった。「これなら、少しでも先に行き乗った方が良いのではないか?」と考え直し、再び自転車にまたがった。ぼた雪が全身を濡らし、大雨にでも打たれたように変わっていった。
 しかし、雪の状況は西風の吹くところでは降り付けてくるけども、山の陰にはいると、さほど強くはなかった。路面に積もっているわけでもないし、行けるところまでは行こうと判断し、進み続けるとだんだん雪の量も減ってきた。おそらく雲の進む速さよりも先に走り出したのだろう。
 南会津町と会津若松市の標高差は200mあまり。途中何度も上り下りを繰り返してはいるものの、基本は下り傾向の道のり。ところどころ、舗装がひどく道が荒れてはいるけれど、長い下り坂を下っていくのは、恐ろしさの反面、楽しいものでもあった。
 山を降りきってきて、いよいよ会津若松市に入ると、街道沿いの家が同じような形をしていて、同じ向きを向いていることに気がついた。とたんに風が強くなり始め、強風で自転車があおられ転倒しそうになるくらいだった。「はて?会津若松は盆地なのでなぜこんなに風が強いのだろうか?」いろいろと考えてみてもわからなかったけれども、同じ方向に同じような建物が並んでいる様子をみると、雪や風をしのぐのに一番良い形状なのかもしれないなと考えることにした。


 鶴ヶ城8kmの表示を目にして、ほっと一息。会津盆地に入って一番南側の酒蔵は〝会津娘酒造〟と事前のチェックでは出ていたので、一応そこまでいってみた。しかし、まるっきり蔵を見せてもらえるような雰囲気ではなかったので、物を運んでいる蔵人に「こんにちは、今日はえらい風が吹いてますねえ」と挨拶だけして後にした。時刻は14時過ぎ。もう一軒確実にみられる酒蔵を考えると、「末廣酒造さんならば大丈夫だ!」と思い、風が狂う中、七日町まで急ぐことにした。

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