Creepy Nutsが好きだった。
青春を彩った曲。青春を彩ったアーティスト。そういったものは誰しもあるだろう。
俺にとっての青春はCreepy Nutsだった。
日本語ラップとの出会い
俺が日本語ラップに興味を持ったのは中学生の時、MCバトルだった。
ネットオタクだった俺は5chのまとめサイトに入り浸りまとめスレを巡回していた。
そんな時、ある一つのスレをみつけた。
「お前らが凄いと思ったYoutubeの動画あげてけ」
そんな感じのタイトルのスレだったと思う。正確なタイトルは覚えていない。
しかしそのスレで見たMCバトルの動画に衝撃を受けた。
即興でリズミカルに言葉を放って韻を踏む。
なんてすごい世界なんだと思った。
それから俺はMCバトルの動画をいくつも見てR指定に出会う。
カリスマ・R指定
R指定とは現在Creepy Nutsで相方であるDJ松永とコンビを組むラッパーである。現在様々な所で活躍するため名前くらいは聞いたことある人も多いのではないだろうか。
そんな彼はMCバトルで名を上げたラッパーの一人だ。
数々のMCバトルの大会で優勝しMCバトルの全国大会である「ULTIMATE MC BATTLE(UMB)」で前人未到の三連覇を成し遂げた。
MCバトルで向かうところ敵なし、バトルの大会を引退して10年たって尚、ファンたちからは復帰を望む声もあるため彼がいかに圧倒的であったかが分かる。
俺も彼に魅了された一人だった。その頃ちょうど高校生が出場するMCバトル「高校生ラップ選手権」や初の地上波MCバトル番組「フリースタイルダンジョン」の人気によりMCバトル熱はかつてないほど高まっていた。
俺がR指定を好きになったのはバトルの強さだけではなかった。
彼はいわゆる「陰キャ」だったのだ。
HIPHOPといえば不良やイカツい人たちがやるというイメージがある。
しかしR指定はヤンキーではなかったし学生時代はモテない日陰者だったことを何度も語っている。
俺もまたモテなくて冴えない日陰者だったからそんな彼に共感できるところがあった。
ヤンキーじゃない人間がイカツいラッパー達をバトルで負かしていく様は痛快そのものだった。
また彼らの曲にも共感できた。
初期のCreepy Nuts
今でこそジャンル問わず大人気のクリーピーだが初期は卑屈な内容の曲が多かった。
陽キャやステレオタイプのラッパーを妬み皮肉を言う様子は当時の自分に投影できた。
そんな彼らの卑屈さを代表する楽曲がある。
この「トレンチコートマフィア」は学校という空間で主役になれなかった彼らの卑屈さと自分たちが大事にしているHIPHOPへの決意が伝わる曲だ。
この動画は映画「桐島、部活辞めるってよ」の映像に合わせており非常に完成度が高い。
また、彼らのやっていたラジオも好きだった。
休み時間のしょうもないやりとりのような雰囲気で進められるため非常に楽しく聞ける。
R指定が成人式に行って陽キャにダル絡みされた挙句、カラオケでラップだと思って三木道山を歌わされたエピソードは爆笑した。
暴走するDJ松永をR指定が止めるという流れがお決まりなのだが時にはRが暴走したり…と本当に楽しいラジオだった。
そんなこんなでクリーピーの楽曲やラジオを聞いて青春を過ごした。
人気になっていく彼らと変わらない自分
しかしいつまでも同じ状態が続くわけじゃない。
Creepy Nutsは年々人気になっていく。それは喜ばしいことだ。
俺もクリーピーをもっと多くの人に認知してほしいと思った。
しかし人気になっていくにつれて彼らの作風は変わっていった。
歌詞が前向きになった。
「かつて天才だった俺たちへ」「のびしろ」などはその代表例だ。
これは人気に伴い彼らに自信がついたことの表れだろう。
またシンプルに前向きなメッセージの方がウケがいい。
しかし俺自身は年々自分の限界や失敗を感じることが多くなった。
クリーピーが悪いとかそういうわけではない。今の自分にとって彼らは眩しい存在になってしまった。
いつからか曲もラジオも聞かなくなった。
今年の3月にラジオを終了すると聞いた時は「あ、ラジオ辞めちゃうんだ…」と思った。
もう聞いてなかったのでアレなんだけど自分の青春時代が完結したような気持ちになった。
こういう気持ちってなんか名前とかあるんですかね。ノスタルジーとかですかね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?