ラクダが海を歩く街、ブルーム
これがオーストラリアだと、誰が知っているだろうか。シドニーから飛行機で9時間。西オーストラリアの小さな街、ブルーム。私がこの街に訪れたのは4月、赤道に近いブルームに冬はない。ちょうど雨季から乾季へと気候が変わるそんなタイミングで私は約8ヶ月住んだシドニーを離れブルームに引っ越した。
“何もない“と聞いてはいたもの、私の想像する“何もない“を遥かに超えていたこの土地は、場所が変わったというより時代が変わったという新たな感覚を私に与えた。
空港は小屋やし、空港から出てるバスなんてもんもない。ただ、自転車で1時間あればぐるっと一周できる小さなその街は、まさに住めば都。
自転車でどこへでもいける、全てが完結するなんて、そんな楽なことはなかった。
毎日の日課はこうだ。
朝、起きて仕事に向かう。リゾートホテルのスパで働いていた私は、お花を積みながら職場に向かうことが一日のスタートだった。いわゆる南国っぽいお花を集めならが、、今日もトリートメントルームが幸せになることを確信する。
仕事が終わるのは5時。そのまますぐに家に帰ったら制服を着替えて、ダッシュで海に行くんだ。広大な水平線に沈むサンセットを見るために。
今でもあの時のことを思い出すと、ぼーっと、その景色を見ている気持ちになる。サンセットは毎日姿を変える。ほぼ毎日、そのサンセットを眺めながら自分のための、自分だけの時間過ごす。
信じられないけど、あんなに赤く、燃え上がった太陽が沈んだその30分後には、満天の星空が広がるんだ。
その天の川を眺めながら、はぁ今日も幸せだったと、家に帰宅する。その距離、自転車で5分。