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【映画】海と恋と高校生の春馬君『キャッチ ア ウェーブ』

我が家の環境では今のところ配信で見ることができない春馬君作品のうちのひとつ『キャッチ ア ウェーブ』。
サーフィンの映画だし、やっぱりスクリーンで観たい。そのチャンスを待って待って、ようやくやってきました。
ありがとうドリパス様。

鉄板のプロットを愛でる

この映画は、いわゆる「ひと夏の物語」です。

夏休み。
海に来てみたら予定が狂ってしまった若者たち。
訳ありの大人。
可愛い女子。

もう、こういう作品は世の中にたっくさんあります。
まあ、言ってみたら、どう作っても面白くなる設定なわけです。
そこに、今回は、サーフィンをプラス。
さらに、キャストやシーンの一部にアメリカンな雰囲気を漂わせて、非日常感を増し増しに。
後ろにビーチボーイズとDef Techの音楽が流れたら、はい完成!

言うまでもなく、ストーリーは、極めて平凡なんだけど、作品というパッケージにした時の安定感は抜群のプロット。
こういう作品は、細かいことは気にせず、とにかく映像と世界観を楽しむ作品です。
難しい事を考えなくていいから、心の洗濯にもぴったり。
海の風景を楽しむには、ちょっとまだ肌寒いけど、もうそこまで来ている夏を思いながら、たっぷりと心の洗濯をすることができました。あぁ、夏が待ち遠しい。私、夏生まれなので、夏が大好きなんです。

海と空の風景を愛でる

この映画は、とにかく海の風景を堪能できる作品です。夏休みのお話なので、たかだか夏場の1ヶ月の事なのに、海の表情はこんなに違うのか!と思うほど、いろんな情景を観ることができます。

意外な事に、雲ひとつないような、真っ青な空のシーンが少ないなぁと思ったら、実は曇りの日が多くて、天候待ちの多い撮影だったと、なにかで読みました。シーンのつながりの中で、天候がおかしくなっている箇所が散見されるのは、そう言うわけか。
自然相手の現場は大変だなぁ。

凪もあれば、台風もあれば、真っ青もあれば、ドロドロもあれば、とにかくシーンによって海の表情が百面相のよう。
主には、湘南や千葉で撮影されたようですが、なんといっても圧巻なのは、ラストのハワイのノースショアの波。

あの夏、日本の波で少し成長した大洋が、ノースショアの海岸に立つシーンの、雄々しくて美しい波。さらにここから、大洋が世界を広げて大人になっていくのであろう、輝かしい未来を予想させるに充分な波です。

なんてったって、春馬君の役の名前が「大洋」なんですよ。
ずっと「太陽」だと思ってみてたら、最後に「大洋」って出てくるの反則だよ。
1番感動したの、あの字幕の「大洋」の文字が目に飛び込んで来た時かも知れない。やられた。

ちなみに、ラストシーンはほんとに、これハワイなの?と思って観てたけど、あの見事な虹とあの波は、間違いなくハワイだ。ああ、ハワイも行きたい。ややこしい世の中になっちまった2021年に観ると、ほんとに色々眩しい映画です。

大迫力のサーフィンシーンを愛でる

「サーフィンの映画ならスクリーンで観たい」という直感に従ったのは大正解でした。私はサーフィンはしませんし、詳しくもないのですが、ただ観てるのは嫌いじゃない。
作中にも出てきますが、よくカフェなどで、サーフィンの映像をテレビで流しているような店がありますが、お一人様だったら、テレビの前に陣取って、ぼーっと見ながら過ごすのは大好きなのです。

そんなノリで、この映画もテレビで観たらぼーっとしちゃうリスクが高い。その意味でも、ここはスクリーンで観なくては!です。

どこかの宣伝文句に、「日本初の本格サーフィン映画」とありましたが、調べてみると、2000年代だけでも、サーフィンを題材にした映画は、複数本撮られています。
どれも観たことはないので、ストーリーなど、文字情報で追ってみた限りですが、サーファーが主役ではあっても、サーフィンのシーンをここまで大迫力で撮影したものは、少ないのではないか、と推察します。

スクリーンで観るメリットは、画面の迫力だけではありません。
音がいいのです。波の音、しぶきの音、息遣い、風の音。。。
自然を題材にした映画は、音の良い映画館で観るに限ります。マイルールです。

春馬君をはじめ高校生3人衆はサーフィン初心者の設定なので、まあよく海に落ちます。
迫力のサーフィンシーンというより、ほぼほぼ、海にドボンシーンの連続。
これが、つまんないんです。ドボンなのに、無駄に迫力満点なんですけど、あまりに落ちまくるから飽きるんです。
その飽きる感じが、そのまま彼らの、いくらやってもうまく行かないイライラ感にシンクロしている。

そのうち、落ちても落ちても、何度も向かっていく大洋がだんだん愛おしくなっていく演出に、まんまとやられます。
寡黙だけど、唯一純粋にサーフィンの魅力に取り憑かれた大洋君、存在感が際立っているのです。

3人衆以外のサーフィンは、プロの方なのか、とても見応えがあります。
3人も、いや、大洋はいずれは、ああなるのだろうか。カッコいいなぁ。あぁ、さらに妄想でうっとり。

訳ありの大人たちを愛でる

今回、大人枠としては、竹中直人さん以外は、登場シーンが少ない方ばかり。
でもみなさん、すごく印象に残る役です。

とくに坂口憲二さんは、若者目線でカッコいい大人を「海辺で」演じさせたら、坂口さん以上の方いるんだろうか。
高校生が出会ったら、あんな大人になりたいと思わせるに十分なオーラが出てて、いい仕事されてました。
サーフィンは元々お得意なようなので、もう少しサーフィンを披露される設定でも良かったのかな。ちょっと物足りなかったのが残念。

竹中直人さんは、いわゆる「なにを演じても竹中直人」というタイプの役者さんですが、ビジュアルも含め、個性が強烈過ぎるのと、どんなにふざけても、「良い人で真面目」というオーラが出まくるので、必ずハマり役にしてしまう実力の持ち主。
デュークという役は、原作の時点で、竹中直人さんをイメージして書かれたそうです。って事は、原作通りなんですね。他の方がやったらまた全然違ったのでしょうが、竹中デュークは、それはそれで、素敵なおじさんでした。
それにしても、いかにも、サーフィンが出来そうに見えるのが不思議。実際はおできにならないそうです。
上手い役者さんなんだなぁ。

声変わり途中の春馬君を愛でる

春馬君が高校生の世代を演じた作品は、つい最近のブレイブを含め、両手でも収まらないほどあるんじゃないかと思うのですが、この作品は、その中でも特別です。

なんと言っても、春馬君の声が声変わり途中!
全編にわたって、声の変化はほぼ感じ取れないほどだから、非常に短期間で撮影された映画なんだなとわかります。こういう作品を、しかも主役で残している役者さんは、珍しいのではないかと思います。
高校一年生の設定で、この下りきっていない声って、成長としては、少しゆっくりさんの印象。
女の子に誘われて、慣れてなくてドキドキしちゃう設定の役にピッタリです。
大洋君は奥手なんだな、というのが声から伝わる。本当に、人生のこの時期にしかできない役にジャストタイミングでキャスティングされていて、リアリティー満点のとても貴重な映画なのです。

また、大洋が口下手でシャイな設定なのもいい。
実は、春馬君、この頃はまだまだ台詞回しがぎごちないのです。
後の春馬君からは想像できないくらい初々しい。
同じ子役出身の濱田学君は、キャラ設定の違いもあるけれど、すでに熟練の域なのですが、それに比べると、やや棒読み感が拭えない春馬君。

でも、あの声変わり途中の声の時って、普通に喋っても棒読みみたいになる時期なのです。
なぜなら、声変わり途中は、ちょっとしたことで裏返ってしまうから、人間は自然と抑揚を抑え気味で話す傾向が強くなります。
台詞が少なくて済むキャラの設定が、実利を兼ねてすごく生きている(もはや親バカ目線に近いか)

表情の演技は、そりゃもう、爽やか好青年やらせたら最高の役者さんですから、もうアップになるたび、ため息がでます。

江ノ電から海を見た時。
サーフィンを見て魅了された時。
初めてジュリアに会った時。
少しだけデュークの過去に思いを馳せる時。
自分の正義を貫くため台風の海に出る時。

あと50個くらい書き出せるけど、この辺にしておきます。

はぁ、ため息出過ぎて、酸欠になっちゃうかと思いました。

大洋君を愛でる

冒頭のシーンで、3人衆のキャラがさくっと描かれます。

口ばかりで食いしん坊の浩輔(濱田学)
猪突猛進で強引な誠人(木村了)
テキトーで諦めが速い大洋(春馬君)

この中で、1番大人しくてやる気の無さそうな大洋が、サーフィンでは1番ガッツを見せます。
「最初やる気なさげなのに、ひとたびスイッチが入るとすごい」みたいな役は、春馬君の十八番。その心境の変化を、まだまだ不器用ながら一生懸命演じていています。

個人的には、この、最初の時点の「やる気ないボーイ」の演技が、大好物なのです。
そして、ラストシーンの前を見つめて、やる気に満ちた立ち姿がまたいい!その凛々しさったら!

大洋の成長に欠かせない要素としては、ジュリアの存在も重要。
ジュリアがいつ大洋に惹かれたのか謎なのですが、やっぱ一目惚れなのかなー。
とりあえず、終始ずっと主導権を握っているのはジュリアで、大洋は振り回されているだけ。
でも、ラスト、ノースショアまで会いに行くシーンは、自信に満ち溢れて、振り回されてる感ゼロなんです。その凛々しさったら!

大洋、いい男になったな!

というデュークの声が聞こえてきそう。

大洋が成長していく様子は、ぜひ本編で確認して頂きたいと思います。

まとめ

夏になったらまた観たいなぁ。

湘南の海の家かなんかで、あづいーーって言いながら、かき氷食べながら、だらーっとしながら、凸凹したシミだらけの壁にプロジェクターで映して、微妙にピンボケな冴えない感じで、音も割れ気味で、それをスクリーンで観た時の記憶を元に脳内で補正しながら、また観たいです(謎)

それと、ノースショアの波も見に行きたいな。
作中、ノースショアへ向かう道の分岐点の看板に、「KINKY」と書かれたステッカーが貼ってあったけど、まさに、ノースショアはKinkyな場所。久しく行っていないので、無性に行きたくなりました。

って、全然まとまっておりませんが、夏が大好きな春馬君ファンの感想でした。ため息とともに、ぜひスクリーンで観て欲しい作品。おススメです。

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