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【雑文】観劇のニューノーマルから生まれたライブビューイングの可能性

『ミュージカル・ゴシック ポーの一族』の大千穐楽を地元の映画館で、ライブビューイングで観劇しました。
作品レビューは、只今、絶賛シタタメ中なのですが、一足先に、ライブビューイングの事を書いておこうと思います。

満席の会場で感じるバイブス

地元の映画館の中でも2番目に大きなシアターは、満席でした。
抽選で売り出されたチケットが、第一希望の会場でとれたから、内心売れてないんじゃないかとビクビクしてましたが、杞憂でした。

全国の映画館に加えて、台湾と香港にも配信され、ライブビューイング会場の他にも、自宅や思い思いの場所で、配信をご覧になっている人たちがいるらしい。
名古屋の御園座の観客以外に、いったいどれだけの人が、この瞬間を共有しているのか、と思うと鳥肌が立ちます。

芝居にとって、千穐楽は祭りなんです。
こんな状況でなくても祭りなのに、大阪、東京、名古屋と、総勢100名以上の大所帯全員で駆け抜けられたカンパニーのみなさまにとっては、本当に祭り。
そこに、形式の違いはあれども、たっくさんの観客のひとりとして、立ち会えた幸福感に包まれた3時間でした。

そして、なんと言っても、満席はいい。満席だからいい。それだけで気分が上がる。

演劇のファンとして、カンパニーに対する1番のサポートは、私はやはり席を満席にする事だと思っています。
劇場の大小に関わらず、隅々まで埋まっている客席を舞台上から眺めるのは、きっとなにより幸福な事だと勝手に思っています。
私は、出る方にはなった事がないから、見た事ないけど。

客席稼働を50%にしろとか、なに馬鹿な事言っちゃってんの?と思います。
みんな、お行儀よく観てますよ。
感染リスクの高い方は、劇場にはいらっしゃらないカルチャーもすっかり定着したし。

幕を上げる以上、満席の客席の前で公演しないでどうするの!

今回は、海の向こうからもたくさんの人が、そういう思いでスクリーンの、あるいは画面の前から見守っていたかと思うと、本当に心が震えます。
それが、私が感じたバイブスの正体かも。
みんなの思いは、御園座に届いていたかなぁ。

集中力はお金で買える!

今回のイベントは、配信を自分の端末で観る方が若干お安かったのですが、配信での観劇はこれまでも何度も経験があったので、物見遊山にライブビューイングにしました。
ライブビューイング初参戦です。

結論から言いますが、圧倒的にライブビューイングがおすすめです(もちろん、劇場で生で見られるのが1番です!)

足を運べる範囲に会場があるなら、自宅で配信ではなく、絶対に行くべきです。絶対!

その理由はいくつかありますが、1番大きいのは、集中できるという点。
今回の最大の学びは、「集中はお金で買うもの」という事です。
ミュージカルや映画というコンテンツそのものだけでなく、劇場、映画館という空間にお金を払う事にも、価値があるんです。

自宅で観てると、宅急便来たりするんですよ。
外で遊んでる子供の声も聞こえちゃう。
テレビの隅のホコリとかも気になる。
家族と見てると、いちいち話しかけてきやがる。

感想は今言うな!終わってからまとめて言ってくれ。

ま、これは、うちの家族の問題ですが(笑

そりゃ、ぐだーっと寝巻きで、マスクもなしで、飲食自由でというのは悪くないのですが、途中で集中力を削がれるのが大嫌いな私としては、そもそも途中で飲食もしないし。

私の集中を邪魔する要素を、見事に排除してくれるライブビューイング最強でした。

しかも、会場ではプログラムやグッズも買えました!

まさかプログラムが手に入るとは期待してなかったので、小躍りしました。
手元におきたいプログラムだったので、非常に嬉しい♡

ライブ配信のメリットとデメリット

今回の公演に関しては、すでに何度かライブ配信もされており、ノウハウが確立していたのか、カメラワーク、スイッチング、音響等、技術的にはとてもハイクオリティでした。
録画されたものを編集したのか、と思うほど完璧だったと思います。
配信である事で感じるストレスは、「自分の目線で好きなところを観られない」という事以外には、ありませんでした。

実は今回、アンサンブルさんの中に、注目していたキャストさんが2人いたのですが、群舞で後ろで踊ってる時とか、ガヤの時とか、映らなかったですねー。笑っちゃうくらい見切れてて。
まあ、覚悟はしておりましたが。

そのかわり、セリフがあったり、一瞬でも歌ソロがあると、ちゃんとカメラで抜いてくれるので、初見でも見逃す事はありませんでした。ありがたや〜。
まあ、結果プラマイゼロかな。

あと、セットやお衣装の細かいところまでよく見えて。
遠い席からだと観る事の叶わない美術さんや衣装さんの仕事が観えるのは、舞台美術好きとしてはもう、目がいくつあっても足りないレベル。
とても楽しめました。

また、役者さんの細かい所作もよく見える。
舞台公演なのに、まるで映像作品のように、瞬きのレベルでも、ちゃんと演技をしているのが手に取るようにわかりました。

やはり、細かいところを楽しむには映像に軍配だよなぁ。

ライブビューイング観劇の可能性

常々、舞台を配信で観るのは、特等席で観劇するのと同じ、と思っていますが、コロナ禍に急激に広まった配信という公演スタイルは、実際のところ、なかなかクオリティが追いついて来てないのが実情でした。そんな中、昔から舞台のテレビ放映を重ねてきた宝塚の関係者が作る作品は、ほんとに高いクオリティでした。

クオリティに対する期待はしてたけど、十分満足できるクオリティだったと思います。

ライブビューイングにしろ、配信でミュージカルを観るって、初見の公演だと、自分の視線で観られない分、観たい事が色々観られないことも沢山ありそうですが、一度劇場で観た公演なら、細かいところがよく観える映像での観劇と合わせ技で楽しめるし、1番理想かなと思います。

昨年から様々な舞台が配信で観られるようになったとは言え、まだすべての公演で、とはいきませんが、観劇のひとつのスタイルとして、定着してきたのかなと思います。
同じ配信でも、映画館なり然るべき公共の場所で観るのは、まさに映像と舞台のいいとこ取りともいえる観劇スタイル。
劇場のない、あるいは旅公演が来ない場所に住んでいても、十分楽しめるものと思います。

舞台公演の映像配信が当たり前になる時代は、もうすぐそこ、を実感させてくれるに十分なライブビューイングでした。

今度は何かの折に、生の舞台でも観て、配信も観る、という贅沢をしてみたいです。
どの公演がいいかなー。うふふ。

おわりに

コロナのおかげで、長らくタブー視されてきた舞台公演の映像化が進むようになってきました。

舞台はナマモノ。
一期一会。

今この瞬間は今しかない。
それはよくわかります。

だけど、今しか観られない事の価値と、その作品のために全力で取り組んだ人たちの仕事を後から愛でる事の価値は同等なのだと、あの事があってから考えるようになりました。

舞台は映像で残すべき。

なにがあっても。ね。

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