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死ぬほど生きたいときに効く15皿の料理〜クリープハイプ『夜にしがみついて、朝で溶かして』レビュー〜


『夜にしがみついて、朝で溶かして』 クリープハイプ
 
 2021年12月8日発売の6枚目のアルバム。前作『泣きたくなるほど嬉しい日々に』リリースから3年3ヶ月の日々を経て産まれ落ちた新作です。ライナーノーツなんて書いたこともないけど、作り手に「読みたい」と言われたら書かずばなるまい。まして、書きたくなるようなアルバムなのだから。というわけでアルバムを彩る15の楽曲について、ごく私的にレビューさせてもらいます。

はじめに
 「レビュー」と言ったけれど、「ライナーノーツ」ではないのか。
 ライナーノーツには解説という意味があって、レビューは批評、評価という意味がある。それを踏まえると「解説」ができるのはこのアルバムを作り上げたクリープハイプのメンバーまたはスタッフだけだと思うので、「批評」だなんて烏滸がましいけれども、レビューなんて横文字にしてしまうと多少なり角が取れた印象になるわけでそんな言い方をさせてもらう。
 サブスクで新曲を聴くことが常態化した昨今においては、アルバムのリリースと言えど初めて耳にする楽曲は割と少ない。映画やテレビ番組のタイアップになって耳にする部分というのは「聴く」とはまた違う感覚があり、「観る」とセットで入ってくる情報、それもサビの一部分を切り取ったものだから、一曲通して「音楽を聴く」のとは乖離しているものだと思う。しかしサブスクにより最新曲のフルコーラスを労せず聴くことができる現在の環境は嬉しくもあり、複雑な気持ちにもなる。かつては深夜ラジオに耳をすましたり、テレビの歌番組を録画して何度も見返したりして好きなアーティストの新作に食いついてはCD発売を心待ちにしていたので、あの頃の感覚をまだ持っている私にしてみれば「こんなにあっさり新作アルバム全曲聴けちゃっていいの?」とか思ったりするのである。
 前置きが長くなったけれど、そろそろ本題に入ろうと思う。一曲一曲に対してはかつての熱量を損なわないように心掛けながら、15曲について「レビュー」していきたい。

01.『料理』
 「愛と平和を煮しめて味覚を馬鹿にして笑う 浅ましい朝飯だ」のフレーズから本アルバムはスタートする。BPM速めのバンドサウンドにお得意の言葉遊びの歌詞が乗れば太客(クリープハイプファン)にしてみれば大好物の楽曲だ。料理をするどころか調理器具さえ持っていない尾崎君が料理なんてテーマでこの曲の歌詞を書いたのかと思うと違和感があるけれど、知らないものだからこそ改まった解釈ができるんだと感じさせてくれる。また、歌詞に散りばめられた生活感は夫婦を連想させるもので、過去の歌詞世界から時代が一歩進んだような感覚もある。一見楽しそうな歌詞の中にある「なぜか腹が減る こんなに悲しいのに」というフレーズはアルバムを通したメタテーマであるように思える。
 サウンド面ではカウベル(コンって音のする打楽器)を要所要所で使って気の抜ける感じを出したり、メジャーコードでバチッと切れる曲終わりなど、一曲目にふさわしいアレンジが気持ちいい。Bメロのベースの浮遊感とかは工夫が凝らされていると感じるし、印象的なギターリフはイントロやアウトロなどテーマ的に使われており、小川君らしさが如実に感じられる。バラエティに富んだつかみには持ってこいの一曲。

02.『ポリコ』
 個人的にこのアルバムのリードトラックと言いたい。フジテレビのキャラダチミュージアム内の企画『ハイパーポジティブよごれモン』の元になった楽曲とのこと。様々な汚れをモチーフにしたキャラが、特性に沿った悪口に対してハイパーポジティブな考えでプラスに捉えていくこの番組のエンディングにサビの部分が流れるのだが、そこだけ聴くと企画趣旨に微妙にハマってないように感じて、正直言うとイマイチかなと思っていた。しかしアルバムがリリースされて初めてフルコーラス聴いたらあまりの完成度に愕然とした。
 Aメロ、Bメロには王道かつ秀逸なメロディーラインに乗せて『ポリコレ』(ポリティカルコレクトネス→特定の人を不快にさせない中立的な表現)に対して尾崎君ならではの見解が盛り込まれている。厭世的な歌詞とドライブがかかったベースがうねり破壊力のあるドラムとマッチした疾走感抜群のロックサウンドが生き生きと絡み合ってこれぞクリープハイプ!と唸る。しかし初期の楽曲みたいにトゲトゲとした部分だけでなく「まるでパリコレ〜馬鹿野郎」のくだりはビートたけしのノリツッコミを彷彿とさせるちょっとコミカルな一面もあって余裕を感じたりもする。令和のクリープハイプが現代の「正しさ」に対して警鐘を鳴らすところにぞくっとする良さがある。

03.『二人の間』
 お笑いコンビのダイアンに尾崎君が書き下ろした楽曲で、ほんわかとした雰囲気の裏で色々と実験的な要素のあるナンバー。ファズギターのフレーズとドライブのかかったベースに打ち込みのドラムで、ドラムンベースをポップに解釈したような仕上がりになっている。
 歌詞の内容はダイアンのことを知らない人にも二人の空気感が伝わってくるような印象で、実際にダイアンが歌う動画を観ると津田さんの高音とユースケさんの低音がうまく混じり合って、尾崎君の声よりしっくりきて(失礼)諸々腑に落ちる。「コンビ愛」または「呼吸」というテーマは友達、カップル、同僚、仲間、熟年夫婦、などなど聴き手により色んなシーンにあてはめることができる変幻自在の曲とも言える。

04.『四季』
 その名の通り、いろいろな表情が移り変わるまるで季節を巡るようなアレンジの一曲。四つ打ちバスドラムとフロアタム、ジャカジャカしたアコギのストロークは素朴でシンプルながらも新しい季節の始まりに高鳴る心臓の鼓動のよう。1番終わりから2番にかけては独特なミュートを効かせたベースとエレキギターが各パートを縫い合わせるように空気を広げている。春と夏を歌う前半が終わると、秋冬を歌う後半の始まりはスタッカートのピアノによりリズムが一変する。「何かに許されたり 何かを許したりして そうやって見つけてきた正解」の部分や「叩かれて干されてもまた包んで布団みたいな関係」など、やはり夫婦を匂わせるイメージがちらほらと。四季折々の思い出をそれぞれ歌うあたり、これまでを振り返ってこれからの四季をまた新しく過ごしていく、続いていく日々について歌っているのかな、なんて思う。

05.『愛す』
 クリープハイプの現体制10年という節目にリリースされたこのシングルには、歌詞も、サウンドも、MVも、どれをとっても新たな一面を見せつけられた。まず「愛す(ブス)」というタイトルの時点で色々と物議を醸したのはある意味自然だろう。素直に好きと言えないひねくれた主人公の、愛情の裏返しな言葉たちがふわりと優しく漂っている。
 サウンド面ではゆるやかなギターフレーズが包み込み、ブラスセクションをあえて生音ではなくシンセサイザーで弾いているのも印象深い。AC部による衝撃的なミュージックビデオも併せて、一度では理解できない奥深さみたいなものを感じる。また、クリープハイプ史上最高難度といっても過言ではないコーラスワークもこの曲の大きな魅力だろう。
 チプルソ、津野米咲、betcover!!、空音の4アーティストによるリミックスが配信され、それも各々のテイストがあった。個人的には津野のリミックスが好きだったが、結局一周回ってクリープハイプ本家が1番良かった。

06.『しょうもな』
 2021年のクリープハイプを物語っている秀逸な一曲。物議を醸した「愛す」へのアンサーソングともいえるような歌詞で「愛情の裏返しとかもう流行らない」から続く言葉遊びはまるで『わかってるよ。ほら、こういうのが好きなんだろ?』とわざとらしく撒かれた餌のよう。アルバムで「愛す」の次に配置されているところもきっとあえてのことだろう。
 とにかく音の疾走感がすごい。アラフォーのおじさんたちだけどこんなに勢いのある演奏ができるのかと舌を巻く。バンドインのタイミングの5連符は全パート揃うとゾワっと逆毛立つし、2番Aメロの拓さんのスネアがとても良い音でチューニングにもこだわってるんだろうなと感じる。
 サビの「もう何もかも振り切るスピードで」「言葉に追いつかれないスピードで」の部分はバンドという強み、あるいは音楽の強さを見せつけているようだ。しかもその強いメッセージが向けられているのは「世間じゃなくて」「あんた」「お前」「てめー」である。顔の見えない世間なんかより、正面から向き合うたったひとりに届くよう投げられた白球なのだ。2021年のクリープハイプが放った渾身の豪速球ストレートを聴き手がしっかりと受け止めて「世間様」というバッターを三球三振に討ち取る絵が見える。

07.『一生に一度愛してるよ』
 メジャーデビューして世に出ているバンドにもいろいろある。鳴り物入りでデビューして2作目以降鳴かず飛ばずになるバンドもいれば、常に最新作が前作を超えてくるモンスターバンドもいる。バンドだって人間だし生き物だから年齢や時代に応じてどんどん変化していくものだ。が、どうしたって好き嫌いはあるし、古参のファンの一部にはにわかファンにマウントしたくてわざわざ最新作をこきおろす者もいるとかいないとか。
 さておき本作のAメロはバンドの初期作品と付き合いたての恋人との対比で構成されている。バンドにとっての「ファースト」と恋人にとっての「あなたの1番」がうまいことかかっている。ギターにハーモナイザー(1オクターブ上の音が重なって鳴る効果)がかかっておりベースもシンセサイザーで全体的にポップな音選びとなっており、それこそ初期のクリープハイプにはなかった演出である。しかしバンドと恋人を絶妙な言葉選びで繋いでいくそれは初期からずっと愛されてきたクリープハイプのよさそのものでもあるから巧妙だ。「出会ったあの日は103です」は初期のあの曲の一節だし、新しい好きな人の名前が「コウキ」だったり、クスッとくるギミックがふんだんに散りばめられている。そして締めくくりにはメジャーファーストアルバム1曲目1行目の歌詞でありアルバムタイトル「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」だなんて、総集編ですか。

08.『ニガツノナミダ』
 アルバムの収録曲順でちょうど真ん中に配置された本作は強烈に『仕事』感あふれる一曲である。楽曲がCMに起用されるのと、CMのために曲を書き下ろすのとでは、結果としてCMで曲がかかるところは同じだとしても、そのアプローチやモチベーションは大きく違う。音楽を仕事にすることと、仕事に音楽を使うのとが大きく違うように。
 曲の途中でガラリとリズムが変わってまるでサビからCメロに行く展開。それでも演奏はさすがクリープハイプと言わざるを得ないし、きっちり曲調を戻してくるし短くも色濃い楽曲となっている。「30秒真面目に生きたから残りの余生は楽しみたい」なんてクライアントがよくOK出したなと思うが、そんな歌詞を書かせるくらい冒頭の30秒には横から手出し口出しされたのだろうなとか想像してしまう。最後には「それはそれで悪くないから ここはここ」と割り切ったところも痛快である。

09.『ナイトオンザプラネット』
 3年3ヶ月という月日は、オリジナルアルバムのリリーススパンとしてはかなり長い。新作が出ないということは、リスナーにとってみればいつまでも前作までのイメージを引きずることとなる。バンドは生き物なので、リリースがなくても日々成長し変化しているのだから、そのギャップがどんどん大きくなっているということである。
 では、そんな長期にわたる制作期間を経て最新のクリープハイプをどのようにアウトプットするのか。その答えがこの『ナイトオンザプラネット』なのだろうと勝手に思っている。若かったあの頃の情景と、歳をとって変わった環境と、変わらずにいる感情との間をジムジャームッシュの映画が繋いでいるようだ。まるでこの作品が一本の映画のようであり、実際に映画化もされているのだけど。ここでもやっぱり恋人やバイトなどの若い時代から、子育てしながら懐古的になるシーンが示すように月日の流れを感じさせるものである。
 Eメジャー7のコードにオートワウがかかった音がとても印象的で、エレピの音とマッチして大人な夜の雰囲気とまだ捨てきれない気持ちがうまく表現されている。ずっしりとしていて、必要な音だけを厳選して配置したドラムがそれら全てを支えていて安心できるから、自由律で歌うことができるんだと思う。そんな自由かつ安定している表現が、この3年あまりの時間を経た結論だとしたら納得がいくと思うのである。

10.『しらす』
 長谷川カオナシという人はいったいどんな脳内構造なのかと、彼の作品を聴くたびにいつも驚嘆させられている。想像の深いところにいつでも飛び込むダイナミックさと、ちょっとの刺激で折れてしまいそうな繊細さを同居させているような、もうどう言っていいのかわからないけどそういう奥深さを感じる。
 和太鼓のリズムにピアノのシンプルな音づかいがまんが日本昔話の世界のようで、最後のコーラス部分では尾崎君の甥っ子たちの可愛い声も聴ける。
 アルバムをとおして随所に現れる『空腹』『食事』というメタテーマに真正面から向き合っている本作は老若男女に響く精神論であり、こういったフォークロア的要素は過去の長谷川作品にも通ずるところがある。温故知新に曲をつけたらこうなるというひとつの解だと思う。

11.『なんか出てきちゃってる』
 小川幸慈の記念すべき初クレジット作品となる本作は一聴してクセの強さが爆発するクリープハイプの深淵というべき楽曲。半音階を多用する不思議な雰囲気のあるギターリフが一曲通して空気感を形成している。ファンクやフュージョンぽくもあり、オリエンタルな匂いもする。歌詞はたった1行「偶然ネジがゆるんじゃって」のみ。出てきちゃってる『何か』とは?『お前』とは誰なのか?想像を掻き立てる一曲。

12.『キケンナアソビ』
 これもまた物議を醸した一曲。何がってyoutubeで公開されたMVが18禁扱いになったからである。不倫とか割り切った関係だとかそういう言葉にしてしまうと下世話だけれども、許されざる関係性を赤裸々に表現したクリープハイプにしかできない楽曲だと思う。
 しかし筆者にとってはそれよりも目を見開いた事実がある。それは本作のコード進行。実はこの曲、同じコード進行を転調させて繰り返すのみで出来ているのである。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、Cメロという構成の中で一貫してJust the two of us進行と呼ばれるコード進行で演奏されている。しかもAメロ→Bメロで半音上がり、Bメロ→サビでまた半音上がるという手抜きか!とツッコみたくなるような構成。にもかかわらず飽きずに聴けるのは各部分のメロディーがいずれも個性的かつハマっているからだろう。メロディーとコードとアレンジの絶妙な化学反応はまさに『キケンナアソビ』だ。

13.『モノマネ』
 最初に聴いたとき「え?これ新曲?ボーイズENDガールズじゃないの?」って思った、なんて話はほとほと聞き飽きただろうからもうしない。自分の作った歌にアフターソング的なものを作るってどういう気持ちなのだろう。どうしてこの曲を選んだのだろう?と色々と想像してしまう。物語のつづきが必ずハッピーエンドとは限らないのが人生だ。そういう生々しさみたいなものを感じる。
 劇場版アニメ『どうにかなる日々』の劇伴をクリープハイプが担当し、本作が主題歌に選ばれた。アニメのサウンドトラックももちろん全てクリープハイプが演奏しているのだけど、歌ものロックバンドの匂いが強く残っていて驚いた。
 本作のサウンドはディレイのかかったギターがただただ心地よいしバンド全体の圧がすごくて迫力のある曲に仕上がっている。どこか憂いがあって夕暮れみたいな雰囲気のアレンジが恋の終わりを表しているのかはわからないけど、筆者にはそんな景色が見えた。

14.『幽霊失格』
 モノマネでも十分にバンドの迫力が伝わったところでさらに圧倒的にバンドのパワーが溢れかえっている一曲。歌ものギターロックバンドかくあるべきという美しいメロディーとギターリフ。シンプルかつダイナミックなアレンジだけど、演奏力が高いので単調に聴こえないところもよい。アウトロでベースラインがちょっと変わるところとか、サビでズドンとくるドラムがかっこよく、痒いところに手が届く『そうそう!それそれ!』と言いたくなるお手本みたいな演奏。
 歌詞に出てくる幽霊のキャラクターが可愛らしくて、「成仏して消えるくらいならいつまでも恨んでて」の部分に深い愛情を感じる。幽霊をテーマにした歌がこんなにかわいくかっこよく出来上がるなんて、さすがクリープハイプ!と本当に感服してしまった。

15.『こんなに悲しいのに腹が鳴る』
 生きるということは消費するし、何か食べなきゃ生きていけない。でも仕事とか、人間関係とか、最近じゃSNSだとか色々なことで心が傷つけられて『食べる』ということが罪深いような気持ちになることもある。誰かの顔色をうかがったり、公序良俗にあてはめて『正しさ』を押し付けられたりするけれど結局腹が減れば腹が鳴るし、食べる喜びを感じたりする。「どんなに苦しくても腹が減る」のは、生きているから。人生を歩んでいるから。ひとつの生き物だから。
 大きなアップダウンのない曲調で派手な演出もないけれど、じわりと暖まるような優しさを感じられる演奏。壮大だけど普遍的なテーマを馴染みやすい言葉で綴っていて、まるで大きな夕陽が照らす風景のようなアルバム全体のエンドロールにふさわしい一曲。
 当たり前のことを当たり前に言う。社会にとって世間にとって小さな存在でもそれぞれに生きている。悲しいことも頭にくることもいっぱいあるけど、お腹いっぱいご飯を食べて明日も生きていこう。そんなことを言ってくれている気がする。


おわりに
 こたつに入りながらこの文章を書いています。
 最初にこのアルバムを一周聴いたとき『ライナーノーツみたいなものをnoteに書いてみたいな』と実は思っていたところにこのライナーノーツ企画について太客である奥さんから聞き、そんな偶然あるのか!と書くことにしたのでした。
 しかし実際に書き始めると改めて文章を書くって難しく、ことばで相手に伝えることのしんどさを痛感したのでした。普段の会話では相手が理解しようとする姿勢になってくれているから安易に話しても及第点はとれるけれども、本当に伝えたいことを限られた文字数や語彙で全部伝えられるかと問いただされるとウッと詰まってしまう。尾崎君はいつもそんなふうにことばに向き合って、悩んで作っているのかなあなんて想像すると改めてすごいなと思います。このライナーノーツ、いやレビューを書くにあたりそんなところも学びになりました。
 レビューのポリシーとして全曲必ずサウンド面について触れることにしました。自分がバンドマンだということと、クリープハイプのレビューは歌詞にフォーカスされがちなので、バンド自体の良さにもっと着目して欲しいと思ってそう決めました。そう決めたからにはサウンドもしっかり聴き直したいと思い、一曲リピートで何度も細かく聴き込むとそれまで通り過ぎていた音がたくさん聞こえてきたのです。そのとき思いました。「ああ、これまでなんともったいないことをしていたんだろうか」と。
 今回の企画は『ことばのおべんきょう』にもなったし『おとのおべんきょう』にもなったので、過去の曲たちとももう一度しっかりと向き合ってみたいと思うようになりました。
 ことばに向き合い、おとに向き合い、じぶんに向き合いながら生きていく。辛くなるときもあるけど、死ぬほど生きたいと思ったそんな時こそ、この15曲をじっくり聴いて『腹減った。何か食べよう。』とか思えたらいいですね。
 最後に、このチャンスを与えてくれたクリープハイプと、企画を教えてくれた奥さんと、読んでくださったあなたに感謝しています。
 大変長くて読みづらい文章になってしまったけれど、最後までおつきあいありがとうございました。

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