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#2020年ベストアルバム 国内編

国内/海外で分ける行為に意味があるのかないのか…195ヵ国を「海外」と括ってしまっていいのか…その答えは来年に取っておきましょう。
僕は第一言語が日本語なので、日本語で歌われている音楽だと詩とメロディーが同時に頭の中を流れ、反対に日本語以外の歌だと、単純に音だけで楽しんでいます。その点だけで、僕にとって2つを同列に語ることはちょっと難しいかもしれません。

トップ3以外は明確な順位付けを行っていません。最後までどうぞ。


赤い公園『THE PARK』

ボーカル・石野理子さんの新規加入後に発表された、バンド名を冠したともいえる5thアルバム。ポップながら毒々しい、赤い公園本来の魅力を石野さんが限界まで引き出しているように思える。M4「絶対零度」における展開の妙に殺られました。


SMTK『SUPER MAGIC TOKYO KARMA』

ドラマー・石若駿を中心としたカルテット/SMTKのアルバム。東京のアングラ感漂うインストゥメンタル。「BLUE GIANT」において「なんかよくわかんねぇけど超すげぇ、それがジャズだ」って台詞があるのだけど、そんな感じ。そして「荘子itがコラボしたら名曲」のジンクスが途切れることがない。


吉田一郎不可触世界『えぴせし』

ZAZEN BOYSでアンサンブルを支えていた吉田一郎のソロアルバム。人工的なビートが独特の乾いた雰囲気を演出してる。全体的なポップネスさから滲み出る狂気、変態さが心地良い。


Tomato Ketchup Boys『 The First Encounter Of This Odyssey』

全編に渡ってガレージロックが鳴らされてる。宇宙との交信音声のようなM1、アルバムを〆るM12「Mothership」などアルバムとしてのフォーマットにこだわっているのも良い。惜しげもなく大好きな音楽をやってくれるから好きになるしかなかったです。


Age Factory 『Everynight』

彼らを表すなら「青い炎」だろうか。ヘビーなハードコア寄りのパンクながら、どこか洗練された印象を受ける。1分35秒のM9「1994」は言葉と演奏が限界まで削られ、魂が見えちゃってる名曲。


ラブリーサマーちゃん 『THE THIRD SUMMER OF LOVE』

ロックの歴史への惜しみない愛とリスペクト。M6「LSC2000」のイントロにおいてペンタトニックでグイグイ攻めるとこでキュンキュンしました。


Wool & The Pants 『Wool In The Pool』

ボーカル・徳茂はボクシングをしながら大学へ通い、CD屋で働きながら家賃3万のアパートで暮らしていたらしい。そんな底辺からの景色、諦観の中で脱力しながら踊るような曲達。ダブ、ファンクとかひと単語じゃ形容できないような異質感。実体が見えないまま聴いているうちに既に深みに嵌っていた。


King Gnu 『ceremony』

既発曲はどれもyoutube四桁万回再生、タイアップで聞きなじみのある曲達、そんな状況下で発売されたアルバム。ベストアルバムのような一体感に欠けた一枚になると思ってました。けれどもインスト3曲が加わることで、曲達の雑多感が逆に一貫性を感じる作りになったように思えた。
あと、個人的にセンター試験終わった日の夜に聞いたので、精神的に変な感じだった思い出も含めてセレクトしました。


サニーデイ・サービス『いいね!』

ドラマーの死を乗り越えた彼らの、一種の初期衝動のようなものを感じる1枚だ。「いいね!」というタイトル、ジャケットに「TUMP!」って書いてある通りのキャッチーで軽やかな曲が並ぶ。M4「春の風」は散文的で曖昧な歌詞が曲の勢いに乗っかって不思議な後味を感じさせる名曲。


君島大空『縫層』

この不思議なジャケットは彼が集めた写真、布切れを縫い合わせて作っているらしい。曲も同じだ。シューゲイザー、M3で魅せたヘビーなロック、オルタナ、ポップといった要素を彼の声が繋げ、ひとつの作品として完成させていく。その歪ささえも美しさとして昇華していくような、不思議な魅力があります。


Group2『Group2 II』

所々で鳴ってるコミカルなリフに心奪われ、強靭なリズム体に載せられ、気づいたらそのサイケな世界に迷い込んでる感じ。ヴォーカル・山口女史の演奏に溶け合うような声が、その奇妙な雰囲気に寄与してるのかな。M4「オリエント」はコミカルさと気持ち悪さが絶妙に絡み合う一曲。


ROTH BART BARON『極彩色の祝祭』

ドラムが抜けソロプロジェクトとなったROTH BART BSRON。制作準備段階で襲い掛かってきたコロナウイルス。そんな状況の中で「音楽を鳴らす」というプリミティブな喜びを<祝祭>として体現したアルバム。その喜びを極彩色の音の中で発露させた音楽は、ニュースタンダードなフォークロックなのかもしれない。


岡田拓郎『Morning Sun』

元・森は生きている岡田拓郎のソロアルバム。「歌が中心となる〈いい曲〉を目指した」と本人も語っているように、この作品のメインは岡田拓郎の声だと思う。その繊細かつ真摯な歌声は優しく夜を押し出す「Morning Sun」のようだ。ギターやドラムなどの拘りぬいた音色にも惹かれました。


BBHF『BBHF1-南下する青年-』

凍てつく大地(M1「流氷」)から南下し、暖かい「太陽」へと向かう青年の旅路を描いた作品。旅の険しさ、美しさ、そして道中で変化していく青年の内面をタイトな演奏と持ち前のポップネスで描き切った大作。「僕らは太陽」と歌いきったM17「太陽」で、BBHFとして真のスタートを切ったのではないかと思う。


GEZAN『狂』

時代に合わせるための音楽ならTikTokとか色んなとこに転がってるけど、時代を捉えてしまった音楽はそうそう無い、「狂」はそんな一枚。混沌とした2020年を災禍が始まる前に描写してしまった、その混乱の核を音楽に落とし込んでしまった。まさにこの時代のサウンドトラックだ。最高。



多くの作品でコロナウイルスを受けて制作していた中、混沌と混乱、分裂と断裂の2020年を1月の時点でアルバムに落とし込んだGEZANが頭一つ飛びぬけてた印象。



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