迷ってばかりで進まない…YouTubeチャンネルの始め方
前回から連載をスタートしたエッセイ『七転八起は続くよどこまでも』。ひとりでコツコツ頑張っているハンドメイド作家さんやアーティストさんやクリエイターさんにお届けしています。私の試行錯誤のストーリーからSNSの続け方&ファンの作り方が分かる内容になっています。
チャンネル登録者数約2万8千人のYouTuberになった私にももちろん始まりがあった。軽い気持ちで始まるはずだったチャンネル。なのに身体が思うように動かなかった。
それは不安と恐怖だった。
ものすごく怖かった。
YouTubeもただのSNSのアカウントであることには変わりないのだが、私には大きな壁に思えた。
その壁は「失敗したらどうする?」「どうせ私は何をやってもだめなんじゃないの?」といつも威圧的に迫ってきた。
顔出ししない、声出ししない。
ハードルをさげても怖いものは怖かった。
ネガティブはデフォルトである。
人間の脳は未知なることを好まない。最大のミッションは現状維持。それは原始の時代からそのようにプログラムされているのである。私たちの中にある原始の脳は生存を第一に据えている。だから、新しいことを嫌う。なぜなら、新しいことは命を危険にさらすからである。
なんと大げさな。
そう思うかもしれないけれど、私たちはそうプログラムされている。だから、前に進みたかったらその声のボリュームを絞らなければならない。
先日、アニメ映画『あの夏のルカ』を観た。
少年たちが未知なる世界に繰り出して挑戦する物語だった。そこで主人公の親友が言っていた言葉が印象的だった。
彼は頭の中で「できない」「どうせ無理だ」とささやき続ける何者かをブルーノと名付けていた。
ブルーノは原始脳のことだ。
何かに挑戦しようとすると、ことあるごとにブルーノが脳内でささやいて阻止しようとする。
では、この少年たちはどうしたか?
ブルーノがささやいていることを自覚したら「えいっ」と振り切って飛び込んでいったのである。
そう。
これしか方法はないのである。
ブルーノ(原始脳)は、なにも私たちに意地悪をしたいわけではないのである。ブルーノは私たちに幸せでいてほしいのである。
ブルーノにとっての幸せとは、生き延びること。
これ以外に大事なことはない。生きる意味なんて考えも及ばないのである。
でも私たち人間には向上心や好奇心など成長したいという意欲がある。
私たちにとっての幸せは心の豊かさだ。満たされた心だ。残念ながらブルーノはこのことを理解できない。
この内なる幸福への欲求は情熱とも言い換えられるだろう。心にぽっとともった情熱の炎を消したくない、前に進みたいと思ったら、ブルーノを振り払わなければならない。
簡単に聞こえるけれど、これはとにかく怖い。
だから、映画の少年たちみたいに、怖い気持ちのまま飛び込んでいくしかない。直感を信じて。
ということで、過去のみじめな失敗の記憶を掘り起こしてはあの手この手で私を引き留めようとするブルーノの声を聞きながら、恐怖心とともにYouTubeチャンネルを開設したのである。
面白いのはここからである。
一度、決めてしまうとブルーノはなりを潜める。
もしかしたら、「ほれみたことか」と言えるような次の出番を待っているのかもしれないけれど、とにかく決断して行動し始めるとブルーノの声は聞こえなくなってくる。
「なんであんなに怖かったんだっけ?」
と狐にでもつままれた感じである。
だから、もしもあなたが何か新しいことに挑戦したいのに勇気が出ないとか、いろいろな言い訳を見つけては先延ばしにしているとしたら、この私の話しを思い出して「えいっ」と飛び込んでほしい。
ブルーノにはこう言ってあげればいい。
「大丈夫だよ。これがたとえ失敗したとしても、命はとられないから」
つづく
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