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スマホでダンスビデオ撮影術_セクション5: 撮影方法

この全6回のセッションでは誰でも始められるダンス撮影のノウハウを紹介します。 

ここ数年、SNSを通じて個人が自己表現として動画を配信できるようになり、自主映画のように仲間を集めてグループで撮影すれば、もっと表現の可能性が広がると思います。特別なカメラを使わなくても、今のスマートフォンでも映画を作ることは可能です。実際、プロの世界でも、スマートフォンを使ってベースを撮影することはよくあります。
動画の撮影・編集・配信はとても身近になったものの、若いダンサーの中には、自分で動画を創作するには「何から始めていいかわからない」という声も聞かれたので、ここでは基本的な撮影方法と、映像の学校でもなかなか教えてくれない撮影について解説します。

目次
セクション1: コンセプトを考える/参考映像
セクション2: 撮影の前に
セクション3: 絵コンテを描く
セクション4: 撮影のため準備
セクション5: 一歩進んだ撮影方法
   5-1 カメラをどこに構えるか?
   5-2 スマートフォン用ジンバルを使う
 5-3 ブーム・自撮り棒を使う
   5-4 レール撮影の代用品
   5-5 ダンサーが行うべきこと。ガン見
   5-6 グループで踊る際の工夫
   5-7: 沢山配信する工夫

セクション6:編集/終わりに

5-1 カメラをどこに構えるか?

ここでは絵作りについて考えてみましょう。
三脚に固定して撮影しますか?移動して撮影しますか?
また、スマートフォンのカメラには、標準レンズ、望遠レンズ、広角レンズの3種類のレンズが選べるものがありますが、どれを使いますか?
下のサンプル動画は、筆者のスタジオで撮影したもので、同じ振り付けで一人のダンサーを撮影したものです。

1:縦撮り_標準レンズ
  TikTokなどでよくみる画角です。
  スマートフォンで鑑賞するならこの画角が見やすいです。
2:縦撮り_より(動いて撮影)
  1と同じ鑑賞条件ですが、動きの部分を追いかけると躍動感が生まれます。
3:縦撮り_ズームレンズ
  以下の図を見てください。ズームレンズでは周りが映りにくくなり、
  絵全体が平に見えます
4:横撮り_広角レンズ
  広角で撮影ると天井など周りのが映り込むので、スマートフォンよりもPCのような大きいディスプレイで見た方がよくいでしょう。
  グループで踊るときなどは広角で撮影した方が有利です。

5-2 スマートフォン用ジンバルを使う

ジンバルは英語で書くと「Gimbal」。これはもともと「1つの軸を中心として物体を回転させる回転台」を意味する単語です。
近年、ジンバルはダンス映像の必需品となっており、特にアメリカやアフリカのストリートダンス映像では、音楽に合わせて激しく前後に動く撮影で使用されています。

DJI OsmoとZHIYUN Smoothがメジャーです。軸のものや安いものは使い物にならないので要注意です。ほとんどの撮影はジンバルをレンタルすれば十分です。広角で撮影するとジンバル自体が写り込むことがあるので、ジンバルの購入を検討されている方はレンタルで実機検証をおすすめします。

5-3 ブーム・自撮り棒を使う

自撮り棒は自撮りだけでなく、高いところから撮影するときにも使うことができます。上から撮影した方がチームの形がよく見えるかも!?
スマートフォンはそれなりに重いので、長くしすぎると事故の元です。

5-4 レール撮影の代用品

スケートボードやインラインスケート、セグウェイなどに乗ってスマホ用のジンバルつかえば、さらにダイナミックなレールショットが撮れます。ただし、自転車は両手がふさがるので危険です。

5-5 ダンサーが行うべきこと。ガン見

このノートの説明は、ほとんど撮影者目線でのノウハウですが、ここでは、出演するダンサーにとって重要なことを述べます。とにかく撮影はカメラ目線と目力です。カメラ目線がなければ、ダンスの技術がどれだけ優れていても、やる気のない印象を与えてしまいます。ステージ上では多くの人がいますので、特定のポイントを見る必要はあまりありませんが(本当はあるのですが)、対面でのコミュニケーションでは、見つめすぎると相手を怖がらせてしまうと思ってしまいますが、撮影ではカメラが壊れるほど見つめましょう。また、グループで踊る場合でも、自分の位置からカメラのレンズが見えない場合は、自分が映っていないと思ってください。その場合は、カメラのレンズが見える位置に移動しましょう。

5-6 グループで踊る際の工夫

グループで踊るときは、人と人との間隔を狭くとったほうが迫力のある絵になります。しかし、踊りにくかったり、どこまでがカメラに写っているのかわからなくなり、踊りの端の人が切れてしまったりすることがあります。
解決策は3通りあります。

  1. 広角レンズを使う。

  2. 床にテープなどでバミリ(境界線)を貼って、撮影範囲を確認できるようにする。

  3. 振付を少し変更する。

広角レンズは先にも述べましたが、グループの奥の人が見にくくなります。
床のバミリ以外にも、鏡やガラスの前で撮影して、自分たちの姿を確認できるようにする方法もあります。
横に手を動かす振りは、斜め後ろを通す振りに変えたり、振付の途中で前列と後列が入れ替わる、もしくはサイドとセンターが入れ替わるように、移動を工夫して、全員が登場できるように工夫しましょう。

5-7: 沢山配信する工夫

SNSで注目されるためには、定期的に配信することが重要です。
筆者もYoutubeが普及しだした頃に、1年間毎週配信すると決めて、そのなかでダンス動画は月に1本アップしていました。当時はYoutuberという職種がなかったので話題になりませんでしたが、その時のルーチンワークは以下です。

  • 最小のクルーで撮影。

  • 撮影方法やコンセプトは共通。

  • ロケーションだけ毎回変えるが、音楽とダンスは即興。

  • 一日の撮影で3本以上撮影し、これを小出しにする。

「名所でダンス」というコンセプトで、名所をバックに踊るという企画で、予め名所を4箇所くらい調べておいて、仲間と1.5時間ペースで会場をまわってどんどん撮影していきます。いい絵が取れないロケーションもあるので、撮影場所は多めにピックアップしましょう。
一日のロケーションで3本のOKテイクがあれば、3ヶ月分のコンテンツになるので、この企画では3ヶ月おきに撮影に行くプランでしたが、毎週配信したければ、衣装が大変ですが、毎月一回の撮影で4本取れれば可能です。

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