第13話 呪いのAV

注意: こちらの「第13話」については卑猥な表現(下ネタ)があります。この点を了承の上で以下の文章をご覧ください。

李さんの親戚の孫かひ孫の友人が大学生の頃に体験した話。それは数年前のこと。その友人は李さんの親戚のその彼に、こんな噂を話した。
「『呪いのAV』って、知ってる?」
20世紀末に一躍有名になった呪いのビデオにあやかった噂かと思った彼は友人の話が信じられず、最初彼はその友人にからかわれているのだと思ったそう。しかし話が進むにつれ、件の「呪いのAV」が実在するか、そのAVが本当に超自然的な力を持っているかの真偽はともかく、少なくともその友人はその噂を信じていることがわかった。

肝心の噂の内容というのは、次の通り。
「呪いのAV」はインターネット上にアップロードされた動画。アップロードされたサイトは、「P*rn H*b」のように自分で撮影した動画で視聴者を集め、広告収入を得るというもの。今大流行のY*uT*beのAV版だ。その「呪いのAV」を観た人は、そのAVの虜になって生気を奪われ続け、1ヶ月後に死ぬというもの。何でもその「呪いのAV」を撮影した人はお金ほしさにたくさんの動画を撮影し、プレイが行き過ぎて亡くなったそうだ。その人のアカウントは消されたという話だが、なぜかその「呪いのAV」だけが生き残り、オンライン上を彷徨っているという話。

さらに話は進み、その友人の話では実際に犠牲者が出たそう。そしてその犠牲者は李さんの親戚のその彼も知っている先輩だった。その先輩はその友人とサークルが一緒だったため、噂の内容を聞けたのだ。
「とにかく、AVを観るときは『呪いのAV』に気を付けないといけないな」
友人のその言葉と共に、その話は締めくくられた。

それから1週間後だった、その友人が怯えた声で彼に電話をしてきたのは。
「ヤバい、俺、『呪いのAV』を観たかも」
「観た人が亡くなる動画」という理由もあるので、その内容はほとんど知られていない。実際に中身を聞いたことのある人は限られており、その友人も中身を見るまではほとんど何も知らなかったほどだ。ただ、「呪いのAV」は高品質で、観た者がその動画から離れられなくなるほど魅力的であるそう。一度その動画を見始めたら視聴者はその動画に惹きつけられ、ほとんどの人が最後まで見てしまうのだという。
その友人の場合も同様、動画を最後まで観たそうだ。その日以来、友人は毎晩鮮明な夢を見るようになった。その一連の夢の中で友人は同じ女性と淫行をしていた。日ごとに異なるプレイはどれも激しかったので彼は消耗し、夜の寝つきは格段に悪くなった。目を覚ますと友人は歩くのがおっくうに感じられるほどの疲労感を感じていた。その友人の変貌ぶりは周囲の目からも明らかで、友人が彼に電話をかけてきたときには、すでに頬がこけ落ち、目の下に濃いクマができ、何日も満足な睡眠が取れていないことは明白だった。
そこに加えて彼が心配したのは、友人の行動の変化だ。その動画を観た日から、その友人は毎晩のように繁華街をぶらつき、その夜相手をしてくれる女の子を探すようになった。友人はお金を浪費し、毎晩とっかえひっかえ違う女の子とベッドを共にしていた。そんな生活が10日くらい続いたとき、つまり彼がその友人から電話を受けてから2、3日が経った頃、友人の相手をした女の子のうちの1人からこんな話を聞いた。
「プレイの後、彼がシャワーを浴びているとき、突然浴室から悲鳴のような、大きな喘ぎ声が聞こえました。恐る恐るドアを開けると、彼は右を向いて、背中を反らして、大量に射精していました。Aさん(友人の名前)は恍惚の表情を浮かべて口角からよだれを垂らしていて、まるで誰か別の女性に絡みつかれ、愛撫されているような光景でした」

それからさらに1週間が経過した頃に、李さんの親戚のその彼はその友人の元を訪れた。その頃にはすでに友人は大学へ来ていなかった。彼以外の学生は友人が「呪いのAV」を観たことを知らなかったので、まじめに通学していたその友人が大学にいない理由が全くわからず、戸惑っていた。彼が友人と会ったとき、その友人は死人のように顔が青く、生気を失っていた。立っているのがやっとの状態。
「今度、一緒に行きたいところがある」
次の週末だった、2人が霊媒師の元に来たのは。霊媒師は友人を呪いから解き放ち、無事に生還した。

「危ない状況だった。Aさんに憑いていたのは、女性の悪霊。あと1日か2日遅かったら、Aさんはその悪霊に生気を搾り取られ、亡くなっていたかもしれない」
霊媒師からそう伝えられ、2人とも背筋が凍る思いがした。

みなさんも、変な動画を観るときは、ご注意ください。


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