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今さらハマったネトフリドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』感想

2022年夏ごろからNetflixで配信された、自閉症スペクトラム障害を持つ主人公ウ・ヨンウ弁護士が法曹界で奮闘する姿と、毎話社会問題に一石を投じたテーマ性で話題を呼んだ韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を今更観賞しました。
まだ配信から1年経っていない作品ですが、ドラマに映画にアニメなど日々更新されるストリーミング配信の作品数は膨大で既に懐かしいと思う人も多いかもしれません。

私も昨年話題になっていた頃に法廷劇なら見たいなと思いつつ、ストレンジャーシングスシーズン4やベターコールソウルファイナルシーズン、ペーパーハウス韓国版さらにはIWGPで手いっぱいだったためようやくそれらが片付いた今、見ることが出来ました。
韓国ドラマは日本やアメリカのドラマと違って1話の尺が平気で1時間超えていて(2話以降も1時間超えます)16話編成になっていて、観る前は消化できるか心配できたが、杞憂でした。

1話ごとに裁判の事例が完結していて(例外アリ)事件の発端から、社会テーマ、どう攻めて裁判に勝つか&相手は何を仕掛けてくるか、そしてウ・ヨンウの閃きからの判決までの流れは非常に綺麗であっという間に見終わってしまいました。
リーガルハイや99.9などの癖アリ法廷ドラマが好きな人には特に刺さる作品だと思います。

今回はこの作品の魅力を語りたいと思います。

〈あらすじ〉
主人公弁護士ウ・ヨンウは自閉症スペクトラム障害という対人コミュニケーションが苦手で何かに対して強いこだわりを持つ障害を持っています。
ウ・ヨンウの場合は人と接触できなかったり、目を合わせられず、大きな音を聞くと子どもの様に驚いてしまいます。こだわりが強いという面はイルカやクジラなど海の中で暮らす哺乳類の生き物が大好きで人に聞かれるまでもなく話始めてしまい周りの人を時折困らせます。
そんな彼女の武器は人並み外れた記憶力です。小さい頃から父親の持っていた法律に関する本を読んだ影響ではじめて発した言葉が暴行罪?の条文をそのまま読み上げるというまさに、法律に関わるために産まれて来た女の子でした。

なので、そのまま彼女は法にのめり込み、韓国屈指の名門大学ソウル大の法学部に入学し当然のように首席で卒業しますが、障害を持っている事でどの法律事務所にも就職を断られてしまします。
法律の仕事に就けないとウ・ヨンウが落ち込んでいる頃、就活シーズンを過ぎているにも関わらず大手法律事務所ハンバダというところに就職の声がかかり入社し、訴訟チームの一員に加わるのです。
何故、とつぜん大手事務所から声がかかったのかというのもちゃんとストーリーに組み込まれています。

〈感想~全体的なストーリーの魅力~〉
ハンデを持っているウ・ヨンウだけど条文をそのまま暗記しているという、チート武器を使ってチームに貢献していく、という単純な設定のストーリーかと思って最初は見ていました。
しかし、回を進めていく内にハンデ抜きにウ・ヨンウが弁護士として一人前になる成長要素が1話ごとに用意されていて、まるで最初は村出身の何も持っていなかった勇者がモンスターを倒し、剣や盾や防具などを手に入れ、さらには仲間との絆を深めながら少しずつ強くなっていくRPGを見ているような面白さがあります。

法律に書かれている条文の知識しか知らなかったウ・ヨンウが実際の裁判と対峙することで裁判の根本的な問題を見出し、依頼人の最善な利益を追求するために寄り添い、ライバルであり仲間の同僚や心強い上司と協力することで事務所から認められる存在になっていくウ・ヨンウを見守りたくなるドラマです。

また、父子家庭で育ったウ・ヨンウが実母が誰なのか、何故ウ・ヨンウを捨てたのかという家族ドラマや、訴訟チームのチームメイトが並外れた記憶力と奇想天外な発想を持つウ・ヨンウに嫉妬したり、最終的に認め合うといったヒューマンドラマ性があり、さらには訴訟チームを手助けする事務所屈指のイケメンで人間的に出来すぎているイ・ジュノとの恋愛模様も土台となる法廷ドラマに邪魔しないのはもちろん、気になるような展開がある物語のバランス感覚は絶妙でした。

裁判で使う情報を真っ先に仕入れ、トラブルがあった時の機転も効き、ウ・ヨンウがパニックになりそうな時は寄り添い、彼女を精一杯理解しようとするイ・ジュノを完璧に演じたカン・テオさん、、拍手。

〈感想~法廷ドラマとしての面白さ~〉
ウ・ヨンウが挑む裁判は実際の韓国の社会問題から日本や他の国でも起きていそうな問題で発想を得たような事例ばかりで誰もが興味を持ってしまうテーマだと言うのもこの作品の魅力になっています。
それに一般的な裁判ドラマと違うなと思ったところとして主人公ウ・ヨンウが所属する法律事務所ハンバダが裁判で勝つか負けるか最後まで分からないという点です。
相手の弁護士や検察が個性的で裁判でウ・ヨンウの前に立ちふさがる者としてとても手強いのはもちろんですが、毎話裁判長も違う人が登場し、弁護士と弁護士(検察)の法廷バトルを裁判長が黙って見守り判決を出すのではなく、出身地や学歴で弁護士に忖度する裁判長や、自ら積極的に質問する裁判長など人間性が非常に出ています。

最近では裁判モノのドラマの見せ方も多様化していますが、個人的には弱い立場の人間が強い立場にいる人に被害を受け、その脅威から守るために主人公が盾になるという裁判ドラマのイメージが強く、この作品もそういった対立構造もあるのですが、大企業と大企業のぶつかり合いや、ハンバダが大企業側につき、中小企業を相手取ることもあります。
そのためハンバダは依頼人の利益を追求するばかり、他の人の利益を阻害しているのではないかと考えてしまうような事件展開になり単純な勧善懲悪モノではないため、様々な視点で事件を考えられるのも面白い点です。

1話完結になっているので、気軽に初回だけでも手を出していただければハマると思いますし、おすすめ回だけを見ても、なんとなく誰がどんなキャラなのか分かりやすく動いているので気になる回から見ても楽しめるかなと思います。

個人的なおすすめ回は、、、
第3話 エリート受験生が主人公と同じ自閉症スペクトラム障害を持つ弟に殺され、ウ・ヨンウが弟を弁護する事件の回。

第6話 強盗で起訴された被告人には娘がいて、少しでも刑期を短くして2人一緒に生活させてあげたいと同僚と逆転方法を探す回。

第9話 学歴社会の韓国に子ども解放軍と名乗り上げる男が現れ、塾通いの子どもをキャンプに連れて行き誘拐として起訴された男を弁護する回。

この3話が特にお気に入りです。(第3話はマジで全人類に見て欲しい)
偶然か必然か3の倍数の回が面白いですね。




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