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20 うれしい予感:素敵なクラスになりそう

父の突然の他界で1週間近く学校を休みました。新年度が始まってすぐのことです。勤務中に入った突然の連絡。父が病院に緊急入院したといいます。私はクラスで修学旅行のコースづくりの説明をしていました。「ごめんね」と生徒たちに言って私は学校を飛び出しました。病院に駆け付けると父は緊急の治療を受けていました。その後容体は落ち着きましたが、2日後に父は亡くなりました。

忌引きの間、学校のことが気がかりでした。コースづくりはちゃんと進んでいるだろうか。年度初めの作業も途中で放ったままでした。机の上には生徒たちから預かったノートがそのままにしてあります。昨日までに返さなければならなかったノートです。授業のことも気がかりでした。生徒にも同僚にも大変な迷惑をかけることになってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、教師の代わりは同僚にお願いできますが、娘の代わりは誰にも頼めません。親の最後を看取るのは娘の義務だと自分に言い聞かせて休ませてもらいました。

忌引きが明けて学校に出た私は自分の気がかりが杞憂だったことを知りました。学年主任の先生をはじめとしてクラスのことは他の先生たちがみんなで面倒を見てくれていました。私がやらなければならない仕事もすべて代わりにやってくれていました。そして生徒たちはと言うと… コースづくりは着々と進んでいました。中には完成している班もありました。みんなで和気あいあいと話し合い、協力して作業をしている様子が学級日誌に書かれていました。いつもだったらさぼる人がいるそうじも、私が休んでいる間はだれもさぼらずにやっていたと書いてありました。学級委員のKさんに電話をして頼んでおいたことも完璧にやってありました。うれしくて涙が出ました。

私がいなくても自分たちでどんどんやれる。そんな生徒たちが誇りに思えました。「みんなちゃんとやってたよ。あたりまえじゃん!」という生徒のことばも素直に受け取ることができました。素敵なクラスになりそうな予感がして私は幸せな気分になりました。

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