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149 借り物の意見を発表されても...

校内弁論大会で代表となった生徒たちがそれぞれの意見を立派に発表してくれました。選ばれた生徒たちだけあってみんなすばらしい弁論です。聞いていて心を動かされる発表も少なくありませんでした。

自分の考えを文章にまとめるだけででも大変なのに、人前で発表するのですから大変です。聞き手を納得させなければなりませんし、理論的裏付けも必要です。文章にまとめる作文力も求められます。さらに話術も要求されます。その意味でも代表の生徒たちには大きな拍手を送りたいと思います。

全校での弁論大会を前に、各学級そして学年でも弁論が行われます。ですから全員が弁論を経験します。国語の時間に原稿を書き、それを推敲し、友達の前で発表する。よい経験だと思います。私も生徒たちの弁論を聞くのが楽しみでした。思わぬ生徒が予想もしない素晴らしい弁論をすることがあるからです。

でも、時々疑問に思うことがありました。どこまで自分の本心を述べているのかなということです。借り物のようで本人の考えがどこにあるのかわからないことがあります。私の読み取りの力が不足していることもあるのかもしれませんが。

私は国語の教師ではありませんが、生徒に行事の感想文などを書いてもらうことがよくありました。素晴らしい感想文に出会うことも多いです。大人顔負けの立派な文章を書く生徒もいます。でも、何となくきれいごとを綴っていたり、読み手に迎合するような文章が並んでいたり、どこかで聞いたようなことばが並んでいたりすることもあります。「本当にそう思っているのかな」と懐疑的になってしまいます。聞きかじったことを自分の考えであるかのように伝えているものもあります。逆に、文章はそれほどうまくはないけれど本人の心の底から湧き上がってきたと思える考えが述べられていると心は大きく動かされます。筆者の生の声だからです。

最近は「それはあなたの感想でしょ」なんていう言葉が相手を論破する言葉として大手を振って使われており、素直な感想を言うことが躊躇される風潮があります。生徒の書く作文にまで悪影響を及ぼさないか心配です。


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